ちょい不良ゴーシュの豪酒録

何年やってもビギナーチェリストの日記

ショパン生誕200年記念「石川県縦断ピアノコンサート」@加賀市文化会館

2010年03月23日 21時19分01秒 | 演奏会
3月21日(日)に加賀市文化会館でショパン生誕200年記念「石川県縦断ピアノコンサート」が行なわれた.

この日は黄砂が大量に降り,ドロドロになった車で加賀市までドライブ.
当日券をgetするため,開場時間の20分前には会場に着いたのですが,すでにホール前には行列が出来ている.
これも今日のゲストの菊池洋子さんの影響か?
さすが,人気が高い実力派の若手ピアニスト.

第1部はオーディション合格者による演奏.
この日演奏した合格者は,わずか2名.
人数は少ないが,ふたりともなかなか聴かせる演奏.
とりわけ大学生が弾いたピアノ・ソナタ第2番第1楽章は熱演.
全身をフルに使ってソナタと格闘している感じ.
迫力ありました.

第2部は加賀市教育委員会推薦による地元のピアニスト達の演奏.
加賀市在住のピアニスト横山舞さんが案内役.
ショパンの生涯を語りながら,子供達がピアノ曲を披露する形式の演奏会.

“ショパンは1810年,ワルシャワの近くの町で生まれ,幼いときから天才ピアニストとして知られていました.
7歳で初めての作曲,8歳で初めての演奏会を開きました.”


というようなトークの後,小学6年生の女の子が「子犬のワルツop.64-1」を演奏.
子供らしい子犬のワルツで,かわいらしい演奏.


“12歳で本格的に作曲などを学び,16歳でワルシャワ音学院に入学.
1829年,19歳で音楽の都ウィーンへ赴き,演奏会を開きました.”


ここで「ワルツop.64-2」.
物憂げな雰囲気を高校生が情緒たっぷり表現.

“ショパンは多才な人物で,漫画を描いたり,ものまねを演じたり,ユーモアたっぷりの人気者だったとか?
ウィーンでの演奏会も大成功で,社交界でも一躍有名になりました.”


ここで3曲目,「ワルツ遺作ホ短調」をしっとりと聴かせる.
中学生が弾いたけれど,大人びた香りがたっぷり.

“ウィーンで成功してまもなく,故郷ワルシャワはオーストリアからの独立を目指して蜂起.
ウィーンでは反ポーランドの風潮が強まり,また動乱の故郷に戻ることも出来ない.
ショパンはパリ行きを決断.
そして,パリでワルシャワの陥落を知り,革命のエチュードを作曲したという.”


ここで大学生が伝説の「革命のエチュード」を演奏.
怒りと悲しみが激しい.

“パリでデビューしたショパンは,繊細なタッチとロマンチックな旋律でパリの上流階級でも有名人になりました.
そこで伯爵家の娘マリア・ヴォジンスキと恋に落ち,彼女にピアノ曲を献上しました.
伯爵であるマリアの父親は,この恋に大反対.
この曲は後に「別れの曲」と言われるようになりました.”


ここで「エチュードop.10-3」.
甘くて切ない「別れの曲」.

“マリアと別れて2年,ショパンと文筆家ジョルジュ・サンドとの交際が始まります.
この時期にショパンの多くの作品が生まれました.
いずれも即興的で繊細であり,時として祖国愛に満ちた情熱的な作風の傑作です.
ショパンは多くのピアノ曲を残し,39歳の若さで世を去りました.”


ここで「幻想即興曲op.66」.
ピアノをやっている人なら絶対弾けるようになりたいと思う憧れの曲.

そして最後に,横山舞さん自身の演奏で「華麗なる大ポロネーズop.22」.

第2部で語られたストーリーと曲が史実に忠実であるなしに関わらず,この企画はショパンの生涯と作品の特徴を分かりやすく説明した面白いものでした.
今年のLFJのテーマであるショパンについて,いい予習ができました.


第3部は菊池洋子さんのリサイタル.
真っ赤なドレスに身を包んてステージに登場した姿を見て,思わず「デカイ!」.
まるでモデルさんのように背が高く,スタイルがいい.
今どきの売れっ子音楽家って,みんなビジュアルもハイレベル.

ピアノはキリリと引き締まっている.
キビキビとしていて,鋭い感覚の音.
ピアニッシモからフォルテッシモまで一瞬のスキも見せない.
静かな海に沈潜していくような深い音から,作品の骨格が浮かび上がるような荒々しい音まで,全てが緊迫感に満ちている.
気合というかオーラというか,そんな感じが凄いピアニストでした.

自分が聴いた石川県縦断ピアノコンサートは,この加賀公演で3回目.
3週連続でショパンのピアノ曲を生演奏でたっぷり聴いた.

ちなみに,次の週末もピアノコンサートは開催されます.
でも,岡山へ行かなくてはならない予定なので,コンサートは聴きに行けない.
ちょいと残念デス.