みどりの一期一会

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全国16原発の放射性物質拡散予測地図:原子力規制委が公表/4原発、30キロ圏外も避難線量

2012-10-25 21:19:21 | 地震・原発・災害
昨日、原子力規制委員会が全国の16原発について、
過酷事故が起きたときの放射性物質の拡散予測地図を公表しました。

新聞各紙には、一面カラーの地図入りの記事が載っていて、
ひとたび放射能がひろがったらこの範囲に住んでいるひとたちの生活はどうなるのだろうと思いました。

福島原発事故をすでに経験しているわたしたちに、
「もしも」はもうありません。

  全国16原発の放射性物質拡散予測地図:原子力規制委が公表 
2012年10月24日 毎日新聞

 原子力規制委員会は24日、東京電力福島第1原発事故のような過酷事故が発生した場合、全国の16原発について、どの程度の距離まで避難範囲が広がるかを試算した放射性物質の拡散予測地図を公表した。
 福島第1原発を除く16原発で、(1)福島第1原発1〜3号機と同量の放射性物質が放出された場合(2)すべての原子炉で炉心溶融が起きた場合−−の2種類を試算。気象条件は一部原発を除き、昨年1年分のデータを使用。各原発の16方位で、国際原子力機関(IAEA)が定めている避難の判断基準(事故後1週間の内部・外部被ばくの積算線量が計100ミリシーベルト)に達する最も遠い地点を地図に表した。極端な気象条件を排除するため、上位3%のデータは除外した。
 規制委事務局の原子力規制庁は「架空の前提条件を基にした試算であり、精度や信頼性には限界がある」としている。地図は、地元自治体が来年3月までにまとめる地域防災計画の資料にするため、規制庁と独立行政法人・原子力安全基盤機構が作製した。

 ◇地形考慮せず試算
 放射性物質が最も多く出た東京電力福島第1原発2号機と同様、約10時間にわたって放出が続いたと設定。風向、風速、降雨量などについて、1年分の気象データ8760パターン(365日×24時間)を地図上に積み重ねた(一部原発を除き、気象データは昨年1年分を使用)。ただし、極端な気象を除外するため、拡散分布地点の遠い上位3%に入るデータは除いた。計算システムの制約上、山間部や河川、湖沼などの地形を考慮しておらず、それに伴う風向などのデータも加味されていない欠点がある。放出源は地表面に設定しているため、実際の飛散状況とは異なるとみられる。試算では、米国の原子力規制委員会(NRC)が使用しているコンピューターシステムを使用した。
 ※地図データは、Googleマップを使い原子力規制庁などが作成した。


  規制委が重大事故予測・指針案 「30キロ防災」混乱の恐れ
2012年10月25日  東京新聞

 原子力規制委員会(田中俊一委員長)は二十四日、原発で重大事故が起きた場合にどう放射性物質が拡散するかの予測マップや、自治体がまとめる防災計画の基準となる「原子力災害対策指針」の素案を公表した。指針の素案には検討中の項目が多く、重点的に防災対策を進める区域(原発から三十キロ圏、UPZ)を超えて放射能汚染が広がる予測結果が出た原発もあった。自治体が対策を検討する中で、混乱が広がる恐れもある。
 予測では、東京電力柏崎刈羽(新潟県)と福島第二(福島県)、中部電力浜岡(静岡県)、関西電力大飯(福井県)の四原発で、UPZを超えて深刻な汚染が広がるとされた地点があった。
 指針では、防災区域を、従来の半径八~十キロ圏(EPZ)から三十キロ圏に拡大。住民への連絡手段や避難方法を確立し、被ばく医療の体制を整え、事故時の対応拠点となるオフサイトセンター(OFC)を放射能汚染などにも耐えられるよう改修し、シナリオを伏せた防災訓練を実施することも求めている。
 規制委は今月中に指針をまとめ、三十キロ圏にある自治体は、来年三月末までに防災計画を立てる。
 ただし、予算の問題も含め、対策を進めるのが国なのか自治体なのか、住民が避難を始める際の判断基準はどうするのかなど、具体的な部分の多くについては「規制委で検討する」と、未定の部分が多い。
 規制委は、具体的な指針内容が決まった部分から順次マニュアルにまとめて自治体に示す予定。避難の判断基準と医療体制の要件は年内にまとめ、他の検討項目は来年三月末までに結論を出し、指針を段階的に改定する。
 この被ばく量は、一般人が百年間に許される被ばく線量を、たった一週間で浴びるという極めて高い線量。マップは、地形を考慮せず、気象条件も簡略化しているため、精度に問題がある。
 規制委の田中委員長は記者会見で、UPZの範囲は「三十キロで提案する」と述べ、さらに拡大しない考えを示した。
 三十キロ圏の外の対策について問われると、「拡散予測はあくまでも参考。避難や放射線防護は、実際に測定した値を踏まえて行う。予測ですべて解決するわけではなく、重層的な取り組みが必要」と述べた。

