広島平和祈念公園の平和の鐘をご存知だろうか。公園の北の端に近いところで世界平和を祈念する梵鐘が心地良い音を響かせている。その鐘楼の足元に池があり、その池に今年もスイレンの花が咲いた。小さな池の水面に数多くの花が顔を出している。時折平和の鐘を撞きに来る修学旅行生や外国人観光客を見守っているかのようである。
広島市平和記念資料館のホームページによれば、この池に、昭和26年に大賀一郎東京大学農学部教授が千葉市の検見川遺跡から二千年前の種を掘り出し発芽させた古代蓮、いわゆる大賀ハスが植えられてあるという。今はまだその姿は見えないが、季節の進行ととももに姿を現してくれるのであろうか。被爆当時、多くの被爆者がハスの葉で傷を覆ったり、火傷の痛みをしのいだという。そうした被爆者の霊を慰めるためにここに大賀ハスが植えられたのだという。
【写真上・下】小さな池の中ながら、今は多くのスイレンが花開いている。