このところ大ブームの伊藤若冲の展覧会に行ってきました。金曜日。仕事は休みました。だって、日曜で終了だっていうんだもの、働いてる場合じゃねえ。
場所は、京都の相国寺というお寺の展示室。ものすごく混んでいるという話はきいていましたが、実際2時間待ちました。疲れたー。ちょっと尋常ではない人出です。ほんとうにブームなんですねー。
「私は仕事を休んで『若冲展』に行くのだが、君も行くかね?」とK氏に尋ねたら、珍しく「行く」とのこと。変だなーと思ったら、どうやら彼はだいぶまえにやはり京都でやっていた同じく若冲の『プライス・コレクション』で展示されていた作品を見たかったらしく、今回の展覧会でもそれが見られると思っていたらしい。
「え? それは今日は見られないよ。だって、あれはプライスさんの持ち物だし。今回のは、皇室が持ってるやつで、なかなか公開されないという貴重な作品なんだよ」
「え………そうなの…?」
とがっかりしてました。
「私はあれもほんとに行けばよかったと思ってるんだけど(ほんとに、あー、なんで行かなかったんだ)、今日はどうしても見てみたい《はあと》のがあるから楽しみなんだよねー」
と、私はとにかく興奮しています。
待ちに待って、ようやく美術館へ入ることができました。展示室は第1と第2に分かれています。第1展示室には、仏教関係の掛け軸や、襖に描かれた鶴や竹や葡萄などの絵が展示されていました。なぜか襖のほうは人気がないようで、かなり空いていて見やすい。私は葡萄が描かれた襖に目が釘付けです。なんて洒落ているんだろう。つーか、この葡萄の実の感じがすごい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/e3/7d1b42e1fde22227b2068c57d81dd7df.jpg)
葡萄の実の輪郭が、色を抜いて表現してあることに、驚愕。いえ、普通のことなのかもしれませんが、なんだか妙に衝撃でした。なんて葡萄っぽいんだろ。
トロピカルな芭蕉の絵や、「これはちょっと手抜き…?」と言うような竹林の絵も見ました(怒られるかな。でも竹の節がテキトーな感じなのです)。
出入り口が異常に狭くて寿司詰めの第1展示室をあとにし、いよいよお目当ての第2展示室へと向かいます。しかし、それへ続く通路はまだまだ長い行列で、第2展示室は入場制限されていることもあり、なかなか進みません。2時間待ったあとで、さらに待つ。この通路はガラス張りで、窓の向こうには、外の行列の人々がまだぎゅーぎゅーと待っています。我々もさっきまではあそこから中の人を見て、「なんか微妙な顔つきだな……」と思ったものですが、なるほど微妙な顔つきにもなるというものです。
しばらく待って、いよいよ第2展示室へ突入です。どきどき。
制限されているとは言え、結構な人だかりです。気張ってみるぜ!
今日の目玉は、《動植綵絵》と呼ばれる一連の作品。
ガラスに張り付くようにじりじりと横移動しながら、じっくりと眺めていきます。
とにかく、私を含めて周囲の人の口から出る言葉といえば「凄い」。とにかく「凄い」。これは「凄い」。有無を言わせぬ圧倒的な美の世界が繰り広げられています。なんという色彩感覚! ダイナミックな構図! 魅力!!
貝の絵では、青色がむちゃくちゃに美しいです。しかも相当にモダンなデザイン。エルメスのスカーフなんかにしたら、ばか売れしそうです。はあ、綺麗。
植物の葉や花の色も鮮明です。葉は虫に食われていたり枯れたりしているのもあるのですが、それがリアルなようでいて、それ以上に美しくもあるように見えるのが不思議。
鶏の絵で、後ろに向日葵と朝顔が一緒に描かれているものがあるのですが、その組み合わせになぜか大ショック。どちらも夏の花なのに、こういうふうに組み合わされるということを、私は知らなかった。美しい。
小鳥があちこちに描かれているのですが、中には変なポーズをとっていたり、顔が面白かったりしてたまりません。
水に飛び込もうとしている鴛鴦の佇まいに思わず吹き出します。間抜け顔、ぷぷ。でも、色はすげー綺麗。
そして、私がどうしても見たかった《はあと》のというのは、コレ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/12/c394e8bff95d986cc76e004571704d48.jpg)
《はあと》! ハートです!