◆指針案のポイント
 一、災害長期化も考慮し、情報提供する体系を構築。
 一、原子力事業者に事故収束の一義的な責任。災害対策にも大きな責務。
 一、防災対策の重点区域は、原発から半径30キロ圏に拡大。5キロ圏は直ちに避難する区域とする。
 一、緊急時の情報提供では、高齢者や乳幼児、障害者、外国人など支援が必要な人への配慮も必要。
 一、緊急時の放射線モニタリングは原子力規制委員会が司令塔。
 一、避難は規制委が輸送手段、経路、避難所などを考慮し判断。
 一、安定ヨウ素剤の投与指示は規制委が一義的に判断する。判断基準は検討が必要。
 一、福島第一原発事故の被災住民の健康調査や除染などでは、実情を踏まえた対応が重要。他の原発とは別に今後の検討が必要。 


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 4原発、30キロ圏外も避難線量 全原発の拡散予測公表
2012年10月25日 朝日新聞

 原子力規制委員会は24日、全国16カ所の原発で東京電力福島第一原発事故のような深刻な事故が起きた場合の放射性物質の拡散予測を公表した。関西電力大飯原発(福井県)など4原発が、規制委が新たに防災の重点区域の目安とした原発から半径30キロより広い地域で、避難の基準となる積算被曝(ひばく)線量に達した。原発によっては従来の想定を超えた広い範囲を重点区域にした防災計画づくりが迫られる。
 国が全国の原発で大事故を想定した被害を予測し、公表したのは初めて。目安の範囲を超えたのは、大飯原発のほか、東電柏崎刈羽原発(新潟県)、福島第二原発(福島県)、中部電力浜岡原発(静岡県)。重点区域の対象市町村が増えることで、計画づくりが困難になることなどから、原発を再稼働させるのは一層難しくなる。
 規制委はこれまで重点区域としていた原発から半径8~10キロを、福島の事故を受けて国際原子力機関(IAEA)の基準に合わせて30キロに拡大。これを受け、自治体は来年3月までに防災計画を見直す。
 さらに、重点区域を指定するには、外部被曝と内部被曝を合わせて人が1週間に浴びる放射線被曝量が100ミリシーベルトを超える場合には避難を検討するというIAEAの基準も参考にする。今回の予測は道府県が重点区域の範囲を具体的に決めるための参考として示された。
 今回、福島の事故と同規模の事故が全国の原発で起きたと仮定し、各地の原発の基数や出力に応じて放射性物質の拡散を予測。その結果、大飯原発など4原発で、30キロを超える地点が積算被曝線量100ミリに達した。
 全国で唯一稼働中の大飯原発は、南南西から南東方向に放射性物質が広がりやすく、県境を越えて南に32.2キロ離れた京都市内でも積算被曝線量が100ミリに達した。隣接する関電高浜原発の予測では、大飯原発が避難基準値に達する地域に入る。高浜原発で事故が起きれば大飯原発も影響を受ける結果となった。
 全国で最も広範囲に放射性物質が広がると予測されたのは柏崎刈羽原発で、東南東方向に40.2キロ離れた新潟県魚沼市内でも避難基準値に達した。全国最多の7基が集中立地し、合計出力も最大。このため、予測上の放出量が最大になった。
 規制委が示した原子力災害対策指針案の重点区域で対象となる自治体数は、これまでの15道府県45市町村から30キロ圏内に拡大するのに伴い21道府県135市町村に増える。対象人口はのべ約480万人におよぶ。今回の予測で30キロ超の地域でも避難基準値に達したことを受け、原発によっては対象市町村がさらに増えることもある。


