本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

博士と彼女のセオリー

2015-04-04 07:27:47 | Weblog
■本
32 もぎりよ今夜も有難う/片桐はいり
33 「働き方」の教科書/出口 治明

32 映画それもソフトとしての映画作品ではなくハードとしての映画館を題材にした、とてもユニークな片桐はいりさんのエッセイ集です。片桐はいりさんの銀座文化劇場(現「シネスイッチ銀座」)でのもぎりのアルバイト体験に基づくエピソードと映画愛に満ちた眼差しが、同じ映画ファンとしてとても共感できました。首都圏のエピソードが中心な中で、はいりさんが丹後半島方面に旅された際のエピソードは、関西人としては情景がありありと浮かんできて楽しめました。やはり「好きなこと」にのめりこめる人生が素敵だということに、あらためて気づかされました。映画のさまざまな楽しみ方を教えてくれる素敵な本です。

33 親しくしていただいた諸先輩方が、この春に早期退職を選択されたのに触発され、尊敬する出口さんの「働き方」についての指南書を読みました。基本的なテーマは、50代でライフネット生命を起業された出口さんらしく、「仕事についてのノウハウや人脈が形成された50代で、それまでの経験を活かして起業することは合理的だし、日本経済の活性化や後進にチャンスを与えるという意味でも健全な考え方である」という趣旨の本です。決してご自身の自慢話ではなく、豊富な読書による人間理解や会社人生活から得られた体験を背景に、出口さんがおっしゃる「数字、ファクト、ロジック」に基づく主張なのでとても説得力があります。これだけ充実した職業人生を歩まれているにもかかわらず、「仕事は人生の三割」と言い切る仕事に対する適度な距離感もまた、この本の主張の信頼感を高めています。


■CD
19 Love Is Hell/Ryan Adams

 とても地味で内省的な作品ですが、1曲、1曲に心を込めて丁寧に作りこまれている印象で、強く作品世界に引き込まれます。Ryan Adamsの現時点での最高傑作ではないでしょうか。オアシスのカバー「Wonderwall」もシンプルながらも情熱的なアレンジで、原曲のよさを引き立てているだけでなく、この作品全体のトーンにも非常によくマッチしています。Ryan Adamsが信頼できるアーチストであることを世に示した作品だと思います。


■映画
24 横道 世之介/監督 沖田修一
25 博士と彼女のセオリー/監督 ジェームズ・マーシュ

24 吉田修一さんの原作に忠実に、青春時代特有の能天気さとそれが失われたあとの後味のよい切なさがよく出た映画です。ただ、少し長過ぎますね。もう少し原作のエピソードからメリハリをつけてもよかったのかもしれません。主人公演じる高良健吾さんは好演されていますが、僕の原作のイメージと比べると少し美形過ぎます。ヒロインの吉高由里子さんはハマリ役とも言えるくらい原作のイメージどおりですが、吉高さん自身のキャラのイメージが強過ぎて作品世界を楽しみきれない面もありました。押し付けがましくないポジティブさに溢れた好ましい作品なのですが、原作を読んだときにも感じたご都合主義的な出会いはやはり気になります。原作を読んだときと同じ感想ですが、ファンタジーとして楽しむべき作品だと思います。

25 想像以上に素晴らしい作品でした。最近のアカデミー賞は有名人に似せた演技やハンディキャップを持った人の演技が評価される傾向にあり、その風潮を個人的に疑問に思っていたので、その両方の条件にあてはまるホーキング博士を演じたエディ・レッドメインの主演男優賞受賞も懐疑的でした。しかし、その先入観を打ち破る圧巻の演技と、「愛情にも耐用年数がある」かのような苦味がありつつやはり愛に溢れた夫婦関係の描き方が非常に巧みで、とても感動しました。ホーキング婦人を演じたフェリシティ・ジョーンズも無垢な学生時代から、芯を持った女性への成長を魅力的に演じきり素晴らしかったです。ホーキング博士の学術的な偉業が伝わってこないなどの突っ込みどころはあるにはありますが、人間の強い面と弱い面を忠実に描いた誠実な作品だと思います。
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