暗黒の深海でよく見つかる生物は何んでしょうか・・答えは「クラゲ」だそうです。
捕獲して地上で観察するのがとても難しく、その生態は謎に包まれているという。
ばらば深海で生きた姿を詳しく調べようと、探査する研究が動き始めたそうだ。
4Kなど最新鋭の映像技術を総動員する。 クラゲ観察を通して、地球環境の変動
や資源開発などによる海洋の生態系への影響をつかめるかもしれないという?
「地球はクラゲの惑星だ」。 海洋研究開発機構主任技術研究員の”ドゥーグル・
リンズィー博士”の持論だそうだ。
リンズィー氏は2019年初め、同機構の研究船「みらい」による南太平洋の調査
航海に参加した。 新開発の撮影システムを無人探査機「ディープ・トウ」に載
せ深海クラゲを調査するためだ。 システムを構成するカメラは17台。これま
でせいぜい5~6台だった台数を大幅に増やした。
カメラの種類も豊富に。高解像度ビデオカメラのほか被写体を立体的に捉えるシス
テムビデオカメラ、米粒ほどの被写体を立体的に撮影するホログラフィクカメラ
などをそろえた。ステレオカメラはクラゲの個体数の計測に、ホログラフィック
カメラは微小なクラゲの幼生や卵の観察に威力を発揮する。
視野や拡大率などが違う複数のカメラを組み合わせて初めて、クラゲの生態の全貌
が分かるようになるという。 17台のカメラの映像を一コマずつ人手でチェッ
クしていたのでは膨大な手間と時間がかかるため、機械学習など人工知能(AI)
の技術は欠かせない。 リンズィー氏は「映像の本格的 な解析はこれから。
どんなものが映っているのか楽しみだ」と話している。
これまでのクラゲ調査の大きな悩みは
よい手段がないことだったという。
クラゲは体がもろく弱いため、プラン
クトンネットという網で捕集する伝統
的な方法では、船に引き上げるまでに
ボロボロになってしまい、どんな種類
なのか分からなくなる場合が多かった。
もう一つ、詳しい分布状況を調べられ
ないのも難点だった。網で生物を一網
打尽にするので、深さや海域ごとにど
んな種類のクラゲがどれほどいるのか
わからなかった。 群れをなしている
のか散らばっているのかは、クラゲの
生態を知るうえで重要だが、それも不
明だったそうだ。
リンズィー氏は網でなくビデオカメラ
による観察に力を注いでいる。無人探
査機が三陸沖でかつて撮影した映像を
解析し、10年にクラゲとマンボウの
関係を解明する成果を上げて決断した。
三陸沖の映像では、クラゲは表層の水
温の高い暖水塊よりも、深くて水温の
低い冷水塊の方に多く生息していた。
また別の調査で、マンボウは暖水塊に
生息しながら冷水塊と接する深さまで時折潜っていることが突き止められていた。
2つの調査を総合して、マンボウは暖水塊で体温を保ちながら、好物のクラゲを食べ
るために冷水塊の最上部まで潜っている結果が明らかになったという。
リンズィー氏は現在、深海用に改造したハイビジョンの4倍の解像度がある4Kのビ
デオカメラを主に使い、4Kの4倍の解像度になる8Kの深海用ビデオカメラも開
発して試験を重ねている。 「8Kは色を精密に再現する性能にも優れている。
クラゲは透明なものが多いが、深海の黒い背景の中でも、その姿をきちんと識別
できる」(リンズィー氏)
多くのクラゲは体も小さく、被写体として画面のごく一部を占めるだけだという。
細部を観察して種類などを調べるには当然ながら解像度が高いほどよいそうだ。
また、普通の照明の代わりにスリットから出るような線状のレーザーを焦点の真
横から照射すると、そこを通過するクラゲの体内の微細な濃淡が浮かび上がる。
いわばクラゲの断層画像で、種類を調べるのに役立つそうです。
深海のクラゲ調査はこれから重要性を増すだろうといわれている。 地球温暖化に
よる海水温の上昇や海洋の酸性化、マイクロプラスチックなどによる汚染、水産
資源の乱獲など様々な環境変化が押し寄せる。 海洋生物はどんな影響を受ける
のか。 リンズィー氏は「海の生態系の大きな部分を占める深海クラゲの状況を
調べることが大事になる」と考えている。
日本では深海底の未利用鉱物資源の開発を検討しているそうだ。 この開発に伴う
深海の生態系への影響もしっかりと評価しなければいけない。
リンズィー氏は企業が深海クラゲの調査に参入すると見越して、安価で扱いやすい
撮影システムの開発も目指しているそうだ。 「多くの人に使ってもらって深海
クラゲの世界を明らかにしたい」と将来を楽しみにしているんだそうだ。
「クラゲ」・・・ ほぼ水分、もろくて弱い
水の流れより速く泳げない浮遊生物(プランクトン)の中の1つのグループをさす。
ゼラチン質の体の大部分は水分で占め、とても脆弱だ。サイズは様々で、成体
でも1㍉㍍以下のものから、多数の個体がくっついて見かけ上、全長40㍍に
達する種類もあるそうだ。
大きく2つに分類される。1つはイソギンチャクやサンゴなどと同じグループ
で、刺胞という毒針で小動物を仕留める。約3000種が知られている。
もう1つは粘着性の細胞を使って捕食する仲間で約150種いるという。
探査機を使って深海クラゲを撮影し映像を研究している研究機関は世界でも少
なく、海洋研究開発機構や米モントレー湾水族館研究所らが有名だそうです。
捕獲して地上で観察するのがとても難しく、その生態は謎に包まれているという。
ばらば深海で生きた姿を詳しく調べようと、探査する研究が動き始めたそうだ。
4Kなど最新鋭の映像技術を総動員する。 クラゲ観察を通して、地球環境の変動
や資源開発などによる海洋の生態系への影響をつかめるかもしれないという?
