そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

「日本会議の研究」を読む

2016-06-03 | 日本会議
やっと手に入った「日本会議の研究」菅野完著:扶桑社新書、800円である。日本会議の横やりで約一月かかったが、重版が遅れたということである。不気味な存在で秘密結社のようであると書いた見たが安倍政権を産み、そして支える極右翼の政治団体、日本会議の由来がようやくわかった。
日本会議はうねりを持った巨大な活動の上で組織された政治団体ではなく、ほんの「一群の人たちが」がコツコツと活動を通じて積み上げてきた組織である。出自は、生長の家に行きつくが、生長の家は現在政治活動から手をひいている。日本会議の主体は1960年代の左翼学生運動に対抗してできた、民族主義団体の一群の人たちを母体としている。

現在日本会議の事務総長で実質的に会を取り仕切りこの本の発行をやめるように抗議した人物の椛島有三、安倍晋三のブレーンとして改憲を唱える伊藤哲夫、安保関連法(戦争法)は合法と主張する学者と官房長官がやっと名を挙げた三人の一人の百地章、安倍晋三に恩義を売られた首相補佐官の衛藤晟一、生長の家の創始者の谷口雅春を引き継ぐ安東巌、ほぼこれらによって仕切られている日本会議である。
日本のマスコミは、東京新聞以外はほとんど、安倍政権の80%を超えるメンバーを占める日本会議について取り上げることがない。国家権力機構に重要な働き、影響を持つ日本会議への取材が少ないことへ、海外メディアも不審を抱いている。それは学問の対象にするには生々過ぎ、報道がカバーするには長すぎるためと、著者は好意的である。
日本会議の主張は、天皇を神と抱く国家への回帰であり、かつての国家神道への回帰であり、明治憲法への回帰と思われる古色蒼然としたかび臭い論理でしかない。しかしながら著者の指摘する通り、地道な活動をこの50年続けてきたその結果である。
また、政治が右翼化したのではない、政治家が右翼化しただけである。日本会議が大きいわけではない。他の団体が小さくなっただけであると結んでいる。
多くの国民が政治離れしてきた50年でもある。政治的発言は公的な場では差し控える傾向になり、若者は論議を嫌う。反論されると炎上という言葉で逃げる。安倍政権内で権力の味を占めた、日本会議は権力者の庇護のもとさらに巨大化し横暴になるであろう。日本という国家が、こうした戦前回帰を基調とする非民主的、反近代的な政治団体、日本会議に翻弄されることであってはならない。それは単に憲法という枠内の問題ではなく、人類の将来を見据えた、あるいは地球を見つめた視点から遠ざかることをも意味するのである。

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2 コメント

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Unknown (きなこ)
2016-06-05 05:33:54
その団体の存在も知りませんでしたが、面白そうだなーとwikiで調べてみましたら、かつて私が学生の頃、コーヒーを出したことのある、とある名士の名前があり、あら~こんなところで~とビックリしました(^-^;

ところでトッドの「シャルリとは誰か?」を読みましたが、非常に面白いです、
北海道は、歴史的に獣医師の社会的地位が高く、また最近のグローバリゼーションや格差拡大も影響が大きそうな、ちょっと特殊な土地だと思いますが、
シャルリ本の感想もお聞きしたい気がします。
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Unknown (きなこ)
2016-08-02 17:47:10
日本会議の研究、読みました~!
感想は、ブルーハーツの「すてごま」、歌ってほしいな、と。

♪おろしたての戦車でブッぱなしてみたい
なにか理由がなければ、正義の味方になれない
誰かの敵討ちをしてかっこよくやりたいから

きみ、ちょっと行ってくれないか
すてごまになってくれないか
いざこざに巻き込まれて、泣いてくれないか

何かきっかけさえあれば、次は俺の順番だ
今度こそやってみせる
やってやってやりまくるんだ

きみ、ちょっと行ってくれないか
すてごまになってくれないか
いざこざに巻き込まれて、死んでくれないか♪

・・・自分で行け~ぃッ!!!(#`Д´)

と、思います(#`皿´)

若い頃、自分で行く勇気のなかった中途半端もん、の、老害の最たるもののように、感じました。

若くして自分で行った人達は、痛みとか分かっていると思います。右翼の武闘派だったという鈴木邦男さんは、そっちの方ではないかと思うんですね。
その鈴木さんは、今、右翼も左翼も自由に交流しているようですね、よく知りませんけど。
それに比べて、本書で書かれた人達は、いつまでも個人的小さい恨みにこだわってる人ら、という気がしました。

例えるなら馬に噛まれて後からネチネチ仕返しをする感じの人で、絶対アウトです。
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