なんて美しいんだ! 白い、白すぎる羽根に赤と緑のハート!! 白鳳の(タイトルは【老松白鳳図】)妖しい目つきもいい。ゴージャス~~。ああ、見にきて良かった。これはもう次にいつまた見られるか分かりません。なので、目を見開いてよくよく見てきました。
若冲は、とにかく羽根の感じが超越的です。あの質感はどうやって表現しているのでしょうか。発色も良く、生きた感じが滲み出ています。ブームになるわけだ。
K氏は、「地のうすい茶色が、他の色を引き立ててるな…」という鋭いようなことを言ってました。
他に良かったのは、蝶と芍薬。あれ、ここはユートピア?という感じに美が炸裂しまくっています。「もうだめだーー!」と私はちょっと錯乱しかけました。美しい。もうとにかく美しい。はあ……。
後ろ髪をぐいぐいと引かれつつも、ようやく第2展示室を出ると、そこは売店。図覧を売っています。思う壺ですが、私も速攻で購入。2500円は安い。フルカラーで今回の展示作品が載っていますが、もちろん本物の色合いには及びません。でも、とりあえずはいいや。なんせ、とにかく見るだけは見てきたので、あの迫力をいくらでも思い出すことはできます。
飛ぶように、図覧は売れていました。
結局、なんだかんだで半日がかりでしたが、すっかり満足です。
それにつけても「プライス・コレクション」に行かなかったのが悔やまれます。おお。今は名古屋で開催中。来週までなので、お近くの方は行かれるとよいでしょう。
相国寺でのこの展示は今日まででした。きっとすごく混んでたことでしょう。
場所は、京都の相国寺というお寺の展示室。ものすごく混んでいるという話はきいていましたが、実際2時間待ちました。疲れたー。ちょっと尋常ではない人出です。ほんとうにブームなんですねー。
「私は仕事を休んで『若冲展』に行くのだが、君も行くかね?」とK氏に尋ねたら、珍しく「行く」とのこと。変だなーと思ったら、どうやら彼はだいぶまえにやはり京都でやっていた同じく若冲の『プライス・コレクション』で展示されていた作品を見たかったらしく、今回の展覧会でもそれが見られると思っていたらしい。
「え? それは今日は見られないよ。だって、あれはプライスさんの持ち物だし。今回のは、皇室が持ってるやつで、なかなか公開されないという貴重な作品なんだよ」
「え………そうなの…?」
とがっかりしてました。
「私はあれもほんとに行けばよかったと思ってるんだけど(ほんとに、あー、なんで行かなかったんだ)、今日はどうしても見てみたい《はあと》のがあるから楽しみなんだよねー」
と、私はとにかく興奮しています。
待ちに待って、ようやく美術館へ入ることができました。展示室は第1と第2に分かれています。第1展示室には、仏教関係の掛け軸や、襖に描かれた鶴や竹や葡萄などの絵が展示されていました。なぜか襖のほうは人気がないようで、かなり空いていて見やすい。私は葡萄が描かれた襖に目が釘付けです。なんて洒落ているんだろう。つーか、この葡萄の実の感じがすごい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/e3/7d1b42e1fde22227b2068c57d81dd7df.jpg)
葡萄の実の輪郭が、色を抜いて表現してあることに、驚愕。いえ、普通のことなのかもしれませんが、なんだか妙に衝撃でした。なんて葡萄っぽいんだろ。
トロピカルな芭蕉の絵や、「これはちょっと手抜き…?」と言うような竹林の絵も見ました(怒られるかな。でも竹の節がテキトーな感じなのです)。
出入り口が異常に狭くて寿司詰めの第1展示室をあとにし、いよいよお目当ての第2展示室へと向かいます。しかし、それへ続く通路はまだまだ長い行列で、第2展示室は入場制限されていることもあり、なかなか進みません。2時間待ったあとで、さらに待つ。この通路はガラス張りで、窓の向こうには、外の行列の人々がまだぎゅーぎゅーと待っています。我々もさっきまではあそこから中の人を見て、「なんか微妙な顔つきだな……」と思ったものですが、なるほど微妙な顔つきにもなるというものです。
しばらく待って、いよいよ第2展示室へ突入です。どきどき。
制限されているとは言え、結構な人だかりです。気張ってみるぜ!
