ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「アンサンブル」

2013-11-13 | Weblog

 

            サイバネティックスな目で世界を見るということは、
            現象のひとつひとつのステップに、マッピング、翻訳、変換といった形式を
            持つプロセスの存在を見ることにほかならないのだ。

                               ――G・ベイトソン『精神の生態学』佐藤他訳

          
          光と影と色彩のランダムな差異の連なりに
          タクトを振う超越的な存在がいるわけではない

          だれかのまなざしが風景に接続されるといつも
          差異の連なりは情報としてピックアップされ
          非線形的な変換とマッピングが起動していく

          写像された視覚像は即時に変換規則と交わり
          固有の電荷を帯びて相転移へと導かれ
          錦繍とも呼ばれる意味とパターンの構成――〝紅葉〟が創発していく

          汲み尽くせない世界の現われはいつも
          ランダムな差異の連なりにおいて変化し
          同時にまなざしが携える変換規則も変化していく

          ときに〝うつくしさ〟のアンサンブルとして
          ときに〝みにくさ〟――アンサンブルの乱れとして

          まなざしが担う志向性と意味的統一の作用に誘われ
          世界の色あいと表情は変幻していく

          そこには遥かな面影と重なりあうなにか
          世界を一つの構成へ導く密やかな
          シグナルが明滅しているようにもみえる

          季節の遷移と差異のゆらぎのなかに
          だれかのまなざしが向かうとき
          新たな意味とパターンの配置が織り上げられ          
          またひとつ、固有の響きが奏でられていく

 

コメント