知人が今回の統一地方選挙で県会議員に当選した。
無所属で現職自民党に対抗する形で立候補したが、途中で民主党が付け焼き刃で公認候補を擁立し、選挙民にとっては争点の見えない選挙となった感がする。
当選後の集会で新県議は『自分は「そのまんま東」現象を訴え当選した。政治的閉塞を打破したい』と講演した。
全国的にも民主党の議席上の躍進が報じられている。また一方で投票率はさほど上がらず、自民離れ・政党離れの傾向は依然と続いているとも報じられている。
このことは、政治的閉塞感を持った多くの国民が本当は棄権したいぐらいだが取り敢えず投票所には足を運び、もう与党自民党には希望が託せないから次善の策で民主党に、という、一種やるせない構図のように推測出来る。
二大政党選挙の構図と結果の出方は似ているが誤解してはいけないように思われる。低すぎる投票率が上がらないままの、民主党の相対的な躍進など、決して二大政党制・政党選挙の定着などではあり得ないと思う。
政府は「世は、いざなぎ景気を超える好景気の更新中」と喧伝するが、多くの国民は格差拡大の渦に飲み込まれようとしている。
そこに従来の与党支持者に留まらない国民の多数が政治的閉塞(=政党離れ・自民離れ・投票率低迷・争点不明確)を感じるのは当然のことと思われる。
かかる政治的・社会的状況の中で、もう一つの現象が生まれつつあると思われる。
なにかをやってくれるかも知れない「そのまんま東」現象に最後の希望を託そうとする、半ば切ない選挙民の付託である。
気を付けねばならない。これは「最後の付託」なのである。
第1次世界大戦で疲弊したドイツ国民は、政治的閉塞を破るかの如き登場したヒトラーに雪崩打つように支持を与えたのである。
当時、ユダヤ迫害を一時中断し、派手にオリンピックを開催した人間は、巧妙に閉塞感に打ち拉がれた多くのドイツ国民の「気分と感情」を手中にした。
東京にも石原某という似た人間が居る。
私たちは政治的閉塞感の中でヒトラーと「そのまんま東」を取り違えてはならない。