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第2次世界大戦の謎 日本の伊号第52潜水艦は濃縮ウランをドイツに運んだか(2)

2013-03-07 | ラジオ
その後、ティドヴェル氏は金を手にしたのか、少なくともそうしようと試みたのか、ここで情報はぷっつりと途切れている。マスコミも何も報じなかった。
この調査プロジェクトに参加していたロシアの地質学者グリゴリイ・ストレジェノクさんは、後になって「ティドヴェル氏は日本の潜水艦の中で金を含め、如何なる高価な品々も見つける事は出来なかった。金が一体どこに行ってしまったのか分からない」と語っている。

一方、ドイツ潜水艦V350の船長の報告書の中では、ドイツ語ではっきりと伊-52からの全ての積荷は、我々に移されたと書かれている。この全てには、それが実際運ばれていたのであれば、当然金も含まれていた筈だ。
なお沈没した伊-52の船体には外向きに 縁が開いた裂け口が見られ、この事は爆雷や魚雷など、潜水艦が外部からの攻撃で沈没したのではない事を物語っている。何かが潜水艦の内部で爆発したのだ。それがドイツ潜水艦から運ばれた食糧の中に隠されていた爆弾だったのであれば、ドイツ人艦長が、爆発物の作動時間を正確に知っていた事も当然だろう。
それゆえ、伊-52の沈没場所をかなり正確に示す事ができた訳だ。

ここで一つ疑問が出てくる。一体なぜ、何のためにドイツ人達は、同盟国である日本の潜水艦を爆発させる必要があったのだろうか。彼らは、一体何を隠したかったのかという疑問だ。
まさに謎が謎を呼んでいるが、日本の潜水艦は実は金ではなくドイツ人達に、もっとはるかに重要なものを届けたのだという説もある。それは東部戦線ではソ連軍との戦いに敗れ、西部戦線では米英連合軍の攻勢にさらされていたドイツを救うものだった。つまり運んでいたのは、ドイツ報復のために最終兵器になる筈だった、原爆製造のため必要な諸々のもの、例えば濃縮ウランなどだったという説だ。
この説はロシアのインターネット上で注目された論文『昇る太陽作戦』あるいは、潜水艦伊-52の101の謎で提起されているもので、論文の匿名の筆者によれば、ウランは広島の秘密実験所で濃縮されたものだったとの事だ。
筆者は、それゆえに、事実を知ったアメリカは、原子爆弾の最初の投下地として広島を選んだ、日本の学者が原爆の製造に成功しないよう手を打ったのだと主張している。

ご存知のように日本ばかりでなくドイツもまた、原子爆弾の製造に間に合わなかった。しかし日本のウラン同様に、ドイツの成果も、後になってアメリカは利用したという事も十分有り得るのではないだろうか。
なぜなら伊-52を爆破したかも知れない、ドイツのV350の艦長の報告書を探検家のティドヴェル氏が見つけたのは、他でもないアメリカのアーカイブだったからである。

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2月2日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル