本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

物語のように

2022-06-25 06:09:57 | Weblog
■本
50 長期腐敗体制/白井 聡
51 「わかる」とはどういうことか/山鳥 重

50 民主党政権が終わり、第一次安倍政権が成立してから続く、自公連立政権が選挙で勝ち続ける状況を「二〇一二体制」と定義し、その腐敗ぶり、無能ぶりをこれでもかと指摘するとともに、このような体制を許す日本国民にも警鐘を鳴らす本です。私も口が悪い方ですが、もはや名人芸と言ってもよい切れ味ありまくりの、白井さんの毒舌が凄まじく、それを読むだけでも価値があります。口喧嘩が強くなりそうです。書かれている内容も概ね同意できるものばかりで、我が身も反省させられました。一方で、この痛快なまでの毒の効いた文体が、白井さんの意見に否定的な人にどこまで届くかというとやはり疑問が残ります。私のように、白井さんと考えの近い人には、喝采をもって受け入れられると思いますが、それ以外の人には、ほとんどこの言葉が届かず、分断をより進める危険性がある文体だと思います。もちろん、白井さんも本によっては文体を変えておられて、例えば『武器としての「資本論」』では、批判よりも激励のニュアンスが強いので、あくまで、この本はファンの期待に応えるために書かれたのかもしれません。それでも、分断が進むこの社会で、白井さんの社会に有意義な正論を、それを否定するような人にも少しでも共感を得てもらうためには、どのように伝えればよいかということを考えてしまいます。今回の参院選後もこの「二〇一二体制」が盤石な状況が続きそうであるがゆえに、読んでいる時はテンションがかなり上がりましたが、読後は少し落ち込んでしまいました。

51 サブタイトルの「認識の脳科学」について学びたくて読みました。山鳥さんが神経内科医として、脳の損傷により認知機能障害を起こした方の治療やリハビリを担当された経験から、具体的に「わからない」とはどういう状態であるのかを説明して下さるので、逆説的に「わかる」ためにはどういう機能が必要なのかが理解できます。「知覚」したものを「区別」(「記号」化)し、自分の中にある「記憶」と照合することにより「理解」する、脳の仕組みが大まかではありますが、わかったような気がします。前半は「脳科学」の話でしたが、そこから発展し、後半は、より大きく深く「わかる」ことが、主体的によりよく生きていくために必要であることを教えてくれます。自分の中に知識のストックを増やすことと、未知の状況に置かれたときは、自分なりの仮説を作って検証していく姿勢が重要なのだということを学びました。


■CD
5 物語のように/坂本 慎太郎

 一聴すると地味ながらも、前作「できれば愛を」よりもさらに不気味かつ穏やかな音楽が続きます。歌詞の方も、つかみどころがないですが、比較的ポジティブな印象が残ります。救いを求めると打ちのめされますが、自暴自棄になっているときに聴くと癒されます。前作までは、わかったような気になって聴くことができましたが、本作は正直あまり理解できておらず、うまく言語化できません。「難解」とか「深み」とかでは表せない、底知れぬおどろおどろしさを感じます。もう少し聴きこんてみます。


■映画
35 劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班/監督 橋本 一

 ストーリーの辻褄やリアリティにこだわることなく、エンターテイメントに徹する潔さが韓国映画っぽいなと思っていたら、やはり、韓国ドラマのリメイク作品でした。日本でも、もともとテレビドラマで放映していたシリーズの、映画化作品だそうです。冒頭に手際よく要約してくれているので、テレビ版を観ていなくても十分理解することができました。政府や警察の腐敗を、これでもかと描く展開も韓国映画っぽいですが、日本を舞台にしていてもさほど違和感はありません。「過去の特定の人のみと繋がる無線機」、というあり得ない設定を受け入れられるかどうかで評価が分かれると思いますが、私はそれなりに楽しめました。金城一紀さんが脚本を担当されたドラマが好きな方は、相性が良いと思います(金城作品の方がディテールの構成が緻密ですし、どんでん返しの切れ味がよいですが)。
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