2月5日、市役所主催で「まちづくりシンポジューム」が開催された。
市の都市計画のボランテイアをしているイワン・アサノヴィッチにも参加要請の通知が市役所から来ていたので参加した。
パネルデイスカッション方式で運営され、パネラーに宮城まり子氏が居たことと、わが町の障害者福祉の運動家・伊佐勉氏 (ご自身も視覚障害者です)がパネラーであることに強い魅力を感じて参加したのである。
宮城まり子氏は85歳であり身体の衰弱は否めないが、クリクリとした大きな目が今なお女性の可愛らしさを残している。イワン・アサノヴィッチは終始、宮城まり子氏の発言に関心を持ち集中させた。
冒頭から母子家庭で育ちながら、その母と弟を幼くして亡くした後の気持ちを、過剰な悲壮感もなく綺麗な声で淡々と語っていた。『お母さんが恋しくて、恋しくってね。』
シンポジュームの始まりからイワン・アサノヴィッチの目頭は潤んでしまった。
子育て・福祉がシンポのテーマであったが、彼女はコーデイネーター(見城美枝子)の采配をあまり気にせずスッと手を挙げて、あのね…などと言いながら喋り始めてしまう。一見すると会話が噛み合っていないかの如くに思える。
『お家の前の道をね掃除する時、少しだけお隣さんの所も掃除してあげると良いのよ。するとお隣さんも同じ事をして、いつの間にか長い道が綺麗になっちゃうのよ。』
子育てにせよ介護にせよ福祉の世界に必要なものは、法律制度・システムばかりではない。そこに生き・携わる人々の”自利利他”の精神や慈悲のこころが交わるような社会の存在が必要なのではないか、と指摘しているのである。
宮城まり子氏は演説ぶったり・講話ぶったりはしない、平易な言葉と会話方式で福祉・子育てのあり方や精神を述べているのである。
彼女が運営する施設の部下や関係者が5億円以上の詐取をしていたことが判明している。一見すると痴呆がかったように見える85歳の老女では、施設の運営もままならないのだろうと思える。
娑婆世界で身近な人間から5億円にのぼる詐取をされていながら、ますます”自利利他”と慈悲の心を説く氏の姿に感動した。同席していたパネラーの高橋洋二日大教授は『宮城まり子さんの御発言は本質的なものです。』と論評していたが名言である。
宮城まり子氏の経歴紹介に、「宗教者」も加えなければいけない。
わたしも以前から宮城まり子を尊敬しているひとりです。
(香取のイケメン爺)