2月25~26日に長浜で“Bioorganometallics”の第3回サテライトミーティングが開かれた.
この会議は北陸大学学術フロンティア研究組織が主催したもので,化学を武器として生命現象を切り拓くという理念のもと,有機化学系と生物科学系のチームが集まり,成果の発表や討論を行うもの.
有機化学系のチームが合成した有機金属化合物や錯体が,いろいろな細胞や組織で生理活性を示すという結果が続々と報告された.
ミーティングを主宰した先生が,有機系チームが提供した化合物で何ひとつハズレがなかった.これは,化学系チームの力量がよっぽど優れているからだ,と言っていた.
こちらから言わせてもらえれば,提供した化合物をどのアッセイ系にのせるかという生物系チームの眼力の方が,よっぽど優れていると思う.
いろいろな講演の中で特に印象に残ったのは,vivoの薬理をやりたくて東大の医学部へ入った若い女性研究者の話.
ヒトの砒素暴露と代謝の個人差やヒト集団の差について疫学的な研究を行なったもの.
バングラディッシュ,ベトナム,韓国など各国を渡り歩き,尿中に含まれる砒素の化学形態の多様性を分析し,砒素暴露による病変や感受性の差,砒素代謝遺伝子などの解明に役立てようとしているらしい.
こういう話は,日ごろフラスコの中の現象に命をかけている人間から見ると,とてつもなくスケールのでかい話で,何かとインスパイアされる.
微力ながら自分の合成した有機アンチモン化合物も,棚からぼた餅ではあるが,このプロジェクトのブレーク・スルーのひとつになれたことは驚きだった.
血液をサラサラにするタンパク質が我々の体内の血管内皮細胞で生合成されているが,そのタンパク質の生合成を特異的に誘導する低分子化合物が偶然見つかった.
血管の老化や硬化など病気に有効かも?
そのメカニズムの解明などはとても興味深く有益なテーマで,今後も生物系のチームが中心となり活発に研究が続くと思う.
5年間続いた学術フロンティア自体が今年度をもって満期終了なので,今回のサテライトが最後の会議.
この“Bioorganometallics”のネットワークを,今後もさらに発展させることを確認して会議は幕を閉じた.
秀吉の出世城として有名な長浜城がミーティング会場のすぐそばにあったけれど,3回もここでサテライトやって,1度も散歩できなかったことだけが心残り.
この会議は北陸大学学術フロンティア研究組織が主催したもので,化学を武器として生命現象を切り拓くという理念のもと,有機化学系と生物科学系のチームが集まり,成果の発表や討論を行うもの.
有機化学系のチームが合成した有機金属化合物や錯体が,いろいろな細胞や組織で生理活性を示すという結果が続々と報告された.
ミーティングを主宰した先生が,有機系チームが提供した化合物で何ひとつハズレがなかった.これは,化学系チームの力量がよっぽど優れているからだ,と言っていた.
こちらから言わせてもらえれば,提供した化合物をどのアッセイ系にのせるかという生物系チームの眼力の方が,よっぽど優れていると思う.
いろいろな講演の中で特に印象に残ったのは,vivoの薬理をやりたくて東大の医学部へ入った若い女性研究者の話.
ヒトの砒素暴露と代謝の個人差やヒト集団の差について疫学的な研究を行なったもの.
バングラディッシュ,ベトナム,韓国など各国を渡り歩き,尿中に含まれる砒素の化学形態の多様性を分析し,砒素暴露による病変や感受性の差,砒素代謝遺伝子などの解明に役立てようとしているらしい.
こういう話は,日ごろフラスコの中の現象に命をかけている人間から見ると,とてつもなくスケールのでかい話で,何かとインスパイアされる.
微力ながら自分の合成した有機アンチモン化合物も,棚からぼた餅ではあるが,このプロジェクトのブレーク・スルーのひとつになれたことは驚きだった.
血液をサラサラにするタンパク質が我々の体内の血管内皮細胞で生合成されているが,そのタンパク質の生合成を特異的に誘導する低分子化合物が偶然見つかった.
血管の老化や硬化など病気に有効かも?
そのメカニズムの解明などはとても興味深く有益なテーマで,今後も生物系のチームが中心となり活発に研究が続くと思う.
5年間続いた学術フロンティア自体が今年度をもって満期終了なので,今回のサテライトが最後の会議.
この“Bioorganometallics”のネットワークを,今後もさらに発展させることを確認して会議は幕を閉じた.
秀吉の出世城として有名な長浜城がミーティング会場のすぐそばにあったけれど,3回もここでサテライトやって,1度も散歩できなかったことだけが心残り.