ちょい不良ゴーシュの豪酒録

何年やってもビギナーチェリストの日記

大野ストリングス愛好会第16回発表会@誓念寺中野こども園(大野)

2018年11月12日 01時25分27秒 | 演奏会
11月11日(日)に大野ストリングス愛好会の第16回発表会が開催されました.
今年もチェロのエキストラで参加させて頂きました.

今年の会場は「誓念寺中野こども園」.
新築でとてもきれいなこども園.
天井も高く,音が心地よく響きます.



1曲目はエルガーの「セレナード」より第1楽章
エルガーが3回目の結婚記念日に奥様のキャロライン・アリスへ送った曲.
この曲の聴きどころは,2ndとVaが作る美しいハーモニーにのってソロ・バイオリンが愛のメロディーを情感たっぷりと歌い上げるところ.
ソリストの腕の見せ所です.

この曲でチェロが楽しいのは2つ.
1つめは,曲の中間部でシャープ4つのホ長調に転調したところ.
ベースと一緒に曲を明るく前へ前へと押し出すように頭打ちする.
暖かみがあって明るいホ長調の雰囲気が楽しい.

もうひとつは,後半のサビの部分.
1st vn.とチェロが駆け上がって,この曲の頂点に達します.
愛の高まりを歌うメロディーが劇的でロマンチック.
チェロのハイポジションがなかなかビシッと決まらないのが,玉にキズ.
そのメロディーの下で,ごうごうと激しく鳴り響く低弦も,愛の激しさを物語っています.

短いけれども,きれいに演奏するのはなかなか難しい曲でした.

2曲目はMozartのピアノ協奏曲第27番より第3楽章
1年に1楽章づつ分けて演奏したので,3年がかりで全曲をやっと弾き切りました.
やれやれ.

とくに第3楽章は天国的な美しさを持つMozartの辞世の歌.
純粋で無邪気な春の歌から,突然,物憂げな寂しさへ転調するところ.
この明るい光と影の対比が心を打つ.
ソリストのピアニストさん,最高でした.

この曲の最後は明るい表情で曲を締めくくりましょう,と指導者の先生に何度言われたことか.
27番協奏曲の練習から本番に至るまでの全ての時間が,Mozart好きのちょい不良ゴーシュにとって宝物のような貴重な体験でした.

3曲目はベートーベンのピアノ協奏曲第4番から第1楽章
室内楽的な響きに秘めた美しさがある曲.
数本の管楽器を加えた少人数の弦楽合奏にピッタリの名曲.

冒頭,ピアノとオケのひそひそ話でコンチェルトが始まる.
まるで小さな声で控えめに「さあ,これから楽しい音楽の時間が始まりマス.」とささやき合っているように聴こえる.
ささやかに始まった音楽が,ベートーベンらしく堂々と大きな響きに広がっていく.

なかでも,ピアノの最後のカデンツァ,ものすごかった.
聴いていて,背筋に電気が走るほどの迫力と気合い.
ピアノ一台が会場を支配していました.

そのピアノに引っ張られて,完全燃焼のコンチェルトでした.



休憩をはさんで,後半はハイドンの交響曲第77番
ハイドンが1791年にイギリスを訪れ,第一期ザロモンセットと呼ばれる93番~98番の名作を生み出した事は有名.
ハイドンのイギリス訪問の計画は,実はそれ以前にもありました.
交響曲76番,77番,78番の3曲はその計画が持ち上がった時にイギリスで演奏する目的で作曲されました.
この時の渡英は結局実現しませんでしたが,後にイギリスの出版社から出版されたこともあり,この3曲は「イギリス交響曲」とも呼ばれています.

この曲は対位法が駆使されていて,第1楽章と第4楽章は,各パートが重なり合いや掛け合いをする.
テーマが絡み合いながら複雑に展開.

特に終楽章のチェロバスは,16分音符の速弾きが恐怖.
なんとか,ボソボソとごまかして終わった?
第2楽章のVaとVcが重なる静かなフレーズも,ちょっと危険だった?

古典と言えども,しっかり練習しないと,曲の速さに撃沈してしまう難曲.
ハイドンは,あなどれません.



アンコールは久石譲の「隣のトトロ」のテーマ
やっぱりトトロはいいね.
いくつになっても,心の中のトトロを忘れずにいたい.

ちなみに,越前大野は,ひょっとしたらトトロがいるかも?と思わせるような,自然があふれた街.
中野こども園のグラウンドには,トトロの友達のゴジラ(?)が演奏会に耳を傾けていました.




