啄木鳥の詩

里山の自然と山野草・高山植物、低山歩きと野鳥観察

「オサバグサ」

2012-06-26 08:52:10 | 山野草

オサバグサという白くて、小さくて、可愛い花を初めて見た。“銀の鈴”に例えると大袈裟かもしれないが、日当たりの少ない樹林の中で真っ白に輝いている。場所は尾瀬国立公園の一角。桧枝岐村から東南に自動車で40分ほどの帝釈山ー田代(山)湿原の登山口・馬坂峠(1798M)から湿原手前までの間に群生しているのが見られる。地元の若者がオサバグサ祭りの記念バッジを配ってPRしていた。水芭蕉並みに有名になっても良い花に思えた。
=記念バッジ。

「オサバグサ」はケシ科オサバグサ属の多年草。日本固有種で1属1種。外見はシダの仲間に見えるが、そうではない。分類の仕方でケマンソウ科とされるが、これも??という感じ。オサバグサ科として独立させることもあるという。

シダ様の葉は根生で枚数が多く濃い緑色。長さは10-20センチで幅が2-3センチの細長い形。葉の中心部から花茎を直立させ、長さは15-20センチほど。白い4弁の花をいっぱい下向きに咲かせる。どこかでで聞いたようなありきたりの表現だが銀の鈴とした。何よりも清廉な感じが良い。花冠の長さは10ミリほど、花径は7-8ミリ程度。6-7月に咲く。今年は例年より開花が1週間遅れたそうだが、24日に訪ねた辺りが盛期に思えた。

日本特産種というのも嬉しい。高崎ハイキングSのSさん(山行のリーダー)は「八ヶ岳にもある」と教えてくれた。中部地方東北の亜高山帯の針葉樹林の林床に自生するという。馬坂登山口に入ってすぐの場所から群生が始まり、帝釈山の山頂直下、田代湿原手前まで群生が見られた。湿原以降の登山道脇には猿倉登山口まで殆ど見られない。

和名は「筬葉草(おさばぐさ)」。筬とは機を織る時に糸を通す櫛状のもの。葉の形がこれに似ている草ということのようだ。水芭蕉を尾瀬で初めて見たときというと大袈裟だが、久し振りに新鮮な思いで写真を撮った。
=あちこちで群生が見られた。

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