本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

Shadows

2010-06-13 16:12:46 | Weblog
■本
46 うりずん/吉田 修一 佐内 正史
47 ネット帝国主義と日本の敗北/岸 博幸

46 佐内 正史さんの写真に吉田修一さんが超短編小説を添えるという形式の本です。写真のパートと小説のパートが明確に分かれていて、どの写真を題材にした小説かは明確にはわかりませんが、なんとなくコラボレーション感は出ています。いい意味でも、悪い意味でもひっかかりの少ない写真と小説で気楽に楽しめます。でも吉田さんの文章は、また読んでみたいと思う、心地のよい中毒性があるから不思議です。

47 賛否の分かれる本だと思いますが、「Google万歳」的な論調の多いネットビジネス本とは一線を画し、この分野で幅広い視点を得る上では読むべきよい本だと思います。Google、Amazon、iTuneといったプラットフォームレイヤーを押さえつつある米国企業のサービスを無邪気に使う日本人(私もその一人ですが)に対し、「国益」という観点から警鐘を鳴らす視点は斬新だと思います。また、「武力や経済力」といった「ハードパワー」に対し、人を惹き付ける「文化など」の「ソフトパワー」の強化が今後の日本の進むべき一つの方向性であり、その観点からもプラットフォームレイヤーのサービスを米国に依存する危険性を指摘している点も興味深いです。ただ、その考えの前提である、米国のプラットフォームサービスが、コンテンツレイヤーが本来得られるべき適正利益を搾取し、ジャーナリズムと文化を衰退へと導いている、という考えは必ずしも賛同できない面があります。まず、衰退しているのは文化とジャーナリズムではなく、旧来のマスメディアとコンテンツビジネスであり、この2つは必ずしも文化とジャーナリズムとイコールではないと考えます。プラットフォームレイヤーのサービスの普及により、草の根レベルのジャーナリズムや文化は確実に進化していると個人的には思いますので、もちろんこの種の草の根レベルのジャーナリズムや文化がこれまでのマスメディアとコンテンツビジネスの代替品にいきなり取って代わるとは思いませんが、過渡期の状況としてそこは冷静に見極めるべきだと考えます。とはいえ、ネットビジネスを考える上での「オルタネイティブ」な視点を与えてくれる良書だと思います。

■CD
24 Shadows/Teenage Fanclub

 「円熟味」という言葉がぴったりな落ち着いた雰囲気の心地のよい作品です。「グランジ」一派と見られていたころの荒々しさは皆無ですが、どの曲も本当にメロディがよいです。本作を聴いて、歳を取ることの寂しさと楽しさを感じました。
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