なんども新たに出発しなければならない場所がある。
なんども新たに、すべてを捨てて立ち上がらなければならない場所がある。
そしてなんども新たに、
ただ希望が到来するように行為しなければならない場所がある。
――河本英夫『システム現象学―オートポイエーシスの第四領域』
ゲーム展開がどんなプロセスをたどるかはつねに未規定である――
未規定ゆえに活性化していく作動と、
未規定ゆえに不安に押しつぶされる作動がある。
希望と絶望――すべてのプレーはふたつの極性においてゆらぎ、
ゆらぎのカオスが、ゲームのダイナミクスの震源をつくっていく。
展開は、つねに制御の意思に先行して目の前に開かれ、
展開が告げる意味連関が次のプレーを解発していく――
展開の先行性は、プレーにとって規定性として現われ、
同時に未規定な選択可能性の領域が照射され、
新たなプレーの可能性が開かれる初期条件をつくる。
プレーヤーは展開を引き受けることで相関的にセルフ像を結び、
展開とセルフの関係構造から次のプレーイメージを描き出していく。
規定性を規定性として受け容れる――
未規定性を未規定性として受け容れる――
希望あるいは絶望を一方的に強いるものをしりぞける――
すぐれたプレーヤーはそのことをプレーの格律として、
その場所に、プレーの自由とエロス=可能性の原郷が存在するように、
展開に修正を加えうるプレーイメージを探し、実効的な希望を立ち上げていく。