今日は製薬会社とウエスタン大学の見学です.
朝早くにUCRを出発したのですが,フリーウエイが大渋滞.
片側6車線ある高速道路が慢性的に渋滞するとは,やはりアメリカは車大国です.
左側の有料のFast Laneに入れば大渋滞も何のその.
でも,Fast Laneは入る前に大渋滞だったので,普通のレーンを走ってしまう.
そのうちに,Fast Laneに入りそびれて,大渋滞に巻き込まれました.
到着予定時間を大幅に遅れて,Irvine市にあるPar Pharmaceuticalへ.
全米4位のジェネリックの会社です.
ちなみに,アメリカの処方薬に占めるジェネリックの割合は90%.
医療保険会社が,低コストのジェネリックを使うよう指示しています.
まずは,製造ラインの見学です.(写真撮影は禁止.)
First Penguinsたちは,白衣,靴カバー,髪カバー,保護メガネを着けます.
エアシャワーをくぐって,窓越しに,最先端の製造機器を見せていただきました.
このとき合成していたジェネリック薬は,抗うつ薬のBupropion.
先発品に比べて持続性が格段と向上しています.
原末を顆粒化,錠剤化,コーティング化,印字化する工程を,詳しく説明していただき,じっくりと機械や社員の働く様子を見学.
顆粒化のプロセスが成功しないと,以後の工程でトラブルが頻発するらしく,これが一番重要.
規格から外れた製品は,専門の業者が処理するそうです.
コーティングが持続性に影響するので,慎重に製造方法を工夫している.
ちょっとでもこの工程でパラメーターが変わると,持続性が維持できない.
錠剤や印字する鋳型(mold)の見本もわざわざ見せていただきました.
薬剤学のいい実地勉強.
日本の会社見学よりも,丁寧で親切.
とてもありがたい経験です.
会社の概要の説明後,質疑応答.
持続性の工程で,大量の溶媒を使うので従業員の健康に細心の注意を払っているとか.
会社の近くのチャップマン大学と共同研究しているとか.
この工場には薬剤師が2~3名いるが,品質管理などの申請書類やら法律や規制をクリアするのに必要なペーパーワークをやっているとか.
日本では,医師がジェネリックを使いたがらない.
でも,アメリカは医師よりも,医療保険会社が薬の決定まで口を出す.
国民の健康よりも,医療ビジネスが優先されている.
Par Pharmaceuticalは,薬学に関わる次世代の教育に熱心な会社という印象.
異国の日本からの見学も気持ちよく受け入れてくれました.
とても広くて大きなgenerosityに感謝した会社見学でした.
お昼ごはんは,Laguna Beachでお弁当.
これぞカリフォルニアと思わせる美しい海岸線.
プライベートでのんびり訪れてみたいところ.
ここに連れてきてくれて,エドさんありがとう.
午後は,Western大学薬学部を訪問.
地図ではPomona市までは近そうに見えたけれど,実際に車で移動すると結構時間がかかる.
やはり,アメリカは広い.
Western大学のPharm.D.教育の目玉はBlock Education System.
1つの科目を集中的に勉強するシステム.
ほかのことに気を取られず効率よく勉強できるのがメリットらしい.
一科目に集中して勉強すると,息がつまりそう.
でも,学生からの人気も高い勉強法らしい.
アメリカの薬学部はgraduate school.
だからこそ出来るシステムで,日本の学部教育(undergraduate)には向かないと思う.
なんでもアメリカの教育方法を真似したがる文科省が,このBlock systemにどう反応するのか,ちょっと恐ろしい.
この大学では,午前中に講義を行い,午後からはグループワークで課題学習.
課題は,患者の症例研究(case study)を主に扱うらしい.
グループワークをやる前には,かなりの予習が必要との話.
形だけを真似してグループワークを取り入れようとする日本やりかた,ちょっと違う気がします.
講義室は壁全面にスクリーン.
日本では考えられないような教室のレイアウト.
グループワークに適しています.
でも,場所によっては先生の顔が見えなかったりするらしい.
そのため,毎日,席とりが激しいそうです.
競争社会のアメリカ.
席とりまでも,競争か?
我々のツアーに同行してくれた東邦大学と神戸学院大学の日本人留学生の2名とキャンパスで記念撮影.
First Penguinsの中からもPharm.D.に挑戦する人が出てきて欲しいものです.