「地球はクラゲの惑星だ」。 海洋研究開発機構主任技術研究員の”ドゥーグル・
リンズィー博士”の持論だそうだ。
リンズィー氏は2019年初め、同機構の研究船「みらい」による南太平洋の調査
航海に参加した。 新開発の撮影システムを無人探査機「ディープ・トウ」に載
せ深海クラゲを調査するためだ。 システムを構成するカメラは17台。これま
でせいぜい5~6台だった台数を大幅に増やした。
カメラの種類も豊富に。高解像度ビデオカメラのほか被写体を立体的に捉えるシス
テムビデオカメラ、米粒ほどの被写体を立体的に撮影するホログラフィクカメラ
などをそろえた。ステレオカメラはクラゲの個体数の計測に、ホログラフィック
カメラは微小なクラゲの幼生や卵の観察に威力を発揮する。
視野や拡大率などが違う複数のカメラを組み合わせて初めて、クラゲの生態の全貌
が分かるようになるという。 17台のカメラの映像を一コマずつ人手でチェッ
クしていたのでは膨大な手間と時間がかかるため、機械学習など人工知能(AI)
の技術は欠かせない。 リンズィー氏は「映像の本格的 な解析はこれから。
どんなものが映っているのか楽しみだ」と話している。
これまでのクラゲ調査の大きな悩みは
よい手段がないことだったという。
クラゲは体がもろく弱いため、プラン
クトンネットという網で捕集する伝統
的な方法では、船に引き上げるまでに
ボロボロになってしまい、どんな種類
なのか分からなくなる場合が多かった。
もう一つ、詳しい分布状況を調べられ
ないのも難点だった。網で生物を一網
打尽にするので、深さや海域ごとにど
んな種類のクラゲがどれほどいるのか
わからなかった。 群れをなしている
のか散らばっているのかは、クラゲの
生態を知るうえで重要だが、それも不
明だったそうだ。
リンズィー氏は網でなくビデオカメラ
による観察に力を注いでいる。無人探
査機が三陸沖でかつて撮影した映像を
解析し、10年にクラゲとマンボウの
関係を解明する成果を上げて決断した。
三陸沖の映像では、クラゲは表層の水
温の高い暖水塊よりも、深くて水温の
低い冷水塊の方に多く生息していた。
また別の調査で、マンボウは暖水塊に
生息しながら冷水塊と接する深さまで時折潜っていることが突き止められていた。
2つの調査を総合して、マンボウは暖水塊で体温を保ちながら、好物のクラゲを食べ
るために冷水塊の最上部まで潜っている結果が明らかになったという。
リンズィー氏は現在、深海用に改造したハイビジョンの4倍の解像度がある4Kのビ
デオカメラを主に使い、4Kの4倍の解像度になる8Kの深海用ビデオカメラも開
発して試験を重ねている。 「8Kは色を精密に再現する性能にも優れている。
クラゲは透明なものが多いが、深海の黒い背景の中でも、その姿をきちんと識別
できる」(リンズィー氏)
多くのクラゲは体も小さく、被写体として画面のごく一部を占めるだけだという。
細部を観察して種類などを調べるには当然ながら解像度が高いほどよいそうだ。
また、普通の照明の代わりにスリットから出るような線状のレーザーを焦点の真
横から照射すると、そこを通過するクラゲの体内の微細な濃淡が浮かび上がる。
いわばクラゲの断層画像で、種類を調べるのに役立つそうです。
深海のクラゲ調査はこれから重要性を増すだろうといわれている。 地球温暖化に
よる海水温の上昇や海洋の酸性化、マイクロプラスチックなどによる汚染、水産
資源の乱獲など様々な環境変化が押し寄せる。 海洋生物はどんな影響を受ける
のか。 リンズィー氏は「海の生態系の大きな部分を占める深海クラゲの状況を
調べることが大事になる」と考えている。
日本では深海底の未利用鉱物資源の開発を検討しているそうだ。 この開発に伴う
深海の生態系への影響もしっかりと評価しなければいけない。
リンズィー氏は企業が深海クラゲの調査に参入すると見越して、安価で扱いやすい
撮影システムの開発も目指しているそうだ。 「多くの人に使ってもらって深海
クラゲの世界を明らかにしたい」と将来を楽しみにしているんだそうだ。
「クラゲ」・・・ ほぼ水分、もろくて弱い
水の流れより速く泳げない浮遊生物(プランクトン)の中の1つのグループをさす。
ゼラチン質の体の大部分は水分で占め、とても脆弱だ。サイズは様々で、成体
でも1㍉㍍以下のものから、多数の個体がくっついて見かけ上、全長40㍍に
達する種類もあるそうだ。
大きく2つに分類される。1つはイソギンチャクやサンゴなどと同じグループ
で、刺胞という毒針で小動物を仕留める。約3000種が知られている。
もう1つは粘着性の細胞を使って捕食する仲間で約150種いるという。
探査機を使って深海クラゲを撮影し映像を研究している研究機関は世界でも少
なく、海洋研究開発機構や米モントレー湾水族館研究所らが有名だそうです。