みどりの一期一会

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「国籍法違憲」判決の趣旨を尊重し、立法は無条件の改正を!/自民、民主が「付帯決議合意」

2008-12-03 14:51:22 | ほん/新聞/ニュース
6月に違憲判決が出た「国籍法」をめぐって、
最近、法改正反対の人たちの差別意識丸出しの議論が激しさを増している。

法改正は6月の最高裁違憲判決を受けてスピード審議することで合意していたが、
国会で審議にはいってから、自民党の保守系議員らが、
「犯罪組織による偽装認知が横行する」と慎重審議を求める議連を結成。
バックラッシュ派も、組織的に政党や国会議員や働きかけて、改正を阻止、
改正案を骨抜きにして、「改悪案」にしようとしている。

それやこれやで、国籍法改正案は衆議院を通過したものの、
法改正はすんなりいかず、参議院法務委員会に付託され、
本会議で可決されるはずだったが、ここに来て、自民・民社などの議員から、
慎重意見が続出、「付帯決議」が付きそうだ。

国籍法改正案:民主会合で慎重論 2日の委員会採決見送り 
毎日新聞 2008年12月1日

 民主党は1日、国籍法改正案に関する全議員政策勉強会を国会内で開いた。未婚の日本人男性と外国人女性の間の子に関し、父親が出生後に認知すれば日本国籍の取得を認める同法案に対し、「偽装認知」を懸念する声が党内で高まったことを受けたもので、会合では「父子関係の証明をどう担保するのか」などの慎重論が出た。
 こうした民主党内の慎重論を踏まえ、同日開かれた参院法務委員会の理事懇談会では、2日の委員会採決を見送った。今後、自民、民主両党の担当者らで厳格な制度運用を求める付帯決議の文案を協議する。【田中成之】


と書いていたら、最新のニュースが飛び込んできた。
付帯決議は採択され、5日の参議院本会議で成立するとのこと。

国籍法5日に成立 自民、民主が付帯決議合意
2008/12/03 12:29 【共同通信】

 参院法務委員会は3日午前の理事懇談会で、未婚の日本人男性と外国人女性の間に生まれた子について、父親が認知すれば国籍を取得できるようにする国籍法改正案を4日に同委員会で採決することを決めた。自民、民主両党が付帯決議案の採択で合意したためで、5日の参院本会議で成立する見通しだ。

 付帯決議案は(1)DNA鑑定導入の当否を検討(2)父親への聞き取り調査など確認作業の厳格化(3)半年ごとに施行状況を国会に報告-などを盛り込んでいる。国籍法改正案は自民、民主両党の一部議員から「偽装認知を防ぐためDNA鑑定を導入すべきだ」との意見が出たのを受け、採決が見送られていた。
(2008.12.3 47news)



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わたしは、2004年に約二ヶ月間、出産間近のフィリピン人の女性と、
日本人を父とする子どもを、個人的に保護していた。

この間、彼女たちは法や政治の谷間においこまれて、
何の公的支援も受けられなかった。
彼女は在留資格がないということで国外退去となり、
二人の子どもとともにフィリピンに帰っていったが、
生活は困難を極めているらしくて、ときどき援助を求める手紙が届く。

彼女と日本人の男性は4年間、岐阜県内で一緒に暮らしていたが、
彼女が来日直後に、斡旋業者にパスポートを取り上げられていたので、
婚姻届も出生届けも、市役所から受理を拒否されていた。
子どもたちの父親はその後失業して生活が成り立たなくなり失踪、
帰国直前に、やっと父親を見つけて「認知」の手続きをしたが、
「出生後の認知」だったために、子どもたちの日本国籍は取得できなかった。

