土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

浄瑠璃寺、此岸から彼岸へ、参拝の正式な形。

2016年08月23日 | 京都の古寺巡り





(2016.08.20訪問)



南山城の古寺巡り第二弾が終わり今日は第三弾。海住山寺、岩船寺ときたらさて次は、賢明な読者の方はすでにお気づきのことでし
ょう。そうです正解です。それでは迷車大和路号とご一緒にお付き合いください。



▼阿弥陀堂(国宝)。ご存知九体の阿弥陀さんが待つ彼岸の浄土。






[ 浄瑠璃寺 ]
●山号 小田原山(おだわらさん)
●寺号 浄瑠璃寺(じょうるりでら) 通称 九体寺(くたいじ)
●宗派 真言律宗(しんごんりっしゅう)
●開基 伝 義明上人(ぎめいしょうにん)
●開創 伝 永承二年(1047年)
●本尊 阿弥陀堂 阿弥陀如来坐像(国宝) 三重塔 薬師如来坐像(重文)
▲拝観 300円 朱印300円
▲時間 9:00~17:00  
▲京都府木津川市加茂町西小札場札場40 電話0774-76-2390
▲関西花の寺第十六番札所
▲JR関西本線(大和路線)「加茂駅」から木津川市コミュニティバス「浄瑠璃寺前」下車徒歩3分
 
 JR関西本線(大和路線)「奈良駅」「近鉄奈良駅」から奈良交通バス(浄瑠璃寺行き)で「浄瑠璃寺前」下車徒歩3分
 
 京奈和道「木津IC」から加茂方面へ約8㎞
 西名阪道「天理IC」または「郡山IC」から北へ約20㎞




▼参道。今は緑鬱蒼ですが春先の馬酔木の鈴なりは見応え抜群!ですヨ。






浄瑠璃寺縁起
浄瑠璃寺の草創については、永承二年創建の西小田原浄瑠璃寺が前身と云われているものの詳細は不祥。草創に関して数説があるよ
うで、天平十一年行基によって開創されたという説、永承二年義明上人が薬師如来を本尊として建てたのが浄瑠璃寺の始まりとする
説などあるが決定的なものはないとされています。嘉承二年阿弥陀堂が建立、九体の阿弥陀像を安置。久安六年庭園が造られ、池を
挟んで西岸に阿弥陀堂が移された。治承二年三重塔が京都から移築され現在の寺観が整備されたといいます。




▼山門が見えてきました。







▼質素な山門です。がこういう古刹こそ、境内に凄い所が多いのです。







▼鐘楼。春夏秋冬マトモに撮れたことがありません。







▼山門を入りすぐ左、高台緑の中に三重塔が目に入ります。







このお寺では先ず三重塔への参拝、東此岸の三重塔本尊お薬師さんに現世救済を願い、振り返えり池越しに西彼岸 の阿弥陀堂本尊
九体仏に来迎を願う。これが本来の礼拝であるとお寺パンフレットは述べています。





            ▼三重塔。






▼幾段かの石段を上ると目前に朱色鮮やかな塔が迫ります。






            ▼これが此岸の象徴三重塔。このシーズンすんなりと全景を撮らせてはくれません、緑鬱蒼なんです。
             塔高16m、檜皮葺。治承二年(1178年) 京都の一条大宮から移建らしいですが詳細不詳。






▼初層扉は閉じたまま。本尊ご開帳は毎月八日、彼岸の中日、正月三が日。よって今日はお薬師さんにはお会い出来ません。






            ▼三重塔本尊 薬師如来坐像(重文)。阿弥陀堂の阿弥陀さんより約六十年前に造顕され、
             このお寺の最初の本尊だったそうです。
             像高85.7cm、一木割矧ぎ造、彫眼、彩色、平安時代。
             開扉は毎月8日、彼岸中日、正月三が日のみ。



            (お薬師さん写真は浄瑠璃寺販売の単葉写真をスキャンしたものです)




