我が輩の名はハナである。御主人様は我が輩のことをタダネコと呼ぶ時がある。
近頃、世の中ペットブーム、我が輩より少しばかり毛並みが良いと言うだけで、高値で売り買いされているそうだ。我が輩は俗にいうノラである。
値のついていない、即ち無料の猫だからタダ猫と、ご主人様は言う訳なのである。失敬な話しである。
先日、猫好きの親戚の家にご主人様が行った時のことである。その家にはベンガルという血統証付きの猫がいたそうだ。
『黒トラでさ、一見するとうちの猫と似ていたけれど、よく見ると目が丸くて可愛いし、模様もちょっと変わっていて実に綺麗だったよ。やはり血統証付きの猫は違うなあ。』と、我が輩の顔を見ながら家人に話している。嫌みな話題である。
ご主人様と目が合ったが気分が良くないのでソッポを向いた。するとご主人様がやって来て、我が輩を抱き上げ、顔をマジマジと眺めながら…