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そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

クローンは安全か?

2009-01-29 | 政治と金

1月21日に、内閣府の食品安全委員会の専門家ワーキンググループが「体細胞クローン牛と豚は安全である」と結論を出した。多くの国民やメディアは全面的な支持をしていないように見える。

クローンとは体の一部の細胞を取り出して、試験管内で細胞分裂を起こさせてそれを、メスの子宮のなかに戻して分娩させる方法である。採取した体細胞は、元の個体と全く同じ遺伝子を持っている。氷河などで凍結死したマンモスの再生や、絶滅種の保護などに有効であると言われている。

家畜に応用して牛や豚への生産効率を高めたり、高品種の肉をとろうとするのがクローン技術である。今回これに、国がゴーサインを出したことになる。

しかしながら、クローン牛はまず受胎率が極めて低い。さらに出産時の死亡率が極めた高く、その後の成長にも問題があり、出生後3か月以内に死亡する牛が多いのである。

今回の発表も、「6カ月を超えると、他の牛と変わりない生存率で健康で問題がないと」ワーキンググループは発表している。これ自体がなんか怪しげであるが、とにかくゴーサインである。

これに似たのが、遺伝子組換え種子(GM)である。アメリカでは多くの品種が食卓に出されるようになっている。GM食品を与え続けたマウスの寿命が極端に低い。原因は特定できないが、さまざまな理由によるために、かえって不安感が増す。

GM食品をいくら分析しても、異常物質が見つかるわけではない。肉を現在の科学で詳細に中身を取り出したところで、将来とも安全と言われる保障などない。DDTなど、当時は全く問題がないと言われたものも、時代を経ると環境ホルモンのレッテルを貼られている。

クローン牛の生存率に関しても、理由がはっきりしないままである。それが食品となるとなおさら不安である。問題がなかったのではなく、現在の技術では問題点が見いだせなかっただけの話である。

アメリカやアルゼンチンや中国などではすでに容認されている。日本では、生存率や受胎率が低いことで、相当高価な肉になることなどを考えると、当分は市場に出回ることはないと思われるが、家畜の生理や農業や畜産の基本を無視した技術開発は、いつかは行き詰まるものと思われる。

コメント (1)
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