ちょい不良ゴーシュの豪酒録

何年やってもビギナーチェリストの日記

廃棄溶媒の搬出

2009年02月26日 20時11分07秒 | Weblog
研究室の半年分の有機廃液の搬出日.
今回はシリカ3缶を含めて合計10缶.
うちの部屋にしては珍しく少ない量です.

昨年5月にGCMSを入れたので,以前のようにガンガンとクロマト流さなくても反応の結果がわかるようになった.
おかげで,無駄な単離操作を行わず,有機廃液の量はグンと減少.

また,院生が国試の勉強に集中したり,春節でお国に帰省したりで,実験室のアクティビティーも落ちているかも・・・?

貴重な資源である有機溶媒の無駄な使用が減って,なおかつ重要できれいなデータを出すこと.
これが,Green Chemistryを志向する現代の流れ.

廃液が少なかったのは,仕事量が落ちているのではなく,仕事がGreeeeeeenになったからだと,ボスには言っておきましょう.

ところで最近,よく使われる有機溶媒のひとつであるアセトニトリルが品薄状態であるという話を聞いた.
アセトニトリルは,自動車のダッシュボードなどに利用されるポリウレタンを合成する際の副生成物です.
未曾有の世界的不況で,自動車産業が低迷し,その影響でポリウレタンの需要が落ち,アセトニトリルが出来なくなっているということ.
化学合成やっている製薬会社は必死でアセトニトリルをかき集めているらしい.
「風が吹けば桶屋が儲かる」の逆パターン.

不況になったからと言って病気になる人が減ることはないので,製薬産業は不況に強い業種と言われていたけれど,不況の連鎖の落とし穴にはまりましたね.

ちなみに,うちの部屋で最近開発したアンチモン(Sb)化合物を使ったN-Arylationでも,アセトニトリルを使うと効率がいいんです.
せっかく面白い反応見つけても,アセトニトリルが入手しにくい状況だと,学会発表や論文でちょっと宣伝しにくいなぁ.
(もともと地味な研究ですが・・・.)



中盛り・煮たまご@麺屋 達

2009年02月24日 12時01分11秒 | 北陸ラーメン大学
ひと昔前の金沢ラーメンのイメージは,醤油か塩か分からないくらいの透明で薄い色のあっさりスープ.
いわゆる,中華そば系ラーメン.

でも,最近の金沢では豚骨醤油系のラーメン店が大ブーム.
そのさきがけ的な店のひとつに麺屋「達」がある.

グツグツと煮込んだ豚骨と節系のにごったスープを網でろ過し,ろ液を醤油ダレと自家製鶏脂にあわせる.
男前のあんちゃんが作る荒々しいラーメンだが,スープを味わった感じは,見た目ほどくどくない.
味が深く,一度口にしたらクセになりそうな誘惑を感じる.

ストレートの太麺は食べごたえ十分.
獣汁のようなワイルドなスープにも負けない迫力の麺.
この麺いいねぇ.

チャーシューはホロホロと軟らかく,甘みがあって美味しい.
サイズが小さめなのが残念.

うっすらと味がしみた煮たまごの白身は,プルプルのプリンみたい.
さらに,黄身がクリームシチューのようにトロリとしていて,素晴らしい.
この煮たまごは黄金色の金メダル.

いつも行列待ちを覚悟しなければならないのは,ラーメンとイケメン店主の魅力のためかも知れない.
(ちなみに,イケメン店主はうちの学校の卒業生です.ガンバレ!)

The Rock

2009年02月23日 13時08分49秒 | 映画・ドラマ
自分の信念を貫き,愛するもののために命をかける男たち.
どんな立場に置かれても,自分の責務を全うする尊さ.

こういう意味では,The Rockのグッドスピード(ニコラス・ケージ),メイソン(ショーン・コネリー),ハメル将軍(エド・ハリス),アンダーソン中佐(マイケル・ビーン)は皆なサムライの精神を有する戦士だと思った.

祖国のために命を犠牲にした戦士たちの上官ハメルは,自らの正義のために81人の観光客とサンフランシスコ市民を人質に猛毒のVXガスミサイルとともにアルカトラズ島の監獄,通称The Rockに立てこもる.

アンダーソン中佐が率いる特殊部隊Sealと共に,FBIの化学兵器処理担当のグッドスピードと元英国諜報部のメイソンがミサイル発射を阻止するためにアルカトラズ島へ潜入する.メイソンは鉄壁の要塞アルカトラズ島から脱走した唯一の人間だった.

永きにわたって幽閉されていたメイソンは人間を信じない.
この特殊任務のためにシャバに出ても,常に逃走を試みる.
シスコ名物の市電を巻き込んだカーチェイスはド迫力.
(フェラーリがペチャンコに・・・.)

でも,それは愛する娘に自分の存在と真実を知らせるための手段でもあった.
FBIのグッドスピードはメイソンのそんな一面を理解する.

潜入したSealは全滅しグッドスピードとメイソンは絶対絶命のピンチ.

Sealが全滅するシーンも胸を打つ.
ハメル将軍の言い分も正義だし,アンダーソン中佐の言い分も正義.
結局,この社会は矛盾だらけで正義なんてものは存在しない.

自分の与えられた義務を全うするため,銃を離さず全滅覚悟で乱射するマイケル・ビーンはTerminatorのカイルの姿とだぶってしまう.
こういう役にぴったり.

職業軍人ではないグッドスピードは生まれてくる息子のため,そしてメイソンは愛する娘のため,ミサイル誘導チップを破壊する.
任務を超えた存在である家族のためなら自己犠牲すらいとわない.