 クローズアップ2012:原発事故・線量試算 拡散予測、精度に課題
毎日新聞 2012年10月25日

 ◇30キロ圏外の境界「単純視は危険」 柔軟な対応必要
 原子力規制委員会が24日、東京電力福島第1原発事故の反省を踏まえた新たな「原子力災害対策指針案」と、原発の過酷事故時に緊急避難が必要になる可能性のある範囲を試算した結果を公表した。新たな指針案では、避難など事前対策の重点区域が従来の8〜10キロ圏内から30キロ圏内に大幅に広がり、対象の自治体は具体的な地域防災計画策定に追われている。しかし、試算では東電柏崎刈羽原発など4原発では30キロを超えて緊急避難が必要になる可能性が浮上、規制委側の説明不足も相まって混乱が広がる恐れもある。
 「福島第1原発事故で(住民が避難した)福島県飯舘村などは30キロ圏外だった」。拡散予測の公表後、記者会見した原子力規制委員会の田中俊一委員長は強調した。
 試算では、柏崎刈羽原発(新潟県)で7基の原子炉すべてが炉心溶融した場合、緊急避難が必要な区域が東南東に40・2キロの魚沼市にまで延び、原子力災害対策指針案で導入される緊急防護措置区域(UPZ)の半径30キロ圏を大きく超える、との結果が出た。福島事故や今回の試算が示したように、放射性物質は同心円状に拡散せず、自治体に柔軟な対応の必要性を改めて示した。
 一方で、試算対象とした16原発のうち12原発は拡散範囲が30キロ圏に収まった。田中委員長は「国際的な水準に照らしても、事前に対策を準備する区域は30キロ圏で十分だ。その圏外では、事故後の放射性物質の測定を踏まえて(避難指示判断などに)迅速に対応したい」と語った。
 もちろん、試算には課題がある。山岳地など地形の影響を考慮せず、放射性物質は放出時の風向き、風速で一方向に飛ぶという単純化した仮定で計算されている。このため、試算結果は実際に事故が起きた時と状況が異なる。自治体や住民に丁寧に説明しなければ混乱や風評被害を招きかねない。規制委事務局の原子力規制庁は「試算の信頼性には限界がある」と認める。
 山澤弘実・名古屋大教授(環境放射能)も「重点対策を取る範囲の目安にはなる。しかし、被ばく線量の100ミリシーベルト境界線の内側だから危なく外側ならば大丈夫という見方をすべきではない。外側でも避難が必要になる場合があると考えて対応を練ってほしい」と提言する。
 今後、規制委は原子力災害対策指針案に残された不十分な部分で詰めの作業を行う。例えば、住民が避難などの行動を開始する基準の決定だ。このほか、事故後の放射線モニタリングをどのくらいの時間内に行うか、汚染地域から出る人や物に付着した放射性物質をどの程度まで許容するのかも検討する。
 規制委には多くの自治体から地域防災計画策定に当たり、国の主体的関与を求める意見が寄せられている。田中委員長は「自治体が計画を作る際のマニュアルも近く作成したい」と支援を約束。11月には試算結果に関する説明会も開催する予定だ。
 役立つ防災計画になるかは、これからの規制委と自治体双方の取り組みにかかる。【西川拓、岡田英】

 ◇活用法、悩む自治体
 原発立地県は、来年3月までに地域防災計画をまとめなければならない。今回のシミュレーションでは、避難が必要な地域が原子力災害対策指針案で示された半径30キロ圏内の緊急防護措置区域(UPZ)をはみ出たり、より狭い範囲だったりした。初めて公開された予測情報に戸惑う担当者も少なくなかった。
 7基の原子炉で同時に事故が起きると避難が必要な地域はUPZより大きくはみ出すとの結果が出た柏崎刈羽原発がある新潟県。泉田裕彦知事は「試算結果の内容や考え方について、県を含む県内の自治体に対して丁寧に説明するよう、国に求めたい」とのコメントを出した。
 大飯原発(原子炉4基、福井県おおい町)では、南32・2キロの京都市が1週間の被ばく量が100ミリシーベルトになり得るとされた。京都府は今年3月、国のSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測システム)を使った拡散予測を公表しており、山田啓二・京都府知事は「広域に影響が出ることは分かっており、策定中の避難計画を根本から変える必要はない」と話した。滋賀県の嘉田由紀子知事は「ようやく国がデータを出してくれた」と評価しつつ、今回と手法が異なるSPEEDIによる試算結果も「早く提供してほしい」と求めた。
 シミュレーション結果が30キロ圏内だった県でも、その情報をどう防災計画に生かすべきか、担当者が頭を悩ませている。
 茨城県の東海第2原発(同1基)は、1週間の被ばく線量が100ミリシーベルトに達する最大距離は13キロだった。同県の原子力安全対策課の担当者は「拡散予測に合わせてUPZも13キロでいいという単純な話ではなく、UPZとしては30キロとしておいた方がいいと思う。今後、予測とUPZをどうリンクさせるのかについて国の説明を聞いて調整し、検討する」と話した。
 女川原発(同3基)を抱える宮城県の原子力安全対策課の担当者は「データだけ独り歩きしてしまう。UPZの範囲設定の考え方をしっかり示した上、シミュレーションをどう使っていくか、説明があってしかるべきだ」と発表方法に疑問を投げかけた。
 東通原発(同1基)がある青森県は、原発の他にも核関連施設が存在する。同県の原子力安全対策課の担当者は「県内には六ケ所村の再処理工場もあるが、防災重点地域の範囲が未定。決定を急いでほしい」と語った。【高橋真志、宇多川はるか、杣谷健太、樋口淳也】 


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10月24日(水)のつぶやき

2012-10-25 01:21:48 | 花/美しいもの

こうのとり追って:考えよう妊娠、出産 反響特集/『婦人公論』上野千鶴子のニッポンが変わる、女が変える goo.gl/b6E2c


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