そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

トルーマンは原爆開発を知らずに、後付けの必要性の説明をした

2016-08-07 | 
昨日のNHKスペシャル「決断なき原爆投下」~米大統領 71年目の真実~を見た。余り新しいことはなったが、いくつか欠落しているところや、関係者の所在や資料を見直すことで番組が強調していた表題にもなっている、トルーマン大統領の不甲斐なさと偶然が生んだ原爆投下の、大統領の非決断と通説に光を当てた番組であった。
アメリカでは、「原爆投下は戦争を早く終わらせ、数百万の米兵の命を救うため、トルーマンが決断した」というのが通説になっている。即ち、大統領が決断した意義ある作戦ということで、ジュネーブ条約に反し一般市民の非戦闘要員を的にして、大量殺害した事実に蓋をしていた。

1945年2月にソ連領ヤルタで、アメリカとイギリスとソビエトそれに代理として中国がそろそろ決着がつきそうな、第二次世界大戦後の勢力図を模索した。しかし、日本はソビエトとは不可侵条約を締結していて、ドイツが敗戦した後鈴木貫太郎首相が米英などとの間を取り持つように模索していた関係にあった。
その半年後の7月に、ソビエトが進駐しているベルリン郊外のポツダムに首脳が集まって日本に無条件降伏を迫ったのである。8月15日に日本は、ポツダム宣言を受け入れ無条件降伏する。ポツダム宣言はアメリカとイギリスと中国が、無条件降伏を日本に迫ったのである。
ヤルタもポツダムも場所を提供し、仕切ったのはスターリンである。ところが、ヤルタのアメリカはルーズベルト大統領、イギリスはチャーチル首相、中華民国は蒋介石(代理)であったが、ポツダムではルーズベルトは4月12日に死去、チャーチルは選挙に負けてアトレーが途中で交代している。つまり、この二つの会議はすべて、日本が和睦の仲介を依頼していたスターリンの独壇場だったのである。
ルーズベルトがしきょ急死した時に、偶然副大統領だったトルーマンが大統領に昇格した。全く国政にかかわりのなかったトルーマンに、極秘に原子爆弾を開発していたマンハッタン計画は引き継がれなかった。1942年から始まったマンハッタン計画は、22億円も注ぎ込んでいた。責任者のグローブス准将の説明で、トルーマンは原子爆弾を理解できなかった。グローブスは研究成果と原爆の効果を証明したかった。グローブスは何としても原爆使用をしたかったのである。
トルーマンも陸軍長官のスディムソンも、軍事施設への使用としてこれを認めた。グローブスからは広島や新潟や京都や小倉の軍事施設への限定使用としてトルーマンは認めたが、事実を後程知ることになる。
そこで、アメリカのスタンダードになっている原爆使用の説明が演説の原稿から外れて、「多くのアメリカ国民を救うために投下した」と説明した。これがその後のアメリカの、スタンダードになっているのである。
ルーズベルトの死去と戦後予測される東西冷戦を意識しながら、政治に全く素人のルーズベルトが大統領になったこと、それに極めて狡猾に立ち回ったスターリンの存在が、広島長崎への原爆投下の人類史上類例を見ない悲劇を生んだのである。


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3 コメント

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Unknown (タンケ)
2016-08-08 23:18:09
政治上手、詭弁上手、自己正当化上手の白人の論理をそのまま受け取ると、教科書的通り一辺倒の歴史に収まるが、ドイツに落とさず日本に落としたという事実こそを真剣に考えるべきである。根底にあるのは白人の根深くすさまじい人種差別意識だ。黄色いサル日本人は撲滅させてよいという意識があればこそ、広島長崎と2発も落としたのだ。そして、それに続く人体標本調査などが彼らの意識をそのまま反映している。ルメイが日本本土絨毯爆撃を実行したのもそんな意識の反映そのものだ。

誰がなろうと政治家は所詮飾りであり、表には出ない背後の本当の権力者が采配振るうのだ。人間と看做されない日本人は彼らにとんでもない新型兵器の実験台にされたということである。
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Unknown (きなこ)
2016-08-10 16:45:59
マンハッタン計画の、ロスアラモスで、原爆開発に協力したという、アメリカの物理学者ファインマン博士のエッセイ本?を読んだことがあります。
全然知らずに面白いエッセイだなぁ(≧~≦))ププッと読んでいて、いきなり原爆開発!と出てきて、ビックリしました。
こんなやんちゃな若くて優秀で魅力的な学生が、原爆開発に関わっていたのか、と。
エピソードの一つに、研究所でウランをストックしていたそうですが、一箇所に集めていると臨界が起こる危険性がある!と、スタッフの中では最年少クラスのファインマンさんが指摘して、分散させたそうです。
若くて優秀な研究者の発言がちゃんと認められる、という点で、
それよりずいぶん後に起きた東海村臨界事故の硬直性劣悪さと比べて、その当時のアメリカの科学技術の、優秀さ強さが垣間見られたようにも感じました。( ̄_ ̄|||)
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Unknown (きなこ)
2016-08-10 16:49:02
スターリンは悪いヤツですよね!
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