イワン・アサノヴィッチの一日  畑と映画の好きな卒サラ男。

政官業癒着体質の某公共事業職場を定年退職。鞍馬天狗・鉄腕アトムの人類愛に未だに影響を受けっ放し。孫には目がない。(笑い)

映画「母べえ」を観て

2008-03-11 09:53:05 | 映画

 母(かあ)べえこと吉永さゆりは、死の床で女医と教師になった二人の娘に声も絶え絶えにお別れの挨拶と感謝の気持ちを告げる。

娘たちは『天国の父(とう)べえに会えるからいいね』と明るく振る舞う。

母べえは消え入りそうな声で『あの世でなんか父べえに会いたくない。生きているうちに会いたかった。』と言って息を引きとる。

不可避的な事故や病気で、愛する伴侶と死別することならばまだしも諦めることが出来るかも知れない。

しかし、空前の悪法「治安維持法」で、愛する伴侶がある日とつぜん逮捕され投獄の末に獄死させられたとあっては、まさに国家権力による殺人であり、遺族は諦めようにも諦め切れない。

父べえこと板東三津五郎は研究熱心な若き独文学者であり思想家。母べえの夫であり、思春期を迎えた娘たちの優しい父でもあった。

食卓は貧しくとも一家の団らんは家族愛に輝き溢れていた。

そんなごく普通の家庭を、おぞましい特高警察は蹂躙する。

転向を迫る国家権力は、大学の恩師という形で現れ『悪法も無法に勝る』と嘯く。そしてまた、検事として現れた大学の教え子は『あなたは国賊の身ですぞ!』と取り調べ室で怒鳴るのである。

権力による弾圧というものは巧妙で、かくの如く恩師や教え子を通して行われるのである。実父からも勘当される。

母べえは凛とせざるを得ない。しかし、教え子の山ちゃん(浅野忠信)や若き叔母(壇れい)の心温まる支えも一家にとって欠かせないものになった。

壇れいは宝塚出身で2回の中国公演では楊貴妃の再来とまで騒がれた女優。

とかく形式美のみの塚ガールと違って才色兼備で”動”のある女優だ。

去年の志布志町選挙違反事件で国家権力は平気で10人以上の善良な市民を投獄した。母べえの悲しみは今なを続いている。

吉永さゆりの老け役はまだまだ似合わないことに気付いて一安心。


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1 コメント

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こんばんは。 (nakamura)
2008-03-15 22:07:37
こんばんは。

小百合ストというのが、たくさんおりましたですね・・・(笑い)。
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