VXガスを敵に浴びせたグッドスピードは,最後に自分の心臓に強心剤を打ちながら職務を果たす.
壮絶な戦いに挑む勇気と,メイソンを「蒸発」させる正義感にあっぱれ.

グッドスピードのこの精神が普段ありがとうと言わないメイソンをしてありがとうと言わしめた.

彼の勇気と正義と人への愛がアルカトラズ島の事件を解決したばかりではなく,人間不信で頑固な男の心をも開いたのだ.

アクションといい,ストーリーといい,画像の出来といい,あらゆる点で最高の映画.

日本全滅の危機を救うジャーナリストを描いた誇大宣伝で内容がない,どこかの国のヘッポコな山岳映画とは格段の差.

   




コスモサイエンス

2009年02月18日 17時35分10秒 | Weblog
2月13日(金)にスーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)に指定されている金沢市内の高校生たちが薬学部にやって来ました.

SSHとは,文部科学省が科学技術や理科・数学教育を重点的に行う高校を指定する制度のことです.
その目的は,理科・数学に重点を置いたカリキュラムの開発や大学・研究機関との連携し,科学技術系人材を育成することです.

近年の日本では,若者の理系離れが深刻です.
そこで文科省が音頭をとり,頭が柔軟な高校生が多方面の研究施設を直接訪問し,見学,研修,実習などを体験することにより科学技術に対する興味や理解を深めてもらおうという趣旨です.
そのプログラムの一環として,今回彼らは薬学部を訪問しました.

薬学部というと,薬剤師の育成のための学部というイメージが強いかも知れません.
しかし,実際は薬に関するさまざまな生命現象を幅広く研究している学際的な学部なのです.
薬と患者のかかわりを専門とする臨床系の講座,薬の効き目や剤形を研究する講座,病気の原因となる遺伝子や微生物を研究する講座,薬効が期待できる生理活性物質を天然から探ったり合成法を研究する講座など,いろいろな分野のエキスパートが活発に働いています.

これらの中で,今回は創薬科学のスタッフが高校生と一緒に人工甘味料として利用されているサッカリンの合成を行いました.
サッカリンは,病気で血糖調節が出来ない人が甘みを楽しむために,現在でも使われています.



o-トルエンスルホンアミドを使えば,酸化して閉環させるだけの簡単な化学実験です.
簡単だけど,高校生たちは日ごろ勉強ばかりで,理科の実験なんてほとんどやらない.
実験室の器具や装置を実際に利用するのは初めての初心者のはずです.
それでも,素早く理解して,楽しそうに手を動かすなんて,さすがSSHの生徒たちだなぁと感心しました.


ワイワイ,ガヤガヤ2~3時間悪戦苦闘して,いろいろなサッカリンの結晶が出来ました.
うまく出来たり,そうでなかったり,結果はまちまちです.
でも今日は,化学合成を体験することが目的です.
結果なんて,どうでもいいんです.

合成した甘味料をなめた高校生の感想が素直で面白い.

粉っぽい.(注:結晶が荒いとザラザラします)
ちょっと苦い.(注:塩酸をよく洗浄していないと雑味がします)
甘みが強い.(そりゃそうだ.人工甘味料だもの)
上品な甘さ.(そう言う君はサッカリンのソムリエになれるぞ?)

自分たちが造った結晶が甘みを有することに全員感動していました.

実験終了後,高校生は学食へ移動して本物のスイーツを食べながら,本日の感想をアンケートに記入.
春色を思わせるピンク色のストロベリークリームで包まれたフルーツケーキは,甘くてちょっぴりすっぱい.




高校生諸君には言えなかった本音をここで披露しよう.

化学ってこんなに「甘いもの」じゃない.
本当は,つらく厳しく大変な作業の連続なんだ.
だから,毎日の勤勉の代償として美しい自然の法則を見出した時,我々はそれに敬意を払い,誇りに思うんだ.

来美めん@こいや来屋

2009年02月17日 13時39分24秒 | 北陸ラーメン大学

醤油の香りが命である一品というと,何を思い浮かべるだろうか?

松茸のお吸い物,お寿司のむらさき,ざるそばのつゆ・・・・.

富山のこいや来屋の「来美めん」は,まさに醤油の香りが芳しいラーメン.
あっさりスープだけど,いい香り.
鶏がらのだしがメインで,控えめな草食系の味.

豚のチャーシューは,ちょっと固めで味付けも浅く,単なる肉の固まりみたい.
でも,一緒に入っている鶏肉が絶品.

そうです.
「来美めん」には豚チャーシューのみならず,鶏肉もトッピングされているのです.
2種類のお肉が楽しめるお得な一品です.
そして,これがまた美味しい.
醤油ダレでしっかり煮込んでホロホロとして溶けそう.
肉とタレの甘みが,脂の抜けたヘルシー鶏肉からにじみ出る.
これ,本当にうまいッス!

麺はやや縮れ気味の細~中太麺.
ツルツル,スベスベしていて,口の中に滑り込むように入る.
細い割には弾力があって,食後に「食べたーっ」という満足感あり.

煮玉子の白身にはうっすらと茶色のタレの色が付いている.
見た目は薄いが,甘いタレの味がしっかり黄身まで浸み込んでいる.

白髪ネギが醤油の香りを引き立て,シャキッとした食感を演出.
ラーメンの色彩も豊かにする.

メニューにあった鶏肉ラーメンも期待高し.