トーベ・ヤンソン 下村隆一訳(「ムーミン童話全集4」 講談社)
《あらすじ》
夏のムーミン谷に大洪水がおしよせてきました。ムーミン一家は大水をのがれて、流れてきた劇場へとうつります。
《この一文》
” 「ここには、わけのわからないことが、いっぱいあるわ。だけど、ほんとうは、なんでも自分のなれているとおりにあるんだと思うほうが、おかしいのじゃないかしら?」
こうムーミンママは、ひとりごとをいいました。 ”
ニョロニョロは種から生まれるのか。
今回のムーミン一家は、劇場に住みつきます。まわる舞台装置や何枚も用意された美しい背景画、劇場に暮すことなんて想像もつかないことですが、とても楽しそうです。しかも水に流れて移動してるし。災害に見舞われてもこのように気楽にやっていく精神を持ちたいものです。
スナフキンは24人の森の子供に慕われて、父親の苦労(飯の心配とか)と苦悩(観劇料の心配とか)を味わい、ちびのミイはアニメ版で認識していたよりもさらに辛辣な言葉(笑えないくらい黒い!)を吐き続け、ムーミントロールとスノークのおじょうさんのやりとりはまたしても私の胸を締め付けるのでした。
「わたしがすごくきれいで、あなたがわたしをさらってしまうというあそびをしない?」
(↑すごい遊びですね)
というスノークのおじょうさんに対して、いまいち気の乗らないムーミントロールの返事が、
「きみがすごくきれいだ、なんてことは、あそびにしなくていいんだよ。きみは、いまだって、ちゃんときれいなんだもの。ぼく、たいていきみをさらっちゃうよ。あしただけどさ。」
うぉお…、このくらいは言えるようになりたいものです。
それにしても、ムーミンパパが書いた悲劇はすごく面白そうでした。ライオンへのこだわり。