気ままな歳時記

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『星月夜』伊集院静 著

2012年01月24日 20時18分06秒 | 宮城県に馴染みの深い人々
 昨年のクリスマスイブに伊集院静さんのサインを頂いた『星月夜』は,伊集院さん初の推理小説という謳い文句でしたが,読み終わった後では,今,世の中に出ている普通の推理小説と言う感じの小説ではないという印象を受けました。

 トリックや謎を解き明かす人物など存在せず,登場人物を丁寧に描きあげ,いくつもの物語が絡み合い,結びつかない焦れったさもあり,本を読む中で頭の整理が出来ず,そして予想できないまま本を読み進めてしまいました。

 しかし,その後もどんどん本にのめり込んでいくようになり,本の残り枚数が少なくなる頃は,すっかりこの本の虜になっていて,もしかすると,普通の推理小説のように途中の話の整理や謎解きをしないのも伊集院さんの作戦なのかなと思ってくるようになりました。

 最後にスッキリとした犯人の動機や殺人の必然性の解説もないのですが,世の中で起こっている殺人事件は,実はこんなものかもしれないと思うし,とにかく読み始めてからこの本の不思議な雰囲気に包まれて,あっという間に読み終わったという感じでした。

 今後も伊集院さんは何作か推理小説的な作品を書いてくれるでしょうから,どんな風に物語を展開し,今度は,特別なトリックや特定の際だった人物が出てくるなども期待してしまいますね。

 『星月夜』