▼三重塔初層の軒。平行垂木。






            ▼初層の三手先。






            ▼屋根の逓減率が小さいながら安定感が素晴らしいでしょう、これも鬱蒼の緑のせいでしょうか。






            ▼相輪。






さて、お薬師さんへのご挨拶が済みました。では彼岸の阿弥陀堂阿弥陀さんに会いに行きましょう。

▼三重塔石段から宝池を挟んで阿弥陀堂。







▼宝池畔からの阿弥陀堂。今日は前面の扉が閉められています。
 桁行十一間、梁間四間、寄棟造、本瓦葺、一間向拝付き。
 堂桁行十一間のうち、両端の二間を除く内側九間に九体の阿弥陀さん用の板戸が付けられており、内部には障子格子戸がはめられ
 ている。板戸を開くと内部中央に一体と、その左右に四体ずつ、計九体の阿弥陀さんを拝することが出来るのです。







▼宝池南の眺め。







▼樹々を通して見る阿弥陀堂。







▼阿弥陀堂。







▼宝池畔に二輪の桔梗。このブルーを見るとなぜかホッとするのです。







▼一間向拝。江戸後期の後補付加。






▼九体仏の中尊、阿弥陀如来坐像(国宝)。
 像高224.0cm、檜寄木造、漆箔。来迎印を結ぶ。平安時代。制作年代は数説有り定説なく不詳。
 なんと堂々とした阿弥陀さん、ボクの目には定朝様式そのもの、やや伏し目の目元など非常の良く似ています。衣文の彫りも柔ら
 かく薄く、太めの体躯は如来の安定感抜群、年代不詳といえ平安期の特色がよく出ているのでは。これだけの作が仏師、年代不詳
 とは何でだろう。

 

            (阿弥陀さん写真は浄瑠璃寺販売の単葉写真をスキャンしたものです)




▼中尊左右に四体ずつ脇侍八体(国宝) それぞれ像高139cm~145cm、檜寄木造、漆箔。全員定印を結ぶ。平安時代。制作年代は数
 説有り定説なく不詳。八体それぞれお顔には微妙な違いがあり彫技差も見受けられるので、仏師は全像違うのではないでしょうか。



(脇侍写真は浄瑠璃寺パンフをスキャンしたものです)




            ▼阿弥陀堂の裏濡れ縁。この縁を通り向こう側から入堂します。






▼寄せ集めと云う感じの板石仏。







            ▼本堂横の板碑。南無阿弥陀仏と刻されています。






▼本堂前から宝池。中央島のお社は弁天さんをお祀りしています。           













▼いわくありげな石ですネ。







▼花のお寺の今はこの花と、







▼この花が旬、全てピンクの花です。そして蕾がわんさか付いてます。           













▼池畔にさり気なく置かれた蹲踞ではなく石鉢だそうです。







▼宝池をもうワンショット。今日はこんなベリーグッドなお天気でした。もちろん汗はタラタラ。







            ▼本堂前石灯籠(重文)越しの三重塔。緑に埋もれ過ぎか、青空にもう一つ映えませんネ。







▼池向こうに見える山門。







▼さてそろそろお暇しましょうか。山門境内からです。







               ▼にゃんこの昼寝。うまいこと日陰とベッドを見つけるもんですネ。
                このお寺のにゃんこは全員肝が据わっとる。起こしても起きません。







▼ご朱印です。阿弥陀堂裏の濡縁で撮りました。






阿弥陀さんが九体並ぶ壮観さは格別。平安期には九体阿弥陀堂を持つお寺が数十ヵ寺誇ったそうですが、今にして現存するのはこの
浄瑠璃寺の阿弥陀堂のみらしいですネ。堂内は荘厳一切なし、古色が荘厳のようで非常にシンプルな堂内は阿弥陀浄土行きを一心に
祈願する衆生を包み込むような、阿弥陀さんに抱かれるような、そんな安心感を醸し、阿弥陀浄土とはヒョットして金襴豪華ではな
く、こんな空間を云うのでないかと一瞬思ったりした浄瑠璃寺でした。                         合掌





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