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サハリン瑞穂村での悲劇

2012-07-27 | ラジオ
日本ではコンスタンチン・ガポネンコ作「サハリン瑞穂村での悲劇」が出版される。
この歴史小説のなかでは、日本人がサハリンに労働力として連れてきた朝鮮人の悲劇が描かれている。

朝鮮半島は日本によって1910年に併合され、サハリンでの労働力としての朝鮮人動員は1939年から行われた。1945年までに強制的または詐欺的手段によって、5万人以上が動員された。
1945年8月までそのような使役は続けられたが、その後さらに悲劇的な現実が朝鮮人たちを待っていた。まさにこの事件を、ガポネンコの瑞穂村の悲劇は取り上げている。
瑞穂村では1945年8月、ソ連軍の前に劣勢に立たされた日本人らは、朝鮮人がソ連に寝返ることを恐れて彼らを殺害した。幼い子供たちもその例外ではなかった。

朝鮮プログラムセンターのトロライ氏は、朝鮮と日本の関係における悲劇的な過去を克服するために、両者が事実を認識することが必要だとして次のように語っている。
「朝鮮と日本との関係は、大変な歴史的過去によって毒されている。今に至るまでそれは癒えていない。植民地化や従軍慰安婦の問題がある。
朝鮮と日本とのそのような複雑の(正しくは「複雑な」でしょうね)関係をめぐる一つの断片として、日本の植民地で働かされた朝鮮人の強制移住がある。サハリンも同様だ。
この問題に注意を喚起することは、朝鮮人だけでなく日本人にとっても重要だ。日本語でも出版されるということは、日本が自らの過去を解明しようと本腰をいれていることを物語っているのでしょう」
トロライ氏は、このようにコメントしている。

朝鮮人たちはいつでも、日本が大きな惨劇をもたらしたと考えてきた。韓国の大統領は定期的に従軍慰安婦への賠償問題を持ち出している。日本では遅れた朝鮮のために道路や鉄道の建設を通じて、多くの有益なことをしたという意見も存在するが、朝鮮人の記憶は、それとは違うようだとキスタノフ氏は指摘している。
「朝鮮人たちは、日本の統治時代にもたらされた被害が大きすぎるものだったと考えている。
朝鮮では今に至るまで、反日的な機運には強いものがある。
最近ではソウルの日本大使館の前に、従軍慰安婦のシンボルとしての少女の像が建てられた。
ただこの複雑な歴史的過去を、両者が乗り越えようとしていることは確かだ。最近、日本側が提案して、従軍慰安婦に関する展示会が東京で行われた。
そして今回の瑞穂村の悲劇の日本語訳が出版されている。これは日本の賞賛に値するものだ」
キスタノフ氏は、このようにコメントしている。

この日本語訳を出版した花乱社のベップダイゴ編集長は、若い世代に記憶を伝えることが重要だとして、次のように述べている。
「いまの時代、若い人たち(?)敗戦国であるということをも忘れているというか、考えていない。原爆2発落ちてますし、こんど被爆が三回目ですよね。あのフクシマの事件が、そういったことも含めてきちんと日本の近代化がどういった事であったかですね、日本がどういうことをしてきたのか、やっぱりそれをきちんと見直さないといけないという気持ちを持っておりますね。
忘れているのではないかと、ひとつ僕らの役割は、こういったことを子どもや孫に伝えていくと、そういったことによって出版を通して、そういったことも考えてはいますね。それは僕がやってる仕事なので、そのことを通して、やっぱり日本という国を、もう一回見直すというか、あの伝えるべきことを伝えていかないいと、今の世代の役目があるわけでしょうから、それは日々思う」
編集長は、このよわうにコメントしている。

また日本語版に筆を添えたイノウエコウイチ氏は、ガポネンコ氏との長い友情関係を持っていてるということだ。

樺太・瑞穂村の悲劇
クリエーター情報なし
花乱社

7月19日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル