わたくしという現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(宮沢賢治『春と修羅』)
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くりかえし心に留めておこう
たしかなことがある、
答えはどっち、なにかと問うことに意味はない
生の波形と波形が交わり、重なる生の気圏
この世に二度とない出会いの時がある
ふたつの光が出会って相互に照らしあって
カクテルの光を構成する
そう呼ぶしかないなにか
なにかは生まれるかもしれない
生まれないかもしれない
ひとりではかなえられない光のカクテル
それがなにかはわからない
けれども
生まれるものへの予期が保たれ
青い照明光への礼節が失われないかぎり
照らしあうカクテル光線の瞬きのなかに
すべてはこめられている
この瞬きのときを生き切る以上のものはない
ひとしく流れ去り消えていく時間ではない
特別な瞬きの時を逃がさず捉えるまなざしを磨いておこう
Hallows Eve - Reina del Cid - YouTube
ことばとは別の交歓ルートがある
ことばが照らすのではなく
ことばを照らし意味を与えている
ことばに先行して動いている
ことばに手を伸ばし選び運ばせる
ことばが果たせること果たせないこと
ことばに足りないもの行き過ぎるもの
ことばに修正を促がすルートがあって
いつも雨の日のように情動に濡れている
ことばの使用が逆説的にそのことを告げる