The Wine Heat!

オテル・ド・ヤマダ ワインフォーラムの主催者であるDr.ヤマダのワインな日々の記録です。

2015 エル・ペカド ラウル・ペレス

2017-10-29 13:49:34 | ワイン
ワタクシにとってのワイン未開の地スペインの、天才醸造家と言われるラウル・ペレスの、至宝との評価の高いこの表題のワインを開けてみた。
といってもDOリベイラ・サクラのメンシアは、当方それほど多くの経験は無く、さてこのワインがどれ程の位置付けに置かれるかは暗中模索の感がある。
しかしながら世間で流布されているこの噂、すなわち『その霊妙なアロマは偉大なヴィンテージのラ・ターシュをしのばせる。』がモンダイだ。
この偉大とはどうも2007年のことだと言うのだが、そりゃあDOリベイラ・サクラの2007年は確かにそうかもしれないが、ブルゴーニュはむしろレストラン向きだと承知しているからだ。



まあそれはともかく置いといて、この『エル・ぺカド』には唯一無二の心引かれるアロマがあることは事実だ。
それは濃縮されたスミレの花の香水のようでもあり、麝香系のフェロモン様でもあり、朽ち果てる寸前の柿の実のようでもある。
この香気はもちろんあの『2007 ラ・ターシュ』と比べようも無いけれど、ワイン好きのオノコ共は軒並み群がりそうな魅力を持っているというのも容易に想像できる。(笑)
加えてこのワインは、正しく全てのメンシアの中での最高位のエレガンスと、驚くべき精緻な質感をもっているのも確かだ。
しかしながら、ブルゴーニュのあの一塊のグランクリュの畑から創造されるワインのものとは違うと思う。
それはしなやかだけれど芯がある。
そして酸味の舌先に当たる僅かな部位の違いとその総量が違うのだ。
だけれどこれを論じたとしても『エル・ペカド』の名声に傷を付ける物ではない。
優れた醸造家による最高位のメンシアであることには違いがないということなのだ。

残りはまずは10年は待とうと思う、それを飲めるかどうかは、こちらの健康次第なのだが・・・

2000 シャトー・ド・ヴァランドロー アクセル サンテミリオン・グラン・クリュ

2017-10-26 21:27:01 | ワイン
まさかこのタイミングで、このワインをご相伴に預かるとは思わなかった。
ボルドーにとってのスーパー・ヴィンテージの2000年であることもさることながら、その年だけに造られた『アクセル』というキュベであった事にも驚かされた。
『アクセル』はテュニュヴァン氏の孫娘の名前で、2500本という限定生産であったとのこと。
ものの本によれば、かの洞爺湖サミットにも供されたとのことだ。



そしてこのキュベのみのセパージュは、メルロ25%、カベルネ・ソ-ヴィニヨン25%、カベルネ・フラン25%、マルベック25%であるという。
従って一般的な『シャトー・ド・ヴァランドロー』のメルロ中70%の物よりは、僅かに熟成が遅く、17年の熟成期間を経た今でさえ寡黙で閉じているようだ。
それでもグラスでステアーをして30分ほど待つと、粋な主流ボルドーの森林浴の恩恵に浴する事が出来るのだ。

果実はスタイリッシュでシリアス、そしてその佇まいには知的に神秘性をも持ち合わせている。
もちろんあと5年の熟成はあればとも思うけれど、このワインの贅肉の一切無い、無駄な物を削ぎ落としたかのような緻密性を味わうのなら今。
高原部から下り坂に差し掛かった、淫らな熟成のこのワインは飲みたくは無いとも思う。

『アクセル』、世界に2500分の1、昨夜ありえないワイン会で・・・
ありがとう!

2016 ノラポン・ブラン 農楽蔵

2017-10-22 17:47:18 | ワイン
数年前と比べると明らかに手に入れづらくなっているワインです。
しかも、とりわけ2016年の北海道地方の気候を考えると、大事に飲むべきワインだとも思う。

それでもこのワインについては、それに合う食事があれば飲んでしまうと決めている。
それはフレッシュ感がこのワインの真骨頂、加えてオレ的には半年待って秋風が吹き始めるこの季節が最高なのだ。

確かに己の割当数本しかない希少ワインだけれど、ワインの風情はそのレア感とは全くウラハラ。
美味しい料理と飲むべきシチュエーションが整えば、今日も一本ノラポン・ブラン♪てな気持ちにさせるワインなのだ。





