The Wine Heat!

オテル・ド・ヤマダ ワインフォーラムの主催者であるDr.ヤマダのワインな日々の記録です。

2001 メルロ ラディコン

2018-05-30 22:31:06 | ワイン
メルロという品種は、もちろん世に言うボルドー品種ではあるけれど、イタリアでもトスカーナやフリウリなどで良いものが出来る。
イタリア人に言わせれば、もともとイタリアに在った品種だったけれど、ガリア遠征の折にカエサルがフランスに持ち込んだのだ、ということなのだ。
だからイタリアで良いメルロが出来るのは当然と言うことらしい。



で、今回のように、これくらいのヴィンテージのメルロ、特にも『ラディコン』作ともなれば、並みのボルドー右岸を持ってきても、なかなか太刀打ちできないということになる。

ジッサイご相伴にあずかってみると、これが凄いメルロだったのだ。
それはもちろん、御出汁の薫風よろしく、一方では張り詰めた果実にはミネラルどころか、塩気まである。
そして30分ほどの待ちで、コンセントレーションに僅かな解けが生じ、スタイリッシュさとエレガンスで驚きを禁じえないのだ。

その日は『梅山豚の赤ワイン煮込み』に抜群の相性を見せてくれた。



ガストロノミックでもある、このメルロ!
500mlでも充分に満足できる代物なのだ。

2001年、ジュスト・ディ・ノートリとリコルマ

2018-05-27 22:33:29 | ワイン
ボルドー系の品種という括りで、持ち寄りワイン会を開いたところ、きしくもこの2本の2001年物が登場した。
トゥア・リタの『ジュスト・ディ・ノートリ』とサン・ジュスト・レンテンナーノの『リコルマ』だ。

『ノートリ』はカベルネ60%、メルロ30%、フラン10%のセパージュであり、『リコルマ』はメルロ100%となっている。
17年の歳月を経て、さてこの2本のワインは、どのような熟成感を見せてくれたのであろうか?


(左から『ノートリ』⇒『リコルマ』⇒『シロ・パチェンティ』)

まずは結論から言わせてもらおう。
まあ飲んでみて、いささか驚かされたのは、『ノートリ』の洗練された、気品のある、スタイル・ボルドーの艶姿であった。
もちろん、『リコルマ』も素晴らしかったのだが、なで肩のエレガンスには一票。
しかしながら、いわゆる骨組みのある、堅固な輪郭と、底味に潜む、何かしらのエキストラクションにおいては、『ノートリ』に軍配が上がるのだ。

あくまでもこれは、個人的な意見と前置きをするけれど、『ノートリ』のメタモルフォーゼにはボルドー的テロワの複雑性は無い。
けれども、鏤められた、焙煎珈琲やら、カルーアミルク、ブラックチェリーの砂糖漬けなどの香気に陶然とさせられるのは、まず間違いは無い。

もしスーパータスカンで、しばらくセラーで仕舞置くワインを選ぶのであれば、この時点で『ノートリ』を選択するのだろうと思う。

1994 ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ シロ・パチェンティ

2018-05-20 23:09:42 | ワイン
お題がボルドー系品種という『パパジイ』に、このワインが登場したのは、あながち的外れではない。
というのも、ここの党首はその昔、ボルドー大学で醸造法を学び、それをサンジョベーゼ・グロッソに応用したというから凄いじゃあないですか。

もちろん、ブルネッロはブルネッロに違いは無いが、今回飲んでみて、まあ24年の歳月を経過しているというのを差し引いても、いかにもなフランスワイン的熟成感を感じてしまったのだ。



果実味はまるでマリモ羊羹のように球体で、ぷるんとして滑らかなこと極まりない。
香りにはブルピノ古酒のような、滋養を感じさせる豊かさがあり、アニマルや麝香の要素も見つけられた。
飲んだ瞬間はどう転んでも、ブルピノか熟成したボルドー?てな調子。
誰もがブルネッロは考えもつかなかった。

しかしながら、こうして時間をかけて飲んでみると、底味にイタリア的なエキスのグリップが見え隠れする。
そして、肉だ肉!肉持ってこ~~い!と叫びたくなるのだ。

現代的なブルネッロが十二分に熟成して、エレガントに化ける。
これをステキだと言わずして、何を言うのだろうか?

まずはこのワイン、走ってでも買うべきだと思う。

1998 ラ・フォンテ・ディ・ピエルトラルサ マッサ・ヴェッキア 

2018-05-16 22:50:43 | ワイン
ファブリーツィオ・ニコライーニとその家族によって営まれるトスカーナのごく小さなワイナリー。
せいぜい年産10000本というのに加えて、恐ろしく旨いというのだから、ここのワインにありつくのは並大抵のことではない、ということは頷けるわけだ。

とある酒販店のご好意で、表題のワインを分けてもらった。
しかも我が目を疑うほど、ビックリするような適正価格でなのだ。

で、このワインを後生大事に仕舞い込むのも一つの考え方ではあるけれど、もしそれに合いそうな料理があって、そこに分る飲み手がいれば、潔く開けてしまうのも、よわい65歳のワイン・ヒートが取るべきみちだとも思うのだ。

まあ小難しい言い訳はこれくらいにして、いずれ飲んでしまった!というわけだ。



このワインのキーワードは幾つかある。
それを列挙すると、トスカーナのマレンマ、カベルネ・ソーヴィニヨン100%、一切の化学物質は不使用、無農薬、無施肥、の自然農法、そして自然発酵、にSO2はボトリング時にお呪い程度だけ。

飲んでみるとカベルネって、実家はどこだっけ?ボルドーだよね!というギモンにぶち当たる。
すなわちこのカベルネこそ、ほんまもんのカベルネと違うか?となるわけだ。

20年の歳月で見事に昇華し、優しい黒系果実がそこにはある。
そして漢方やら珈琲やら土を連想させる熟成の香り。

甘く解けて正しく甘露。

このアジェンダこそ、ワイン生産の家族経営の目指すべき道を見事に具現させたということなのだろう。
コレだけ素晴らしければ、飲めたシアワセに感謝するしかないでしょう、アリガトー!(笑)

2015 コンタディーノ フランク・コーネリッセン

2018-05-12 23:13:04 | ワイン
このワインがどういうワインであるかを語るのは野暮だけど、まあともかく驚きのワインだった。
で、このワインを抱えてお邪魔したのは、シカちゃんのお店。
飲んでみてジッサイ、突き詰めるとナチュールはこうなるんだ、というべき液体なんだわさ。



エトナ山の麓の北斜面にネッレッロ・マスカレーゼを中心に、サンジョベーゼ、ミネラネッラ、カリカンテ、ミネッラビアンカ、カタラット、グレカニコドラートなどを混植し、それを混醸。
化学物質を一切使わず、ボルドー液でさえも不使用。
もちろん亜硫酸も無添加であることは言うまでも無い。

コンベンショナルなワインを飲み慣れたバブリー・ワイン・ヒートはおやおや?と思うかもしれないが、当方はそのエナジーに圧倒された。
決して嫌いではない。

その日に並んだシカちゃんのラインも、もちアビナメント。





ガストロノミックなワインであることは、火を見るよりも明らかなのだ。

この次は、少し寝かせて飲もうと思うがどうだろうか?