北海道知事選挙は全国唯一の保革対立の構図で終盤戦を迎えようとしている。4期務めた元経産省官僚の、高橋はるみの参院選への鞍替え後の選挙である。北海道も御多分に漏れず少子高齢化の進行と、道都札幌への一極集中がへき地をさらに疲弊させている。
経産省官僚の落下傘知事が土建屋に潤沢な補助金を持ってきた。北海道にはあちこちに道路も含め、正体不明の頑強な構造物が無数に建設されている。1000兆円を超す債務を抱える国家のやることではない。農業にも巨大な資金が流れ込み、まるでコルホーズのように国家の資金で建設された”立派”な施設が農民に与えられ、高価な農産物を生産している。
国策施設の象徴が原子力発電所である。北海道の泊原発は、活断層の上に建設されたことが明らかになっている。規制委員会でも再稼働を認めることはないだろう。道都札幌の西に位置する泊原発は、北海道全体にとって大きな問題である。事故が起きれば、放射性物質は西風に運ばれ北海道全体が被災地域になることになる。
泊原発再稼働について、石川氏は再生可能エネルギーへの転換を訴えているが、鈴木氏はベースロード電源を確保してバランスの取れた電源を確保すると言っている。政府が述べる言葉と同じである。原発には触れようとしない。
カジノについても、石川氏が北海道には必要ない。北海道は特性を生かした観光を産業を振興すると言っているが、鈴木氏はカジノは経済的効果があると述べている。石川氏が鉄路の存続を訴えているのに対して、鈴木氏は道民目線で判断すると述べるだけである。
こうした自民公明支持候補は、沖縄で見せた辺野古については全く触れない作戦をとっている。不利なことは触れることなく、当選後には政府の方針通り進めるという作戦である。沖縄では敗北したが、国政の自民党のとる常道作戦である。
鈴木氏は夕張市長として財政再建に尽くしたといわれるが、総務省の指示に従って動いたに過ぎない。国は従順な知事が欲しいのであろう。