カルロス・フエンテス作 木村榮一訳(岩波文庫)
《あらすじ》
「・・月四千ペソ」。新聞広告に
ひかれてドンセーレス街を訪ねた
青年フェリーペが、永遠に現在を
生きるコンスエロ夫人のなかに迷
い込む、幽冥界神話「アウラ」。
ヨーロッパ文明との遍歴からメキ
シコへの逃れようのない回帰を兄
妹の愛に重ねて描く「純な魂」。
メキシコの代表的作家フエンテス
(1928-)が、不気味で幻想的な世
界を作りあげる。
《この一文》
”----時計の針は、真の時間を欺くために発明された長い時間をうんざりするほど単調に刻んでいるが、真の時間はどのような時計でも計ることはできない。まるで人間を嘲笑するかのように、致命的な速度で過ぎ去ってゆくのだ。ひとりの人間の一生、一世紀、五十年といったまやかしの時間を君はもう思い浮かべることはできない。君はもはや実体を欠いたほこりのような時間をすくい上げることはできないだろう。
「アウラ」より ”
この作品もまたラテンアメリカ文学に共通する独特の時間認識をもって描かれています。
読むうちに、過去と現在の、現実と非現実の境界線が失われていくようです。
短篇集の中でもとくにこの「アウラ」の結末はとても印象的でした。
不可思議かつ不気味な描写はとても幻想的であると同時に異常なリアリティをあわせ持ち、全ての物語はどこか物悲しさを感じさせます。
同じ人の『遠い家族』という作品も、強烈に面白かったと記憶しています。
《あらすじ》
「・・月四千ペソ」。新聞広告に
ひかれてドンセーレス街を訪ねた
青年フェリーペが、永遠に現在を
生きるコンスエロ夫人のなかに迷
い込む、幽冥界神話「アウラ」。
ヨーロッパ文明との遍歴からメキ
シコへの逃れようのない回帰を兄
妹の愛に重ねて描く「純な魂」。
メキシコの代表的作家フエンテス
(1928-)が、不気味で幻想的な世
界を作りあげる。
《この一文》
”----時計の針は、真の時間を欺くために発明された長い時間をうんざりするほど単調に刻んでいるが、真の時間はどのような時計でも計ることはできない。まるで人間を嘲笑するかのように、致命的な速度で過ぎ去ってゆくのだ。ひとりの人間の一生、一世紀、五十年といったまやかしの時間を君はもう思い浮かべることはできない。君はもはや実体を欠いたほこりのような時間をすくい上げることはできないだろう。
「アウラ」より ”
この作品もまたラテンアメリカ文学に共通する独特の時間認識をもって描かれています。
読むうちに、過去と現在の、現実と非現実の境界線が失われていくようです。
短篇集の中でもとくにこの「アウラ」の結末はとても印象的でした。
不可思議かつ不気味な描写はとても幻想的であると同時に異常なリアリティをあわせ持ち、全ての物語はどこか物悲しさを感じさせます。
同じ人の『遠い家族』という作品も、強烈に面白かったと記憶しています。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます