旭化成が朝日新聞(H23年8月29日付け、朝刊面)に3頁に亘る、全面広告を出した。3頁という分量もさることながら、公告の内容の奇抜さにも驚かされる。
富士山のすそ野に展開する街まちの夜景をバックにしながら、宣伝文はたったの数行である。
「この國を愛する。これからもこの國で暮らしたい。」という内容だ。3頁目にはハウスメーカーとしてのエキスをこれまた手短に表現している。
すなわち震災を踏まえて、耐震構造をアピールしたものであるが、キャッチフレーズの結語が「昨日まで世界になかったものを!」となかなか奮っているし”意味深”である。
東電が案の定、電気料金の値上げをマスコミにタレ流し始めている。既に経団連が同様主旨のことを露払いとして発信していたことと軌を一にするものであり、財界とマスコミの悪いクセだ。
試算だと言いながら一般家庭では月当たり700円から1,000円ちかい値上げになるだろうと、ちゃんと計算を済ませている。
8/29付け、TVモーニングバードに出演していたコメンテーターの全員が「脱原発になると、火力発電になり値上げは必至だ。」の経団連と東電のタレ流し的発言は「国民に対する恫喝」ではないかと論じていた。マスコミのメデイアも共演者だ。
東電の2兆円を超える内部留保金は温存し、「東電株式会社維持存続」さきに有りき、がそもそも間違いの元であることを多くの良心的な識者が指摘している。
先日、楽天の三木谷浩史会長が、経団連が変わる切っ掛けになればとして、経団連からの退会を決めた。
三木谷会長は「退会理由の一つは電力業界の構造に問題があり、日本の経済界は世界の中では既にガラパゴス的に遅れている。にも拘わらず電力業界を含めた組織の守旧のみに汲々としている。」と鋭く指摘している。
ソフトバンク孫正義氏も、自然エネルギー電力は10年後にコストで、原子力と逆転するかも知れないのに電力業界は(経団連と歩を並べ)手をこまねいている、と厳しく批判している。
時代はムラ社会的資本主義から真の開放的で民主的な資本主義経済へと変わろうとして、今はその足踏みを始めている。
旭化成の全面広告は、かかる状況を踏まえて「日本を愛し、産業の空洞化に組みすることなく日本に留まり、昨日まで世界(それは取りも直さず日本のことであろう)になかった新しいものを造って行こう!」と大きく呼びかけているかのようだ。
震災と原発事故を契機にして、「新・経団連」「新・電力業界」が生まれて然るべきではないか。どう見ても、従来の経団連や経済同友会、電力業界・原発ムラなどの守旧派・ガラパゴスは、ここに至ってもなを日本と日本国民を愛していないようである。
国民の側からも、本来ならば日本とその国民のために存在した筈の「経団連」「経済同友会」に対して、今や敬愛の気持ちが無くなりつつある。
同時に米倉経団連・長谷川経済同友会は国民的な”老害”になりつつあることも併せて指摘しておきたい。