本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

袋小路の男

2007-12-23 06:18:04 | Weblog
■本
94 電子マネー最終戦争/岩田 昭男
95 袋小路の男/絲山 秋子

94 電子マネーについて勉強する必要に迫られて読みました。あまりロジカルでなくなぜそういう結論になるのかすっとんでいるところも多々ありますが、この業界について、網羅的にまとめられた本はあまりないので、全体像をつかむにはい本です。最後の3章は同じことの繰り返しなので、流して読むのもいいかもしれません。

95 絲山秋子さんの短編小説3編が収録されています。「袋小路の男」、「小田切孝の言い分」は同じ登場人物を違う視点から描いています。恋愛小説といえばそうなのでしょうが、二人の関係は進展もせず、終焉にも向かいません。淡々と生殺し状態が続くのですが、それでもささやかな幸福感を漂わせるシーンで両方とも終わるところに、筆者の凄みを感じます。「アーリオ オーリオ」は、人付き合いの苦手な主人公の姪との交流を描くさらに地味な題材の話。絲山さんはすごく人付き合いが上手そうなイメージを持っているのですが、本作の主人公のような他人との距離感がうまくつかめない人物の描き方がすごく上手だと思います。こちらも、希望や絶望のどちらか極端な方向にふれることなく、たんたんと生きることの困難さやささやかな喜びが巧みに描かれています。クールなようでいて、ほんわかとあたたかい絲山作品に独特の読後感が残ります

コメント
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