土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

興国寺、紀州の大寺は「関南第一禅林」

2017年12月26日 | 和歌山の古寺巡り





(2017.12.23訪問)  


冬場の上天気、今日の迷車大和路号は阪和自動車道広川ICから熊野街道国道42号線、別名死に号線を走っています。
死に号線、いやな愛称?ですネ。迷車大和路号は紀州路を颯爽と疾走出来ません。なぜなら和歌山#のクルマが前にいると制限速度
より相当遅く、歩いた方が早いと思われる速度で悠然と、しかもセンターラインが殆ど黄線、後ろに付かにゃしゃーない。
さすが死に号線のプレッシャーか、かくなる上はユックリ行こう。と云う訳で由良町の興国寺を迷車大和路号は目指しています。
いつになったら着くんやろ。
(和歌山県民の皆様ゴメンナサイ、決して全部の方がそうじゃないですよ、チョットしたボクの印象です)





▼県道を右折し長閑でゆったりした道を行きます。正面に大門が見えます。







            [ 興国寺 ]
            ●山号 鷲峰山 (しゅうほうざん)
            ●寺号 興国禅寺(こうこくぜんじ)
            ●宗派 臨済宗妙心寺派 (りんざいしゅうみょうしんじは)
            ●開山 法燈国師心地覚心 (ほうとうこくししんじかくしん)
            ●開創 安貞元年 (1227年)
            ●再興 浅野幸長 (あさのゆきなが) 慶長六年 (1601年)
            ●本尊 釈迦如来坐像        
            ▲拝観 境内自由 朱印300円  
            ▲時間 早朝~日没 
            ▲和歌山県日高郡由良町門前801 電話0738-65-0154
            ▲JR紀勢本線 紀伊由良駅 徒歩約10分
             大阪方面からR42号線 (通称しにごうせん) から由良町門前を右折県道23号を0.6km、表示を右折スグ
             大阪方面から湯浅御坊道路(阪和自動車道)「広川IC」でおりR42号線由良町門前を右折約15分





            ▼興国禅寺石標にバス停表示が寄り添ってます。







興国寺縁起 (興国寺パンフレットから抄出)
興国寺は「関南第一禅林」と称され、安貞元年、鎌倉幕府三代目将軍源実朝の菩提を弔うために建てられた「西方寺」が前身。後に
法燈国師が宗旨を禅宗に改宗、最盛寺末寺143カ寺を数え多くの高僧を輩出、興国元年後村上天皇より興国寺号を拝受しました。天
正十三羽柴秀吉による紀州征伐で堂塔伽藍が焼失しましたが、慶長六年紀州初代藩主浅野幸長により再興され現在に至ります。





▼大門。チョット頭でっかちの門ですネ、ココからが参道、もとは県道に面して建ってたそうです。
 入母屋造、本瓦葺、六脚門。







▼大門の扁額。関南第一禅林と書かれています、多分。







▼大門からの参道です。







▼ユニークな石組参道は広く、グリーン鬱蒼の時期は緑のトンネルが綺麗でしょうネ。







▼参道途中に龍王社。雨乞い、農業神の八大龍王を祀っているお社。







▼少し先に五輪塔や板碑が集められています。無縁墓なのかナ。







▼大分参道も進んできました。廣度橋という石橋を渡ると石段が見えます。







▼石段の左右を見て下さい。







▼まるで城郭の構えみたい。







▼寄進門らしく昭和後半建造の山門です。切妻造、本瓦葺、四脚門。







▼山号が書かれた扁額。







▼例により山門から境内を見ます。正面は法堂、本堂です。







▼鐘楼。入母屋造、本瓦葺、袴腰重層の立派な鐘楼。







▼鐘楼に扁額は珍しいですネ、しかし読めません。







▼境内です。







▼法堂 (本堂)。堂々の貫禄、全山を圧倒する重厚感抜群のお堂です。上層の屋根を見て下さい、まるでお城。初層両端の白
 壁に花頭窓が安定感のバランスをとってるようです。
 桁裄五間、梁間四間、重層入母屋造、本瓦葺。寛政九年(1797年)再建。

         





▼上層の二重垂木と軒下組み物の複雑さ。







▼関南第一禅林と書かれた法堂扁額。







以下三点の写真は本来お見せ出来るような写真ではないんですが、お見せします。
奥の手も通用せず、条件が悪すぎました。言い訳です。

▼法堂須弥壇。広い堂内、二段須弥壇上階中央に本尊釈迦如来坐像と左右に四天王が祀られています。







▼本尊と四天王。







▼法堂天井鳴き龍図。絵師は不祥です。







▼法堂。







▼法堂と禅堂を繋ぐ渡り廊下。







▼禅堂。チョット小ぶりなお堂。雲水や僧侶方の坐禅道場。







▼使い込まれている開版。







▼禅堂の扁額。







▼位牌堂。







▼位牌堂扁額。







▼位牌堂の内部の須弥壇。中央には本尊聖観音菩薩が、左右に無数の位牌が祀られています。
 何の変哲もないシンプルな堂内なんですが、宇宙船の空間に見えません?







            ▼子守り地蔵。







▼天狗堂。シンプルなお堂です。
 興国寺は京都鞍馬寺と並ぶ天狗の寺として有名で、毎年成人の日に開催される天狗まつりは、入試合格、交通安全、降魔
 厄除に天狗の神通力を授かろうとする多くの信者、参詣者で境内は賑うそうです。







▼これもシンプルな天狗堂の扁額。







▼須弥壇を見て驚くなかれ。







▼どうですこの大天狗! ご利益ありそうでしょ。高さ2.4m、幅2.7mの大天狗面。
 兵火を被った七堂伽藍を天狗が来て一夜にして再建したという伝説があるそうです。







▼天狗堂の側面。今にも左へ飛んで行きそうな感じ、天狗の飛翔力とリンクさせてるみたい。







▼境内奥の開山堂。開山法燈国師の像を安置しています。方三間、宝形造、本瓦葺。文政六年(1823年)再建。







▼境内高台から混みいった伽藍群。







▼歴代住職の廟の傍らに立つ、これは石塔とは呼べないですネ。意味不明の塔?







            ▼慧日観音像。







            ▼このお顔を見て下さい、ホッとしませんか。開山法燈国師の母堂慧日尼さんの姿らしいです。







▼書院玄関。







▼後ろの大屋根堂宇が書院なんですが、門は締め切り中へは入れません。







▼先ほどの高所から書院庭を見下ろしています。







▼書院門の隙間から書院庭。







▼ご朱印を頂きに庫裡へ行きましょう。デッカイ庫裡です。







▼庫院と書かれたオシャレな扁額。







▼綺麗に磨かれた玄関。小さな鐘をコ~ンと一撞き、作務衣の僧侶がは~いと出てきてくれました。







▼ご朱印です。







ざっと八百年の法灯を守り続けている興国寺、ご朱印を書いて下さった壮年の僧侶としばらく雑談。これだけの大寺を八百年の歴史
を背負って、今何人の僧侶方で維持管理をされているのか聞くと「二人です」とのこと。これには驚きました。日々の作業で一番大
変なのは「掃除」に尽きるそうです。禅刹の掃除は修行の一つとはいえ境内が広くその上堂宇が多い、相当重労働、朝のお務めや檀
家衆との付き合い、年間の行事などは当たり前に僧侶の勤め、「しかし毎日の掃除がねぇ」と泣きが入ってました。御愁傷様、頑張
って下さいネとお寺をあとに……。

興国寺これにて オ シ マ イ





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