The Wine Heat!

オテル・ド・ヤマダ ワインフォーラムの主催者であるDr.ヤマダのワインな日々の記録です。

CS(キュウザ・スパニョーラ)

2018-02-22 19:14:29 | ワイン
CSってことは、これはカベルネ・ソーヴィニヨン?
ではなくて、フランク・コーネリッセンのムンジャベル・ロッソの一つのパーセルの名称なのである。



キュウザ・スパニョーラの意味するところは、今のところ分らず。
インポーターの資料に寄れば、こんなことが書かれてある。
すなわち、ソリッキアータ村の1930年以来接木することなく植えられている畑であるということ。
周りを溶岩流が固まって出来た岩に囲まれた畑であり、そこは標高620mで、比較的低い土地であること。
そしてここのプレステージ・ワインであるマグマを生み出すパーセルのバルバベッキと標高こそちがえど、同じ土壌の成分であること、などである。

飲んでみて思うのは、その果実の重さであり、他のテロワールと比べてタンニンの強さを感じる。
このグラスだけは前日の抜栓だったので、幾分酸化のニュアンスを感じるも、濃厚なエキスと果実の緻密さと丸みは、心地良い余韻を残してくれた。
そして品を感じさせる香りは、味わいの強さとは裏腹に、まるで濃密なブルピノを思わせる。

おそらく当日の抜栓のものであれば、よりソヴァージュでワイルドなネッレッロ然とし、ここの当主の惜しげも無いストイックさを体感できたと思う。

2015 ムンジャベル ロッソ CS⇒VA⇒FM フランク・コーネリッセン

2018-02-22 15:48:13 | ワイン
元々はワイン商のベルギー人だがシチリア島に住み着いて、ストイックに攻めたワイン造りを続けるフランク・コーネリッセンのワインを飲んでみたかった。
実はここのベースラインのロッソ・デル・コンタディーノはセラーに隠してあるのだが、何となく開ける機会がなかったのだ。
そうこうしているうちに、またとない機会がやって来た。
数日前のことになるが、何気に上の橋にあるあのイタリアンに立ち寄ってみたところ、その造り手のムンジャベル・ロッソ シリーズの3本のワインがバイ・ザ・グラスで供されていたのだ。
買おうと思っていても、ほぼムリなムンジャベル・ロッソをだ。
それを3本も・・・
もちろん、四の五の言わずに全て出してもらった。
前日抜栓のCS(キュウザ・スパニョーラ)をまず最初に、そして当日開けられたVA(ヴィーニャ・アルテ)とFM(フェウド・ディ・メッツォ)が続いた。







もちろん同じシチリアのネッレッロ・マスカレーゼ。
有機栽培、無農薬、肥料も無し、ボルドー液ですら使用しない年もあるという。
そんな葡萄から造られたワイルドで精気溢れるワインをご相伴に預かったわけだ。
詳しくは次の投稿に乞うご期待。
では・・・

2014 アッサンブラージュ ブラン リザーヴ プリヴェ 胎内高原ワイン

2018-02-12 17:13:51 | ワイン
東北本線の各駅停車に乗ったのは、さて何年前のことだったろうか?
実は昨晩その東北本線の電車に乗って花巻へ向い、駅前にあるイタリアン『バダローネ』さんにお邪魔をした。
その目的はニッポンワインで少し気になっている造り手があって、そのワインが飲めるという会が開催されるというのを小耳に挟んだからだ。
けれどもこの出不精のワタクシを東北本線に乗る後押しをしたのはそれだけではなく、2人のとあるワイン関係者と会えると言うこともあった。
一人は西麻布の全方位セレクトもお茶の子さいさいの大ソムリエ氏、もう一人は『胎内高原ワイン』の陰の立役者のコンサルタント氏のことである。
そして更には『バダローネ』さんって素敵なお店ですよ、てなことも聞いていたし、加えてこの会のお助け仲介人の顔を立てるという裏技も少しはあったということも、この際付け加えておこう。
で、その夜はつごう12種+αの胎内高原ワインを頂くことになったのだ。

