The Wine Heat!

オテル・ド・ヤマダ ワインフォーラムの主催者であるDr.ヤマダのワインな日々の記録です。

クロ・ド・ヴージョの上と下

2009-12-02 06:27:31 | ワイン
1998年物のクロ・ド・ヴージョを二つ並べました。

御馴染みのグロ・ファミリーの次男ベルナール・グロの
グロ・フェレーレ・エ・スールと希少ワイン2005年に急逝した
ドニ・モルテの造りの物であります。

この二つのクロ・ド・ヴージョは立地条件においては
両極に対峙する物、すなわちグロ・フレーレ・エ・スールは
斜面上部のミュジニに隣接する最上の畑であり
それに対してドニ・モルテは斜面最下部の水はけの悪い畑との事です。

さておのおのの1998年物はどうだったのか?

グロのクロ・ド・ヴージョはリリース直後のぶっきらぼうさが解け
上質なテロワ特有の舌に沿って広がる酸度の心地よさや
充実した果実も堪能できます。

華やぎの香りにはミネラルと赤い果実が満載で
唯一注文をつけるとすればゼラニウムやお茶系の風味が
飛んで無くなる事を願うばかりであります。

モルテの98年物はルビーから深みのあるガーネットに染まり
その風味はミネラルのトップに漢方薬をも連想させる赤い果実で
飲み手にある種の執着心をも惹起させる魅力を持ち合わせております。

味わいは濃密極まりなく甘くそしてデカダンス・・・
余韻もタダタダ続くのではなく何かの含みを残す色香を感じます。
ヤハリ隠そうにも隠せないのは酸味の裏打ちの少なさからくる
フルーツ全体を構成する張りがグロには及ばない・・・
そう感じるのはワタクシだけでしょうか?

できればグロのフルーツとモルテの香気の合体で味わう事ができたなら
などというふざけた事を考えておりました。