上越交響楽団第80回定期演奏会@上越文化会館大ホール

2018年03月19日 20時26分42秒 | 演奏会
3月18日(日)に行われた上越交響楽団の第80回定期演奏会を聴きに行きました.
定期演奏会が80回も続いているなんて素晴らしい.

この日のプログラムは,

ウェーバー オイリアンテ序曲
モーツアルト 交響曲第31番「パリ」
チャイコフスキー 交響曲第1番「冬の日の幻想」




ウェーバーのオイリアンテ序曲は,とても勢いがあって颯爽とした演奏.
冒頭から飛ばしまくり,とてもスピーディー.
なかほどの弦楽器の対位法の部分も,がっしりと重厚感があり,聴きごたえ十分.
フィナーレが華麗に決まったところで大拍手でした.

モーツアルトの「パリ」は,バイオリンのみんさん,お疲れさまでしたと言いたくなる速さ.
第3楽章など,かなり苦しそうでしたが,なんとか最後までたどり着いたという感じ.
聴いているほうも,最後の音が終わって,ホッとしました.
シンプルだけど難しそうな曲でした.

メインのチャイコの「冬の日の幻想」を聴きたくて,今日はこの演奏会に足を運んだのでした.
ライブで聴くチャンスがあまり多くない曲.
ヨーロッパ的な美的感覚で洗練されたチャイコ独特のロマンティックな雰囲気が生まれる前の作品.
ロシアの匂いがプンプン漂う民族色が濃い交響曲.
壮大さを感じさせるスケール感は,ロシア音楽の醍醐味.

そのなかで,第2楽章冒頭の弦楽合奏がとても美しかった.
また,フィナーレはとてもワイルドで情熱的な演奏.
アマオケらしい熱い演奏でした.




アンコールのチャイコの「眠りの森の美女」のワルツも,いつか演奏してみたい曲.
明るい夢と希望やあこがれがいっぱい詰まった美しいワルツ.
とても魅力的な演奏.
聴いていてとてもうらやましかったです.

小松シティーフィルハーモニック第19回定期演奏会@小松芸術劇場うらら

2018年02月18日 23時51分15秒 | 演奏会
2月18日(日)に小松シティーフィルの第19回定期演奏会が小松芸術劇場うららで行われました.
ここ数年,なんだかんだでこまフィルの定期演奏会には出演していませんでした.
今回は,久しぶりの参加になります.



1曲目はシューマンの交響曲第3番「ライン」(マーラー版).
まずは,指揮者の野村先生による原典版とマーラー版の違いの紹介.
シューマンの交響曲の楽器の使い方は,重たくてボッテリしているのが特徴.
そこで,オーケストレーションをシンプルに整理したのがマーラー版.

2つのバージョンの違いは,ちょっと聴いただけではなかなか分かりにくい.
そこで,原典版とマーラー版の違いが分かりやすいところを交互に演奏し,その違いを聴き比べるコーナー.

例えば,第1楽章の冒頭.
原典版では弦楽器のみがメロディーを奏でる.
それに対して,マーラー番ではそこにティンパニーと管楽器を加えてメリハリや勢いを強調.
とても力強く,怒涛のようなライン川の流れを冒頭から感じることができるようになる.
などなど.

映画「哀愁のトロイメライ」の中でも,シューマンは師匠のメンデルスゾーンから「シューマンの音つくりは僕のとは違うけれど・・・.」みたいなことを言われていた.
シューマンはオーケストレーションが洗練されていない.
オーケストラ曲もピアノ曲も,重厚で分厚い響きがシューマンらしい.
そこがシューマンの独特な魅力.

2曲目はシューマンの弟子(?)のブラームスの交響曲第2番
チェロ弾きにとって,このシンフォニーは魅力満載.
チェロの美味しいメロディーがいたるところに散りばめられている.

第一楽章のメランコリックなテーマ.
この日の9人のチェリストは,全員自分で弾きながらうっとり.

第二楽章の冒頭のテーマ.
この楽章では,いろいろな楽器がこのテーマを奏でる.
その中で,一番最初に弾くチェロの響きが一番美しく,印象に残る.
音程に冷や汗をかきながら,たっぷりと弾かせてもらいました.

第三楽章はチェロのピチカートに乗って,オーボエが明るく歌いだす.
スケルツォに入ると,チェロパートは宮沢賢治のチェロ弾きのゴーシュのようにごうごうと豪快に楽器を鳴らし出す.
宮沢賢治の世界を連想させるので,このスケルツォは個人的にはとても楽しい.