その中の一本が表題のワインということで、まずは本題のこの注目すべきニッポンワインの白について書かねばなるまい。



というのも、このワインはワタクシのニッポンワインのレベルを遥かに超える筋金入りの見事なワインだったからだ。

『胎内高原ワイン』のコンサルタント平山繁之氏曰く、セパージュはシャルドネ63%、ソーヴィニヨン・ブラン37%、畑は樹齢13年目の不耕起、無肥料、無化学農薬、無除草剤とのこと。

そしてそのワインは実に薫り高く、ピュアな果実があり、エレガンス漂う秀逸なワインであるだけではなく、グラスの中で七色に変わる驚くべき複雑性をも持ち合わせていたのだ。

ここまで言い切ってしまうと、大相撲協会の非難に曝さされる貴乃花親方のようになりかねないけれど、あえて言ってしまえば、フィリップ・ボールナールのアルボワ・ピュピラン・ブランのようでもある。
純粋無垢、上善水の如し、白いお花畑に寝転がったかのような爽快感もある。

もしその晩の夕餉に白身魚のムニエルなぞ登場したら、四の五の言わずにこのワインを開けるだろう。
見事に華麗でガストロノミックなワインと言える。

もし世の中にまだあったらの話ではあるが・・・
いずれ見事なニッポン白ではあった。

2014 トゥルソー アルボワ・ピュピラン レ・ジャングレ フィリップ・ボールナール

2018-02-08 18:35:42 | ワイン
ここにきて投稿が遅々として進まないのはある理由からなのだが、ここには書かんとこう。
ということで、随分前に飲んだこのワインについて少し触れてみたいと思う。

説明するまでもなく、このワインはアルボワはスイス国境のピュピラン村の地場品種トゥルソーである。
そしてもちろんフィリップ・ボールナールは同じ村の自然派の造り手ピエール・オヴェルノワの薫陶を受けたはずだ。

僅かに薄めのルビー色にはオレンジの縁取りがあり、正しくその香りにもオレンジのニュアンスがみてとれる。
プラムにフレッシュなベリー、ミネラルはさながら石灰岩で濾したかのようであり、加えてローズヒップや薬草の風味が独特のキャラクターを付与している。





果実はあくまでも優しく軽やかな味わいではあるが、底味に潜む濃密なエキスは和風だしをも連想させる。
『レ・ジャングレ』とは『ちょいと一杯クッとひっかけていかないか?』と言う意味で、クイクイっと気がつけば全て飲んでしまう軽快さを表しているようだが、飲み口は正しくその通りと言えるだろう。

とにかく美味しい、また飲みたい。
この外にこれほどくせになるトゥルソーを探せと言われても、そりゃあ無理と言うもの。

なぜに品薄になるかは、こういう事なのだと確信した次第だ。


2016 ムーンダラ フィン ピノ・ノワール

2018-02-01 22:25:01 | ワイン
このワインは最近のナチュールの潮流に乗る今時ワインだと思っていたら、醸造所の設立は1991年まで遡るとのことだ。
飲んでみるとワインダイヤモンズ系のピノ・ノワールのような冷涼感さえ感じる。
もちろんヴィクトリア州はキップスランドの標高850mの山あいという立地もさることながら、畑の高い密植にビオディナミによる葡萄が肝と言うべきであろう。



熟成感のあるモヤモヤとした香気にスッとしたメントール。
オレンジのニュアンスありのシッカリとしたベリーにアプリコットまで見つけられるのだ。
そして果実はゆるく色合い的には薄さも感じるが、底味に潜むエキスに感嘆する。

それに加えて、コストの優しさを忘れてはいけない。
低価格ACブルピノよりも少しこなれているからビックリなのだ。

このワインは少しワインを飲み込んだヤツに飲んで欲しいのだが、さてどうなのだろうか?