農業じゆう人

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「鍋」

2020年01月16日 12時46分28秒 | 世間
  真冬の江戸で、町内の旦那衆らが火の用心ために、夜のかいわいを巡ることになった。
  一回りに、いったん番小屋に戻ったが、寒いのなんの。  炭火を囲んでいるとその
   一人が「実はこんなものを」とヒョウタン入りの酒を取り出した。 別の一人は、
   味噌と猪の肉 ・・ やがて宴会が始まってしまった。
  これ、若くして亡くなってしまった、"古今亭志ん朝師匠"が好んで高座にかけた一席
   「二番煎じ」です。 番小屋での酒食は本来は禁止なのだが、後ろめたい一杯がは
   らわたにしみ通った時の表情や、煮えたネギが口の中でおどるしぐさが、客の笑い
   を誘い、また食欲をそそったものでした。
  この落語の舞台から何百年か、鍋はいまでも冬の料理の主役であり続けています。

  スーパーで驚くのは昨今の鍋用スープの種類の豊富さだ。 一般的な塩やしょうゆの
   ほか、カレーにトマト風味のものもある。 白菜にもやし専用と食材に特化した品
   も含め、棚を埋めている。 鍋奉行に加え、アク代官に町(待ち)娘、火消し役も
   集まって卓につけば、どんな味だって落語の面々のごとき一体感が生まれよう・・。

  いっそ双方の代表らも鍋を囲んだらどうだろうか。 野党第一党と第二党の合流協議
   がまだまとまらないという。 「桜を見る会」や汚職事件で敵失が続く中、素人目
   にみても歯がゆく感じる向きは多いのではないでしょうか・・。
   「いい味加減。甘くなく辛くなく」。 落語にこんなくだりがあります。
   様々な材料が交わって生まれる滋味。 湯気の奥に見えるものもあろう。
   いつまでもこんな状態が続いているようでは、日本の進歩は見えないのでは・・。
   両党首殿 同でしょうか・・。
  

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