「カッチャン」 20210101 20200901

 

なぜ、なに、わかんない、どうして？

こどもはだんだんと「なぜ」を眠らせることでオトナになっていく
この世界には〝眠り薬〟があふれている

心から湧き上がる問いは少しずつ
オトナが与える確定項（定説）によって埋まっていく

より包括的には、率直さとこどもがイコールで結ばれ
問いをあからさまに叫ぶことの恥ずかしさが学習される

生きるために覚えるべきことはある
知っといたほうがいい「解」はある、とりあえずね

けれど〝満額回答〟が用意されているわけじゃない
ひとつひとつが適切な「解」かどうかも定かではない

この世にはありあまるほどの「未知、非知」があふている
ほとんとはね、でも

いつもいつもいつも問いのまま覚醒していればコストもかかる
だから、眠り薬が求められる現実的理由も根拠もちゃんとある

「決まってるじゃん」
「おまえはバカか」
「オトナになればわかるさ」

眠り薬がまったく効かないカッチャンは
いつも大声で「なに、なんで、どうして？」を連発してる

たぶん不惑の年齢をすぎているけれど
問わない理由をどこにも見つけられないように
ほがらかに問いをぶつけてくる

おとなたちはだれもきちんと答えず、笑って余裕をかます
応答の流儀もお決まりの「解」、共通パターンに従っている

ほんとうは〝全問正解〟からはほど遠い場所にいる
なのに、問いに答える以前に、問うことがおかしい
そう思い込むようにみずからの思考を凍結して済ましている

かっちゃんのおかあさんの流儀はちがっている
オトナたちの流儀、その内実をとことん知りながら

眠り薬が効かなくてＯＫと思っているようにみえる
いつもカッチャンのそばでやさしくほほえんでいる