裏日記「B面」

工房しはんが日々、ふと感じたり、しみじみとふけったり、ぴんとひらめいたり、つくづくと考えたりしてること。

世界のつくり/生命編・10

2023年11月05日 12時51分59秒 | 世界のつくり

10・RNAワールド、って

物質同士の偶然の連なりからついにDNAが形づくられてしまった・・・ってことになってるが、(デオキシリボ)核酸の単体による働きで遺伝子が下の代に移り、そっくりの形質が継承される、なんてわけじゃない。
その作業には、酵素が二重らせんをほどき、メッセンジャーRNAが駆けつけて情報をコピってトランスファーRNAに知らせ、素材をリボソームという工場に集積して設計図通りに組み立てる・・・という連綿とした規律が必要だ。
そこまで高度なやつを原形質(にもまだなってない)の彼に要求するのは、酷だ。
なので、とりあえずは「DNAになりきれてない情報媒体」である「RNAによる生命前駆体」ができた、としようではないか。
生命世界の最初期はRNAが支配してたという「RNAワールド」説だ。
RNAもまた、糖・リン酸・塩基による横構成ユニットを縦一列に連ねたもので、いわばDNAの二重らせんの片側だ。
この(リボ)核酸の使い勝手のよさは、遺伝情報の担い手であると同時に、エネルギーを自前でまかなうことができる点だ。
聞くひとが聞いたらびっくりするだろうが(わからないひとはぜんぜんわからないだろうが)、このRNAって子は、遺伝言語の四つの塩基のひとつであるアデニンと、身を削ったリボースを使って、アデノシンをつくるんである!
ね、ね、びっくりでしょ。
アデノシンと言えば、現世生物の細胞内にいるミトコンドリアがつくってくれる元気玉(エネルギーの素)であるATP(アデノシン三リン酸)を思い出すじゃない。
要するに、アデノシンもリン酸もあらかじめふところに持ってるRNAは、すでにチムニーの陽子勾配による電力供給を受けずともすむ、自家電力発生のメカニズムを開発しつつある、ってことなんだよ。
・・・って、今回は難しい化学知識を飛び交わせてごめん。
だけど次回、もっと奇跡みたいな分子生物学のエネルギー製造装置をお目に掛ける。

つづく

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園

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