TV朝日の番組、「スーパーモーニング:5月17日放送」で異変が起きた。
コーナー番組の「永田町トリビア:担当者はジャーナリストの三反園訓」でいきなり朝鮮戦争やマッカーサー司令官、ダレス元米国務長官などが登場した。
いつもの番組の狙いは永田町のトリビアな事柄を前線記者の経験を踏まえた軽い情報話コーナーなのである。一般国民が知らないままに過ぎて来たことではあるが、永田町界隈独特の”常識”などを興味深く紹介・解説する番組である。
ところがこの日は吉田茂元首相や安保・防衛・自衛隊の言葉も飛び出し番組内容の中では重要な位置を占めた。
要は時に安保肯定論者から出される「安保のお陰論」なのである。日本は日米安保条約があったお陰で、米軍庇護のもと再軍備をしないで経済成長に専念できた。その(安保)お陰で経済の豊かな国になれたと言う「安保条約=米軍基地、肯定論」なのである。
普段の当番組の出演者の言辞や近年のリベラルな放送内容からすれば、異変とも思える保守的で右傾化した内容であった。それも、いつもシャープに政府の常識を国民目線感覚で切ると言う適格な批判力のある、ジャーナリストの三反園訓が担当したから尚のことである。
放送は沖縄普天間基地移設問題に照準を合わせたタイミングであり、明らかに”沖縄海兵隊抑止力”論を側面援助するものであった。
以前は自民党筋からの圧力でこういう異変がしばしば放送局に起きた。今回は時あたかも普天間基地移設先決定リミットの5月末という時期を考慮すると、意外にも民主党筋からの圧力かも知れない。財界・政府・政権党の権力による卑劣なマスコミによる世論誘導であり、言論界への弾圧である。
”偏向”番組に携わった三反園自身も他の出演者(赤江珠緒アナなど)と同様にバツの悪そうな顔をしていたのが印象的であった。ナビゲーター役の老練な鳥越俊太郎は、ひとり異議を唱える意思表示をしていた。
いまさら権力に媚びる気はないと言うことであろうが、言論の自由擁護という貴重な行動の一歩である。それもまた印象的なシーンではあった。