ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「自由について」 20201011

2020-10-11 | Weblog

                                                                                                                      (イラスト・鶴田めぐみ)

 

○未使用の「自由」も守る

「危機と言われる今だから、きちんと考えておきたいことがある」
「なに?」
「自由について」
「わかるようでわからない」
「簡単にいえば、ぼくたちが夢やあこがれを追求することができること。
小難しく言えば、一人ひとりの可能性、可動域を広げてゆけることかな」
「はあ」
「生き方を選べて、自分や人との関係の仕方を追求できる大事なもの」
「それが自由?」
「うん。一人ひとりが人生を選び、作り直して行けるって大事でしょ」
「自由って好き勝手とはちがうよね」
「うん。自由な社会にはお互いの自由を認めあうという条件がある」
「条件か」
「昔はそれぞれの住む土地や職業、人間関係、生き方は生まれた場所でだいたい決められていて、
それなりに世界が生きられていた。自由は人間の新しい発明品ともいえる。
ぼくらは自由を基本にした社会に生きていることになっている。」
「なってないの?」
「自由が嫌う人もいるし、自由じゃないルールだらけの場所もある」
「校則漬けの学校とか」
「学校以外にもいろいろあるね」
「まだ途中なの?」
「自由な社会は自然には生まれない。一人ひとりがそれを求めて作ろうとしなければね」
「求めない自由もあるのかな」
「でも、変化する可能性は人間を元気にする。それは疑えないでしょ」
「うん」
「人と人の関係に自由に動かせるスキマ、可動域があるかどうか。
関係が固定すると自由は消えていく」
「でも、それで目標や行動がはっきりすることもあると思う」
「わかるよ」
「変わればいいってもんでもない。ふらふらするより毅然としてたほうが
立派にみえることもあるかな」
「あるけど、その代償も大きいと考えたほうがいい」
「なぜ?」
「自由は壊れやすく、失われやすい。自由には使わない自由もある。
予備の、未使用の自由の領域。この領域は無限の広がりがある」
「だから?」
「世界の姿を一つに決めて生き方を固定すると、人間や社会の可能性を捨ててしまうことにもなる」
「他人にもそれを求めたり、強制したりとか」
「そう」
「なぜだろう」
「ひとまず現状で安心とか、変化することの不安や恐れもある」
「面倒くさいとか?」
「面倒と感じるか、楽しいと感じるか。面倒と感じる人間が多い社会なら変化は起きにくい。
現状維持で、可動域を固定する方向に動く」
「自由が消えて、可動域が固定されるとロボットに近づいていく?」
「まさしく。使わない自由も含めて、人間の社会から自由が失われると
歴史のネジを巻き戻すように昔の状態に逆戻りしてしまうかもしれない」
「でも面倒だから、だれかに決めてもらいたい心もあるかな」
「いわれるまま、あなたまかせのままだと、どこに連れて行かれるかわからないよ」
「でもね、これが世界って決められて、こう生きればまちがいないと言われたら
サンキューって飛びついちゃうかもしれない」
「ある意味で、人間の自然な反応ともいえるけどね。とりわけ大きな危機のときにはね。
でもちょっと待てというべきだな」
「うん」
「未来にも残しておくべき発明品、つまり人間と社会の可能性をここでポイと
捨てしてしまうことになる」
「だから?」
「自由を壊すように動くものについては、
きっちりNOって言い返せるようにしておきたいな」

 

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