裏日記「B面」

工房しはんが日々、ふと感じたり、しみじみとふけったり、ぴんとひらめいたり、つくづくと考えたりしてること。

宮古島紀行・3

2008年10月09日 08時38分04秒 | Weblog
一晩たっぷりとした睡眠で、前夜の寝不足を解消して、二日めに突入。
オレたちは「晴れ夫婦伝説」と言われるほどに晴れ男・晴れ女で、ふたりで出かける旅で雨に降られたことはほとんどない。
10年間でまったくない、といっていい。
沖縄には毎年のように台風シーズンに来てるんだけど、どれだけ雨予報が出てようと、台風が接近、通過、付近の島々を蹂躙してようと、オレたちの頭の上にだけは雲がない。
ただの一度も降られたことがない。
結婚式からしてそうだった。
結婚式のその日のその時刻に、ちょうど台風がふたつ同時に式会場上空を通過するはずだったのが、左右によけてくれて、結局お天気の神様は新郎新婦を晴れ間にぽっかりと入れてくれた。
前日に全身ずぶぬれで日本中から集まってくれた親族が、その神通力にあぜんとしてたものだったさ。
んなわけなんで、宮古島二日めの空も晴れわたる。
この日もぽんこつワゴンRに乗り込み、別の浜を探索。
島の西南端の「前浜海岸」へ。
ここは宮古島トライアスロン大会のスイムのスタート地点になるビーチなんだけど、とにかくとてつもなく砂浜が白い。
光を全部吸収するのがブラックホールなら、ここの浜はそれと逆。
白砂が太陽光を全部はじいて乱反射させるから、雪原のようにまぶしくてクラクラする。
手の平にすくってみると砂のひと粒ひと粒が乾いてサラサラで、指の間を苦もなく通り抜けて、風に流されてく。
よく見ると、これは白化した珊瑚や貝殻が波のヤスリにかけられて粉砕→研磨された、いわば微細なギョクなのだ。
鉱物の色じゃなく、有機物のカルシウム色。
だから柔らかいクリーム色をしてる。
それが積もり積もって、綾なす光のかたまりとなってるのだな。
海が浜砂を美しく磨き、浜砂が海水をきれいに濾過し、その相乗効果がこの光景をつくってるわけ。
紺碧の空から降りそそぐ陽光が清潔な水を透過して、まっ白な海底に波紋を織りなし、めまぐるしく色彩を変化させる。
エメラルドブルー、なんて淡彩じゃ表せないのだ、自然の海は。
砂浜に寝転ぶと、背中の下の感触はまるでビロードのクッションみたい。
この砂でベッドをつくればいいのに、とツマは言うけど、この砂はこの場所にあるからこそ尊いのだ。
だってこいつを革袋に詰めたら、それはただの「生物の死骸袋」になっちゃうものね。
いつまでもこんな色の浜であってほしいなあ。
ゴミのひとつも落ちてなく、俗悪な看板も立ってなく、人影もまばら。
遠く聞こえるジェットスキーの騒々しい音だけが、残念ではあった。

つづきます

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園