国籍法が改正されていれば、3人は日本に残れたはずだ。

わたしにとって、この問題は他人事でははない。

ということで、
最高裁の国籍法違憲判決の趣旨をきちんと受け取って、
無条件の国籍法改正を切に願っている。


【社 説】国籍法違憲判決/大法廷でくみ取られたこと

 区別ではなく、不当な差別ではないですか。子どもたちはそう問い掛けてきた。
 同じ日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれ、日本で育った姉と妹でも、一方は日本国籍を持ち、一方は認められなかった。原告の小中学生10人の中にはそういうケースもあった。
 国籍法の規定では、両親が結婚しているかどうかが子どもの国籍取得の分かれ目。自分ではどうしようもなかったことなのに、「婚外子」はさまざまな不利益を受けることになる。
 こんな状態は改めるべきだという結論を、婚外子国籍訴訟の判決で最高裁が導き出した。子どもたちの疑問と願いが、大法廷でくみ取られた。
 人種、信条、性別などによる差別を禁じた憲法の原則を、どれぐらい意識してわたしたちの普段の暮らしは営まれているか。そんなことにも思いを寄せて判決の意義を読み取りたい。
 結婚観や家族についての考え方が多様化している。社会のその流れにも今回の判決は目配りしている。10人の子どもの差別の問題だけではなく、いわば暮らしの原形の変化が映し出されたことにも注目しておきたい。
 1984年に設けられた国籍法の現行規定では、日本人の父と外国人の母の間に生まれた子を出生後に父が認知しても、父母が結婚していない場合は日本国籍が認められない。
 この区別は現在では、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するというのが判決の結論。「国籍の取得は基本的人権の保障を受ける上で重要な意味を持ち、この差別で受ける不利益は看過しがたい」からだ。
 最高裁が着目したのは80年代以降の流れである。「家族生活や親子関係に対する意識の変化や実態の多様化」「婚外子への法的差別を解消する諸外国の法的改正の方向」。国の内と外の変化の中に位置付け直して、「過去の区別」の「現在の差別」への変質を指摘した。
 この間、父が日本人で母が外国人の子どもは約5000人(87年)から約1万4000人(2006年)に増えたという。原告の10人に限らない問題の奥行きを感じさせる。
 子どもたちの世界での差別やいじめ。何よりも「なぜ違う扱いを受けるのか」と幼心に芽生える自分の存在への悩みを思えば、胸が痛む。法改正の作業を急がなければならない。
 日本の最高裁は違憲審査に消極的とされてきた。国会に注文を付けることに慎重すぎるという批判である。大法廷が個別の法律を違憲と判断した判決は8件目。87年の5件目以降は途絶えていたが、02年から今回で3件になったことに、その転換の可能性を見いだしたい。
 補足意見の一つではあるが、判決にこんな一節があった。「本来ならば与えられるべき保護を受けることができない者に保護を与えることは裁判所の責務であって、司法権の範囲を超えない」。共感を覚える。
 国会の誤りを正す。最高裁が果たすべき役割についての論議が映し出されたことも、記憶にとどめておこう。
(河北新報2008年06月06日金曜日)



婚外子差別違憲
 時代に合わせた国籍法に
 

2008.6.6 岐阜新聞
 
 法律上の結婚をしていないフィリピン人の母と日本人の父から生まれ、父から出生後に認知された子供10人が日本国籍を求めた2件の訴訟の上告審で、最高裁大法廷が子供らの国籍を認める原告側逆転勝訴の判決を言い渡した。
 父母の非婚を理由として国籍を認めない国籍法3条1項について「合理的な理由のない差別」で憲法14条(法の下の平等)に違反すると判断している。
 法律上の結婚ができない両親には、さまざまな事情があるのだろう。しかし、何も知らずに日本で生まれ育った子供に、その責任が押し付けられて良いわけはない。最高裁の判断は子供の人権へ配慮した内容であり、高く評価したい。
 このように憲法違反と判断された3条1項を放置してはおけない。法務省は違憲判決を重く受け止め、国籍法の改正作業を始める方針を固めた。歓迎したい。
 訴えていたのは8歳から14歳の男女で、全員がフィリピン国籍だ。父から認知を受け、法務局に国籍取得を届け出たが、認められなかった。
 民法によると、原則的に、法律上の結婚をしている夫婦の子が「嫡出子」として、国籍を取得できる。そうでない両親の子は「婚外子」とされ、その出生後に父母が婚姻すれば、「嫡出子」の身分が与えられる。正式な婚姻を奨励するための制度だと説明されている。
 国籍法3条1項は、父母の婚姻、その認知によって「嫡出子」の身分を取得した子の国籍取得について定めている。
 この規定によると、父が日本人で母を外国人とする子が誕生後に父から認知された場合、その後に父母が結婚すれば日本国籍を認め、非婚の場合は認めないとされてきた。
 この訴訟の背景にある問題点は二つある。一つは国際結婚によって生まれた子供の法的地位だ。国籍法は父親か母親が日本国民であるという血統主義を基調とし、日本との密接な結び付きを示す一定の要件を満たす場合に国籍を認める。
 しかし家族生活や親子関係に関する国民意識、国際状況の変化は激しく、もはや3条1項の規定は時代遅れだ。
 日本で生まれ、育っている子供たちが日本国籍を持てないことにより就職、結婚などの際に受ける社会的不利益は計り知れない。国籍法の規定は子供らの将来の生活基盤を奪う過酷な措置というべきだ。
 もう一つの問題点は嫡出子制度の是非だ。国籍法の規定の仕方は、嫡出子と婚外子とで法的、社会的な差別があることを前提にしている。戦前の家族制度の尾を引く制度だと言ってもよい。
 しかしドイツ、スウェーデン、スイスなどは嫡出子、婚外子の名称を撤廃し、父母の婚姻、認知による国籍取得という制度もない。最高裁判決は国際的な状況をも意識した判断といえるだろう。
 判決で注目したいのは、3条1項が前提とする「父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分」を排除する新解釈をして、子供たちを救済したことだ。法改正を待たずに救済の道を開くという、一種の法創造的な機能を最高裁が発揮したことになる。
 これまで、立法は国会の役割だと遠慮してきたのが最高裁だった。しかし積極的な憲法解釈を示して、具体的救済を図るのは、最高裁の本来の姿といえる。
 法務省は1日も早く改正作業に着手、時代の変化に合わせた血の通った法律になることを望みたい。
(2008.6.6 岐阜新聞)



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