The Wine Heat!

オテル・ド・ヤマダ ワインフォーラムの主催者であるDr.ヤマダのワインな日々の記録です。

隠れたビオの雄、ジャン・ルイ・トラペの軌跡

2007-11-13 21:13:21 | ワイン
『王道シャンベルタン、再び!』とはワタクシとしても大きく出たもので、
もし、出展ワインに熟成の軌道から外れた物や、
残念ながらコーキーなもの(コルク臭のもの)などに当たったら、
看板に偽りあり・・・と揶揄の謗りも甘んじて受けねばならぬ状態でありました。

とにかく、89’サン・トーバンのヴァン・ジョーヌ系の妖しのトップには、
ド肝をぬかれたものの、押し並べてそれ以降のラインナップは合格点!
まずは胸を撫で下ろしています。

皆さんの笑顔がそれを物語っている!
と自分なりに、良いほうへ解釈しております。

どうでしょう?K子先生のキュイジーヌもリキ入ってましたでしょう!
いつもより、肉系のキュイジーヌの比重が多く、
『5000Kカロリーは食べないと、このカラダは維持できない!』と嘯く人も登場し、
皆さん、そちらの方も満足できたか?と思います。

さて、ワインの方では74’ラトリシエール ルイ・トラペ⇒93’シャンベルタン ジャン・ルイ・トラペの流れに触れない訳にはいかないでしょう。

どうも、トラペ家のドメーヌはルイ・トラペが1960年に興した様であります。
その後ルイ・トラペは1989年に息子ジャンと娘マドレーヌに生前贈与し、
第一線から身を引くことになりました。
息子ジャンはジャン・ルイ・トラペを興し、98年には完全ビオディナミへ、
今では新興ブルゴーニュの旗手として、押しも押されぬ存在になりつつあります。
また、マドレーヌはロシニョール家のジャックと結婚し、ロシニョール・トラペを興すことになったのは、皆さんも御存知の通りであります。

74年物のラトリシエール・シャンベルタンはおとっつぁんルイ・トラペの作品!
この困難な水浸しのヴィンテージで、なんともエキゾティックに、妖しく熟成を果たした、静謐な熟ピノを造り上げていました。

一方93’ジャン・ルイのシャンベルタンはビオでありながら、その気配すらない、
極めて実直な、将来を秘めた爽快なピノ・ノワールであります。
同じシャンベルタンでも98’ルソーより溌剌とした、鮮烈な味わいを持ち、
未だにもやもやとした色気のイの字もない代物・・・
しかし、間違いなくあと10年の待ちがあれば、華麗なるメタモが期待できるはず!

親子でこれだけ違うスタイルですが、なにしろシャンベルタン村のグラン・クリュ!
形に差異はありますが、人を唸らす何かを持っていますよね・・・

いかがでしょうか?