そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

人種差別とベトナム戦争に抗したモハメド・アリが死んだ

2016-06-05 | 安倍晋三
モハメド・アリ(カシアス・クレイ)が死んだ。1960年ローマオリンピックでライトヘビー級で金メダルを取ったが、帰国後の人種差別を怒って金メダルをオハイオ川に捨てた。クレイはその後プロに転向し、重量級では骨をも砕くパンチの応酬が見ものだったが、彼は軽いフットワークと繰り出すパンチで重量級に革命を起こした。蝶のように舞い蜂のように刺すと、自ら表現して世界チャンピオンになった。大口をたたき、ほら吹きクレイともいわれた。こころ拠りどころを求めて、強力に人種差別と闘っていたマルコムXに師事イスラム教に入信し、旧名を奴隷名として捨てて、モハメド・アリと改名している。
アリはベトナム戦争の兵役を拒否してチャンピオンの座を追われた。禁錮5年1万ドルの罰金判決を受けた。無敗のままWBA・WBC統一世界ヘビー級王座を剥奪され、3年7カ月のブランクを作った。
その後、最高裁で良心的兵役拒否として勝利しているが、チャンピオンの座は戻ってこなかった。1974年にジョージ。フォアマンに挑戦し8ラウンドでKOし世界チャンピオンの返り咲いた。当時最強の強力パンチのフォアマンと戦った地の名から、キンサシャの奇跡と呼ばれている。

ほら吹きクレイと言われるほどいろんな言葉を残している。「俺ぐらいグレートになれ謙虚ではいられない」「俺は健康だから薬のほうが病気になる」というようなほらだけではない。
「ベトコンは俺をニガーと呼ばない」、「俺がなんでわざわざ1万マイルも離れた貧しい国にまで出かけて、白人が有色人種を支配し続けるために人殺し、国を焼き払うのを手助けしなければならないんだ」、「ボクシングとは黒人がリング内で殴り合うのを、白人が見ることさ」、「いかなる理由でも殺人に加担することは、アラーの教えに背く」などと述べている。パフォーマンスばかりが取り上げられるが、基本的にモハメド・アリはヒューマニストなのである。
晩年ボクシングの後遺症に悩まされたが、1990年の湾岸戦争の時にはフセインに掛け合って人質を解放している。2005年には、本来は文民に送られる最高の勲章である大統領自由勲章を授与されている。2012年にはロンドンオリンピックの点火式に震える体で登場し、感動を与えてくれた。
自らの信念に生きたモハメド・アリは今ではアメリカ国民に好意的に受け入れられている。彼の冥福を(仏教的ではなくイスラム的に)祈りたい。

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1 コメント

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Unknown (タンケ)
2016-06-06 12:40:55
マルカムXにもキング師にも生きていて欲しかった。世界を我がもの顔で支配し続けている特にアングロサンクソン系白人は今や地球自体を破滅させる軍事力や核戦力を持っているが、自省を知らない彼らなので、このままではいつか必ず地球を破滅させてしまうことだろう。
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