ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「ことば──生成する関係子」

2021-10-06 | Weblog

 

 

世界記述の諸形式──

デジタルな時間が内的時間を上書きするように
いつものように、本日も、朝がやって来る

気温20℃。気圧1000ヘクトパスカル。降水確率50%
水曜日、午前8時。発車時刻まで3分、オーケー
発車のベルが鳴る、小走りで駆け込む。傘は持った。

デジタルな記述が教える日常、世界の姿
デジタルな記述が行動指定する「これ、あれ、それ」

関係世界を一人のプレーヤーとして生きるかぎり
個と個を結びあわせる〝関係子〟、ことばの装填は必須の条件を構成する

多層な構成をもつ世界、その各層に対応する多様な記述形式があり
すべては広義の「ことば」のさまざまな展開形式が対応する

ことば──

関係世界という関係のゲームを可能にする「関係子」としての本質
個と個を結び合わせ、集合的いとなみを可能にする〝用在〟としての「ことば」

関係のゲームにおいて、個(実存)の世界経験は「ことば」に媒介され
個のそれぞれの経験はすべて異なるにもかかわらず
共有可能な「ことば」=関係子の構成に従うように意味変換される

個(実存)の世界経験の固有性、私性、多様性、多層性
いかに関係子として交換可能、合意可能な記述形式にもたらすか──

あらゆる記述を貫く主題、すなわち集合的な「合意可能性」

あらゆる関係企投(関係プレー)はつねにこの主題をたずさえ
変換の圏域を通り抜け、ことばにコードされる

この連続的な試行としての人間的生の展開──
個(実存)の世界経験を、交換可能なもの共有可能性をめがけるいとなみから
「ことばの歴史」が積み上がり、再編され、更新され
生成的に積み上げられていく多層な記述の系──

文学・法・サイエンス・数学・経済・医学・法・宗教・芸術、エトセトラ
すべての系をつらぬく「生成する関係子」ということばの本質(関係本質)

この生成的本質が見失われ、動かせない自明性として固定されるとき
本来、与えられたはずの正当なポジション、役割、機能を外れ
記述の系は「個」の経験に先行するように「個」の生を逆規定しはじめる

このとき「合意可能性」という試行的主題は見失われ
一般意味の規定に従属する生世界という倒錯が現象していく

この倒錯がみちびく帰結──
すなわち、世界の固定、「合意可能性」の高次化の契機の喪失

    ***

しかし、世界記述がどれほど精緻に記述をきわめていっても
原理的に、個の世界経験の全域を「ことば」は覆うことができない

──子は母を産むことができない

 

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