今日の目玉は、《動植綵絵》と呼ばれる一連の作品。
ガラスに張り付くようにじりじりと横移動しながら、じっくりと眺めていきます。
とにかく、私を含めて周囲の人の口から出る言葉といえば「凄い」。とにかく「凄い」。これは「凄い」。有無を言わせぬ圧倒的な美の世界が繰り広げられています。なんという色彩感覚! ダイナミックな構図! 魅力!!
貝の絵では、青色がむちゃくちゃに美しいです。しかも相当にモダンなデザイン。エルメスのスカーフなんかにしたら、ばか売れしそうです。はあ、綺麗。
植物の葉や花の色も鮮明です。葉は虫に食われていたり枯れたりしているのもあるのですが、それがリアルなようでいて、それ以上に美しくもあるように見えるのが不思議。
鶏の絵で、後ろに向日葵と朝顔が一緒に描かれているものがあるのですが、その組み合わせになぜか大ショック。どちらも夏の花なのに、こういうふうに組み合わされるということを、私は知らなかった。美しい。
小鳥があちこちに描かれているのですが、中には変なポーズをとっていたり、顔が面白かったりしてたまりません。
水に飛び込もうとしている鴛鴦の佇まいに思わず吹き出します。間抜け顔、ぷぷ。でも、色はすげー綺麗。
そして、私がどうしても見たかった《はあと》のというのは、コレ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/12/c394e8bff95d986cc76e004571704d48.jpg)
《はあと》! ハートです!
なんて美しいんだ! 白い、白すぎる羽根に赤と緑のハート!! 白鳳の(タイトルは【老松白鳳図】)妖しい目つきもいい。ゴージャス~~。ああ、見にきて良かった。これはもう次にいつまた見られるか分かりません。なので、目を見開いてよくよく見てきました。
若冲は、とにかく羽根の感じが超越的です。あの質感はどうやって表現しているのでしょうか。発色も良く、生きた感じが滲み出ています。ブームになるわけだ。
K氏は、「地のうすい茶色が、他の色を引き立ててるな…」という鋭いようなことを言ってました。
他に良かったのは、蝶と芍薬。あれ、ここはユートピア?という感じに美が炸裂しまくっています。「もうだめだーー!」と私はちょっと錯乱しかけました。美しい。もうとにかく美しい。はあ……。
後ろ髪をぐいぐいと引かれつつも、ようやく第2展示室を出ると、そこは売店。図覧を売っています。思う壺ですが、私も速攻で購入。2500円は安い。フルカラーで今回の展示作品が載っていますが、もちろん本物の色合いには及びません。でも、とりあえずはいいや。なんせ、とにかく見るだけは見てきたので、あの迫力をいくらでも思い出すことはできます。
飛ぶように、図覧は売れていました。
結局、なんだかんだで半日がかりでしたが、すっかり満足です。
それにつけても「プライス・コレクション」に行かなかったのが悔やまれます。おお。今は名古屋で開催中。来週までなので、お近くの方は行かれるとよいでしょう。
相国寺でのこの展示は今日まででした。きっとすごく混んでたことでしょう。
K氏はなんかデジタルな感じで動物がたくさん描かれたでかい作品が見たかったらしいよ。私もそれは見たかったけど……。
若冲の鶏はすごく迫力あるよね。今回の展示のなかにもたくさん鶏のがありましたよ。私は尾っぽや足のリアルさ加減に圧倒されました。
ハートのはいいでしょ?