第四楽章になると,突撃ラッパにあおられた馬車馬のように弾きまくり.
最後のクライマックスに向けて全員が突進.
日ごろのストレスが発散できました(?).

アンコールはブラームスと親交の深かったシュトラウス父のワルツ「ローレライ=ラインの調べ」.
ちょっとマニアックな選曲は,いかにもこまフィルらしい.

ダブルメインの2曲の交響曲は,たいへんしんどかったです.














音楽文化国際交流2017・音文協年末公演 第55回記念

2017年12月25日 21時40分19秒 | 演奏会
毎年恒例の音文協の年末公演を聴きに行ってきました.
久しぶりかも?

「音楽文化国際交流」という冠をつけているだけあって,イタリアから指揮者のジョバンニさんと合唱団が各パート1名参加.
各パート1名と言えども,ステージでは超目立っていたイタリア人.
遠くから見ると,みんな美男美女.



イケメンのジョバンニさんは,白い手袋をつけてベルディーの「ナブッコ」モーツアルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」を指揮.
ビエンナーレでも石川フィルと県民合唱団が同じ曲を演奏していた.
その時よりも,合唱団はずっと声が出ていた.
イケメンのスマイルと白い手袋の魔法で,合唱団の女性陣の心をわしづかみ?



ベートーベンの「荘厳ミサ曲」は田尻真高さんが指揮.
金沢の年末公演で演奏するのは,10年ぶりだそうです.
10年の時を経て.田尻さんの体も音楽も丸くなった気がしました.
決めるところはバシッと決めていたところ,感情に流されず整然とまとめていたところなど,職人肌が板についてきた感じがしました.

ちなみに,イケメンのジョバンニさんは,ミサソレでは合唱団に混ざって歌っていました.
イタリア語はラテン語に近いからミサ・ソレを歌う際は有利だなぁ~.

終演後の派手なカーテンコールの挨拶も,いかにもイタリア人っぽい.
見ているだけでも陽気で明るい挨拶.
ああいう振る舞いが自然に出来るところが日本人と違う.
そういうところも,さすがでした.


指揮/田尻真高 Giovanni Cernicchiaro
ソリスト:Sop. 石川公美、M.Sop. Francesca Romana Iorio、Ten. 倉石真、Bass 清水宏樹
管弦楽:石川フィルハーモニー交響楽団
合唱:石川県合唱協会県民合唱団、ジョゼッペヴェルディ合唱団(イタリアローマ)、アルケ合唱団(イタリア・ローマ)

草津チェンバーオーケストラ第23回定期演奏会@草津クレアホール

2017年11月26日 23時58分58秒 | 演奏会
11月26日(日)に行われた草津チェンバーオーケストラの第23回定期演奏会に行ってきました.



会場は草津クレアホール.
草津市民の文化芸術活動を支える拠点施設.
「クレア」の名はイタリア語で「創造」を意味する「クレアーレ-create-」の造語.
オシャレな名前です.



金沢から北陸道→名神道を乗り継いで栗東ICで降りる.
3時間ちょっとのドライブ.



この日の演奏曲目は,
ベートーベン バレエ音楽「プロメテウスの創造物」より
ブロッホ バイオリン協奏曲第1番
ベートーベン 交響曲第3番「英雄」


プロメテウスの創造物で使われたテーマが,今日のメインの交響曲第3番「英雄」で使われている.
ベートーベンのお気に入りのメロディー.
今日はプロメテウスで始まって,プロメテウスで終わる.
いいね.



ブロッホのバイオリン協奏曲のソリストは石上真由子さん.
1本のバイオリンから出る音色,音量と高度な技巧.
そして気迫がすごかった.

第77回日本音楽コンクールにてヴァイオリン部門第2位,
第7回ルーマニア国際音楽コンクールにて弦楽部門第1位及び全6部門を通じての最優秀賞,
などの実力派のバイオリニスト.
明日からフランスへ演奏旅行らしい.
(↓写真は本人のtwitterより)



ソリストのアンコールは気前よく2曲.
どちらも現代曲の無伴奏ソナタ.
鋭角的で鋭い音.
G線の力強い響きからハイポジションの伸びやかな音まで,楽器がビンビン鳴りまくっていました.
その迫力に圧倒.



ベートーベンの交響曲第3番「英雄」は軽やかなテンポで始まる.
対向配置で2nd Vnの音がくっきりと聴こえ,新鮮でした.

オーケストラのアンコールは滋賀県民のソウルソングらしいです.
琵琶湖周航の歌の弦楽合奏.
とてもきれいな演奏.
県民の歌があるなんて,滋賀県は素敵です.