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アメリカ、中国との領土問題で日本を表立っては支持せず

2013-03-02 | ラジオ
尖閣諸島・ジャオユイダオをめぐる領土問題で、アメリカがオープンに日本を支持するという安倍晋三首相の期待は叶わなかった。
安倍首相のアメリカ訪問の際、領土問題に関するオバマ大統領の声明は、かなり抑えられたものだったとなった。しかしオバマ大統領はそれでも、日米の軍事同盟を堅持することは明確にしている。

アメリカが尖閣諸島問題について自らの立場を、はっきりと示さないことには、いくつかの説明が考えられる。
まず第一に経済的な理由だ。アメリカにとって最大の貿易相手国であり、最大の米国債保有国である中国を、いらだたせることは望むところではない。
アメリカ政府は日本との同盟と、中国との貿易経済関係という不安定な均衡を模索しているようだ。
他方、アメリカは領土問題における自らの立場を、日本への圧力として使うこともできる。アメリカはTPPについての日本の立場に満足している訳ではないからだ。日本政府はアメリカ製品の輸入を抑える障壁を撤廃することを拒否している。

キスタノフ氏は、次のように指摘している。
「もしかするとアメリカはそのようにして、日本のTPP参加問題についての態度に、満足しているわけではないことを示そうとしたのかも知れない。これはアジア太平洋地域における新しい機構であり、関税を完全に撤廃することに特徴がある。
アメリカはTPPを強く望んでおり、交渉にいきまいている。アメリカは日本も同様にTPPに参加することを望んでおり、これは日本がアメリカ企業にとって重要な市場となるからだ。
特に自動車、保険、食肉、農業製品などの分野の開放を目指している。日本の大手企業は、新しい販売市場を確保できるとしてTPP参加に賛成しているが、農業はアメリカ製品やオーストラリア製品に対抗することができないため、断固として反対している。安倍首相は迷っているのだ。
アメリカはもしかすると尖閣におけるトーンを抑えることによって、安倍首相に圧力を加えようとしているのかも知れない。しかしアメリカが依然として、日本をアジア太平洋地域における国益増進における、重要な戦略パートナーとみなしていることに変わりはない」
キスタノフ氏は、このようにコメントしている。

またキスタノフ氏は、アメリカは軍事衝突にまで発展することを懸念している。なぜならその結果は予測不可能であり、アメリカが巻き込まれる恐れもあるからだとしている。
しかしアメリカ政府の政策ロジックは不変だ。それは尖閣諸島に日米安保条約が適用される、ということだ。島が侵略される事態になれば、アメリカは同盟国を助けなくてはならない。ただアメリカはこの島の主権が誰のものなのかについて立場を示していない。
つまりそれについては自分たちで決めてください、ということなのだ。安倍首相は尖閣諸島について、オバマ大統領の完全な支持を取り付けることはできなかったが、日本が中国との間で落ち着いた形で問題解決にあたっており、今後もそうしていく意向だということを、オバマ大統領に説明したと述べている。

アメリカの新・中国戦略を知らない日本人
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2月26日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル