半透明記録

もやもや日記

『カンガルー・ノート』

2004年12月19日 | 読書日記ー日本
安部公房 (新潮文庫)


《あらすじ》

ある朝突然、〈かいわれ大根〉が脛に
自生していた男。訪れた医院で、麻酔
を打たれ意識を失くした彼は、目覚め
るとベッドに括り付けられていた。硫
黄温泉行きを医者から宣告された彼を
載せ、生命維持装置付きのベッドは滑
らかに動き出した・・・・。坑道から
運河へ、賽の河原から共同病室へ--
果てなき冥府巡りの末に辿り着いた先
とは? 


《この一文》

” 移動車がバックで坑道を降りはじめた。クレーンのフックが外され、ベッドはゆっくり加速しながら自走しはじめる。これはもうぼくの意思ではない。意思を越えた物理的な運動だ。穏やかだが、確実な疾走にうつっていく。いずれは気を失ってしまうのだろう。水っぽい鼻水をすすりながら、脛から《かいわれ大根》を一本むしってかじってみた。多少辛味をおびた、例の馴染みぶかい味である。
  点滴の液が切れてしまっても、こいつを食べ尽くすまでは生きのびざるをえないのだろうか。 ”


脛からびっしりとかいわれ大根が生えてきて、しかもそれを食べるのです。
この小説はとにかくこのイメージが強すぎて、どういう話だったかはよく覚えていないのでした。

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