顔がなんとも言えず。なんでハートなの?ってところがまたいい。
東にも移動するといいねえ。
でもって私は、プライスコレクションがも一回西へ戻ってきてほしいなあ。
うらやましい・・・
プライスコレクションの名古屋イベントに(会社サボって)行くことにしてるんですが、相国寺にもぜひ行きたかった。
(気づいたら今日で終わってるじゃないですか!ああ・・・)
それにしても混雑はものすごかったようですね。公式サイトに混雑状況表示とかもあってちょっとビビりました。それにしても悔やまれます。
相国寺のは良かったですよ~。これからまだあちこちを回るんだといいですね。
混雑具合は、半端じゃなかったです。夕方は空いていたようなんですけどね。わりと年配の方ばかりでしたが、みなさんがんばって行列なさっていましたよ。
会場がもうちょと広ければ良かったんですが;
しかし赤ガエルさんはプライスコレクションのほうへは(会社をさぼって。お仲間ですね、ふふふ)行かれるとのこと。
うらやましーー!
ぜひともじっくり見てきてくださいませ!
私も、上野での『プライス・コレクション』は観ておりました。そして京都でも再度!と思ったら、美術館を間違えてしまった(京国ではなく市立だったのかな)という…涙。
プライス・コレクションでも、ntmymさんがご覧になった襖絵と似たような葡萄の絵のお軸があったんですよ☆ 私はそれが一番気に入って、絵はがきとか買いまくっていました。プライスが、大学卒業時に車を買おうと貯めていたお金を、その軸にはたいてしまった、という逸話があるらしく、彼の審美眼にも驚きです。
プライス・コレクションの図録なら持っていますので、お会いできる機会に恵まれましたら、お見せしましょう~♪私の家にもいつか遊びにいらしてくれたら嬉しいな!
外で長時間並んで、大変でした。テントは設置してあったのだけどね;
それにしてもプライスコレクションには行きたかった!
葵さんは図録をお持ちなのね!
私は相国寺のを持ってるので、いつか機会があれば見せ合いっこしましょう~♪
お宅にも伺いたいなあ。今は寒いけれども、いいところですもんね~。
老子の第四十五章。
原文
大成若缺、其用不弊。大盈若沖、其用不窮。大直若詘、大巧若拙、大辯若訥。躁勝寒、靜勝熱。清靜爲天下正。
大成(たいせい)は欠くるが若(ごと)く、その用は弊(すた)れず。大盈(たいえい)は沖(むな)しきが若く、その用は窮(きわ)まらず。大直(たいちょく)は屈(くっ)するが若く、大功(たいこう)は拙(つた)なきが若く、大弁(たいべん)は訥(とつ)なるが若し。躁(そう)は寒(かん)に勝ち、静は熱(ねつ)に勝つ。清静(せいせい)は天下の正(せい)たり。
現代語訳
本当に完全な物は何かが欠けている様に見えて、その働きは衰える事が無い。本当に満ちている物は空っぽに見えて、その働きは枯れる事が無い。本当に真っ直ぐな物は曲がっている見えて、本当に巧妙な者は下手くそに見えて、本当に能弁な者は口下手に見える。動き回れば寒さをしのげ、じっとしていれば暑さをしのげると言うが、清らかで静かな者こそが世界を支配しているのだ。
若冲とは、むなしきが如しとは露知らず(^^;
このドラマ、金曜日夕方六時ころにやっていて、財前直美と南野陽子が共演する。あと二回で終了で、最後は若冲の贋作者も分かる仕組みらしい。
>若冲とは、むなしきが如し
そういう意味だったんですね(^_^;)私も、想像すらしませんでしたよ! 勉強になりました~。
ところで、いま、そういうドラマがやってるんですか。あらすじをうかがうと、結構面白そうですね。しかし…今うちにはテレビがないのでした; うーむ。
それにしても、老子のこの章は胸に響くものがありました。私はこれまで何度か読んだつもりでしたが、例によって全然頭に入ってなかったという; たまには読み返さないとですね~(^_^;)