半透明記録

もやもや日記

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若冲展

2007年06月03日 | 学習
このところ大ブームの伊藤若冲の展覧会に行ってきました。金曜日。仕事は休みました。だって、日曜で終了だっていうんだもの、働いてる場合じゃねえ。


場所は、京都の相国寺というお寺の展示室。ものすごく混んでいるという話はきいていましたが、実際2時間待ちました。疲れたー。ちょっと尋常ではない人出です。ほんとうにブームなんですねー。

「私は仕事を休んで『若冲展』に行くのだが、君も行くかね?」とK氏に尋ねたら、珍しく「行く」とのこと。変だなーと思ったら、どうやら彼はだいぶまえにやはり京都でやっていた同じく若冲の『プライス・コレクション』で展示されていた作品を見たかったらしく、今回の展覧会でもそれが見られると思っていたらしい。

「え? それは今日は見られないよ。だって、あれはプライスさんの持ち物だし。今回のは、皇室が持ってるやつで、なかなか公開されないという貴重な作品なんだよ」
「え………そうなの…?」
とがっかりしてました。
「私はあれもほんとに行けばよかったと思ってるんだけど(ほんとに、あー、なんで行かなかったんだ)、今日はどうしても見てみたい《はあと》のがあるから楽しみなんだよねー」
と、私はとにかく興奮しています。


待ちに待って、ようやく美術館へ入ることができました。展示室は第1と第2に分かれています。第1展示室には、仏教関係の掛け軸や、襖に描かれた鶴や竹や葡萄などの絵が展示されていました。なぜか襖のほうは人気がないようで、かなり空いていて見やすい。私は葡萄が描かれた襖に目が釘付けです。なんて洒落ているんだろう。つーか、この葡萄の実の感じがすごい。



葡萄の実の輪郭が、色を抜いて表現してあることに、驚愕。いえ、普通のことなのかもしれませんが、なんだか妙に衝撃でした。なんて葡萄っぽいんだろ。

トロピカルな芭蕉の絵や、「これはちょっと手抜き…?」と言うような竹林の絵も見ました(怒られるかな。でも竹の節がテキトーな感じなのです)。

出入り口が異常に狭くて寿司詰めの第1展示室をあとにし、いよいよお目当ての第2展示室へと向かいます。しかし、それへ続く通路はまだまだ長い行列で、第2展示室は入場制限されていることもあり、なかなか進みません。2時間待ったあとで、さらに待つ。この通路はガラス張りで、窓の向こうには、外の行列の人々がまだぎゅーぎゅーと待っています。我々もさっきまではあそこから中の人を見て、「なんか微妙な顔つきだな……」と思ったものですが、なるほど微妙な顔つきにもなるというものです。

しばらく待って、いよいよ第2展示室へ突入です。どきどき。
制限されているとは言え、結構な人だかりです。気張ってみるぜ!

今日の目玉は、《動植綵絵》と呼ばれる一連の作品。
ガラスに張り付くようにじりじりと横移動しながら、じっくりと眺めていきます。

とにかく、私を含めて周囲の人の口から出る言葉といえば「凄い」。とにかく「凄い」。これは「凄い」。有無を言わせぬ圧倒的な美の世界が繰り広げられています。なんという色彩感覚! ダイナミックな構図! 魅力!!

貝の絵では、青色がむちゃくちゃに美しいです。しかも相当にモダンなデザイン。エルメスのスカーフなんかにしたら、ばか売れしそうです。はあ、綺麗。
植物の葉や花の色も鮮明です。葉は虫に食われていたり枯れたりしているのもあるのですが、それがリアルなようでいて、それ以上に美しくもあるように見えるのが不思議。
鶏の絵で、後ろに向日葵と朝顔が一緒に描かれているものがあるのですが、その組み合わせになぜか大ショック。どちらも夏の花なのに、こういうふうに組み合わされるということを、私は知らなかった。美しい。

小鳥があちこちに描かれているのですが、中には変なポーズをとっていたり、顔が面白かったりしてたまりません。
水に飛び込もうとしている鴛鴦の佇まいに思わず吹き出します。間抜け顔、ぷぷ。でも、色はすげー綺麗。

そして、私がどうしても見たかった《はあと》のというのは、コレ。


《はあと》! ハートです!
なんて美しいんだ! 白い、白すぎる羽根に赤と緑のハート!! 白鳳の(タイトルは【老松白鳳図】)妖しい目つきもいい。ゴージャス~~。ああ、見にきて良かった。これはもう次にいつまた見られるか分かりません。なので、目を見開いてよくよく見てきました。
若冲は、とにかく羽根の感じが超越的です。あの質感はどうやって表現しているのでしょうか。発色も良く、生きた感じが滲み出ています。ブームになるわけだ。
K氏は、「地のうすい茶色が、他の色を引き立ててるな…」という鋭いようなことを言ってました。

他に良かったのは、蝶と芍薬。あれ、ここはユートピア?という感じに美が炸裂しまくっています。「もうだめだーー!」と私はちょっと錯乱しかけました。美しい。もうとにかく美しい。はあ……。


後ろ髪をぐいぐいと引かれつつも、ようやく第2展示室を出ると、そこは売店。図覧を売っています。思う壺ですが、私も速攻で購入。2500円は安い。フルカラーで今回の展示作品が載っていますが、もちろん本物の色合いには及びません。でも、とりあえずはいいや。なんせ、とにかく見るだけは見てきたので、あの迫力をいくらでも思い出すことはできます。
飛ぶように、図覧は売れていました。



結局、なんだかんだで半日がかりでしたが、すっかり満足です。
それにつけても「プライス・コレクション」に行かなかったのが悔やまれます。おお。今は名古屋で開催中。来週までなので、お近くの方は行かれるとよいでしょう。
相国寺でのこの展示は今日まででした。きっとすごく混んでたことでしょう。