だから在庫は数少ないが、ササッと飲む!コレでイイと思う。

その日は温かポトフーと和風仕立てのゲッティが出てきて、ノラポン・ブランのお出ましとなった。
そこには大きすぎる期待も、何かにせかされる気負いもない。

充分に味わい、楽しんで飲んだのだ。
瑞々しく、薫り高く、料理をよく引き立てる最高の食中酒だと、またその日も心に刻まれた。

大変な中、このワインを造り上げた農楽蔵のご夫婦様にただただ感謝するしかないのだ。

2002 ラ・ストゥロンヌ ロマノー・デストゥゼ

2017-10-19 11:08:18 | ワイン
この造り手の、この銘柄を飲んだのは、さて何年前のことだったのだろうか?
その当時、ローヌ地方のサン・ジョセフ地区では珍しい、ガメイで造られたナチュールに度肝を抜かれたのを今でも憶えている。

当主エルヴェ・スオーはティエリー・アルマンの元ワイン造りの基本を学び、友であるダール・エ・リボでも研鑽を続けたとのことだ。
さすれば、自ずと出来上がるワインの素性を想像するのは火を見るより明らかだ。

リリース直後に飲んだ『ラ・ストゥロンヌ』には、チェリーやイチゴの鮮烈な果実香に、蒸した牛蒡などの根菜の土っぽさがあり、僅かにグリーンオリーヴの青っぽいニュアンスを感じ取れたものだ。



それが10数年経って、妖艶さをまとい、まろみを帯びつつ、神秘性をも備わったワインにメタモルフォーゼしていたのだ。
その日は『ワインとアテ くま牧場』さんで、こんなお料理に会わせてもらった。







アルコール度数11.5%、発酵過程にはSO2を無添加、そしてボディは緩く、決して濃厚なものではない。
それにもかかわらず、この年月を絶えて、化けて、そしてエロティック・ジャパ~ン!

飲んで、食べて、モヤモヤする妖しのロマノー・デストゥゼ、困ったワインが出来たもんだ。(笑)
ともかく、もう少し追い求めてみようと思う。

2005 ブルゴーニュ・オー・コート・ド・ボーヌ ルージュ ディディエ・モンショヴェ

2017-10-15 11:37:19 | ワイン
昨晩娘が秋田での仕事の帰りに盛岡に立ち寄った。
では、ということで、まずは鮨屋で一献。
その後に、いつもの河南ディストリクトのあのお店でワインを飲むことにした。

やはり週末はブルピノを所望。
ということで、2本のブルゴーニュ・ピノ・ノワールを開けてもらった。
始めの一本は、日本人の女性が嫁いでいる『シャントグリーヴ』の14’ピノ・ノワール。
これはこれでクラシカルで、生一本よろしく、背筋の真っ直ぐな真正なピノ・ノワールで楽しめた。

で、本題に入るけど、この件のモンショヴェが凄過ぎてビックリ!
05’だという事も手伝ってはいると思うが、このアペラシオンで、この複雑性とこの濃密さには正直驚かされた。



モンショヴェは1989年からドメーヌを立ち上げ、自社元詰めを開始。
同じ年にビオディナミも始めている。
すなわちDRC、ルフレーヴ、コント・ラフォンなどと共に大師匠ピエール・マッソンに師事した第1グループの一人に並び称されているとのことなのだ。
つまりそれだけナチュールの歴史が長いということで、言わばにわか仕立てのエセナチュールではない。

飲んでみて感じるのは、まあこれも使い古されている言葉ではあるけれど、カラダに沁みるような優しさがある。
そしてトップには上級のアペラシオンにのみ備わるであろうシャンピニオンやスー・ボワ(腐葉土)のニュアンスが備わっている。
そこに焙煎珈琲、モカ、ヨーグルトなどが続いて、さらにグラスをステアーをすると、ブラック・チェリーやプルーンなどのアロマが立ち上がってくるのだ。
味わえば、そのフルーツには甘みと濃密さがあり、柔らかなタンニン、粘性のあるエキストラクトも相まって、正しく球体の果実と言っても過言ではない。

その昔、ビオ系と言って初めて日本に登場した頃のモンショヴェを、まるで継子扱いしたブルゴーニュファンも、今一度飲みなおすべきだと思う。
もしこのタイミングでお勧めワインは?と聞かれたならば、ワタクシは四の五の言わず、まずはこのワインにコスパ賞を一票を入れるであろう。